56.疾風の斧の夜
ヒューズは家についた。
「帰ったー」
「おかえり!」
「おかえり、リーダー!」
「ただいま」
リリアンとクララはリビングでだらけていた。
「ライルに聞いたぞ。大変だったみたいだな」
「本当に大変よ。わたし、この村来てから今までより忙しくなったんだけど」
「そーだよーリーダー!忙しくなったよー」
「お前ら、その割には嬉しそうに話すよな」
「リーダーがそれ言う?依頼と訓練以外はほとんど家で寝てた人が、今じゃ十数人に指示出して解体をさせ、夜も数日に1回は会議して。しかも、上司みたいな存在は5歳の子供。なのにイキイキしちゃってるし」
「まだこの村に来て10日経ってないのに、この急展開おもしろすぎるだろ」
「まあねー忙しいけど楽しいの事実なんだよなー」
「そうね。弟子もいっぱいできたし」
ヒューズは会議後にライルに言われたことを思い出した。
「そういえばライルが明日の夜に家に来いってさ」
「えっ!なに?怖い」
「何が怖いんだよ」
「鬼ライル」
「なんだよそれ!!笑わすなよ!!!!」
「ヒューズは鬼ライルを見てないから笑えるわよね。でも鬼ライルを見たとき、ダンドールの町のギルドマスターを思い出したわ」
「ほんとにそう!あれはギルドマスターと同じ圧!」
「バカ言うな!あのジジイの圧を忘れちまったんじゃないか?新人の頃、訓練でボコボコにされまくったの忘れたのか?」
「見てないから言えるのよ、ニーナとカシムは心が強いわ。5歳の私は泣いちゃうね」
「そんなだったのか?」
リリアンとクララは今日の特訓の内容をヒューズに話した。
「えぐい!初心者冒険者でもそんな訓練しないぞ」
「目的とやることが合ってるからなんも言えないのよね。的確すぎる。あれで5歳か」
「カシムも影響されてやる気がすごかったよ!」
「ニーナもよ。昨日までおどおどしててちょっと見てて心配だったけど、今日は一皮剥けた感じだったわ」
「まあ、ライルだし!で片付けるしかない。あと、明日の夜行かないと後悔するぞ」
「ライルくんに呼ばれてるんなら、行かないって選択肢はないわ。夢みたいなことばっかり起きるから、頭がついていってないだけ」
「そーそー行く行く!」
「シモンが布を作れるらしいんだけど知ってたか?それで、シモンとキリーが服を作ってるらしいんだが俺らのも作ってくれるってよ」
リリアンとクララの目が輝いた。
「絶対行く!絶対!」
「そういえばライルくんが今日着てた服、上質な布だった気がするわ」
「それ思った!絶対行こう!」
「自分の持ってる服を2パターン持ってこいだと」
「「りょうかーい!」」
「俺はそろそろ寝るわ。明日も忙しくなるだろうから」
「護衛依頼までに一回森で身体慣らしたいな」
「そうだな。それはやろう。じゃあおやすみ」
「おやすみ」
ヒューズは部屋に行きベッドに入った。




