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原初の星  作者: 煌煌
第十四話 偉大なる父
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今日はまだ終わらない

 両親はまだ帰っておらず。電気のついていない暗い家の中。僕を見つめるパールだけが輝く。


「女の子たちは真面目に模擬戦をしていたのに、僕はパールに剣を向けた時、してはいけないと思って攻撃できなかったんだ」


 素直に思ったことを話す。ありのままを話すことが、パールへの誠意だと思ったから。

 彼女は落ち着いたまま。まるで僕の対応が当然のことのように。


「普通そうだと思うけれど。相手を敵だと思えと言われても、大切な人なんだからな」


 僕の気持ちの通りを言われた。なら何故、女の子たちは真面目に訓練ができたのか。


「私たちはレンとキハのためにも本気で戦えと言われたからな。フレアの説明は理に適うものだと思ったし」


 右の眉を上げて話す彼女の表情は、したくないことでも僕たちのために真面目に取り組んだのだと語り掛ける。


「レンは優しくて凄く努力家だけど、何でもいきなりやってできる人はいないだろう。敵が女の子だと、例え想像剣で攻撃するとしても躊躇うだろうし。前にも言ったけれど、私にできることなら何でも協力したいんだ」


 ありがたい彼女の想い。確かに今の僕なら敵が女の子だとしたら攻撃できないだろう。想像剣で気絶させるとしても、当たった瞬間は痛いハズ。いや、そもそも手を上げること自体に抵抗があるのだから。


「ありがとう。確かに覚悟くらいはしておいた方が良いのかもしれないね」


 僕のイメージ通りの性能になる想像剣。女の子相手にも動揺しなければ、やりたくないことをしなくても済むだろう。平和な時間の内に、僕も考えられる対策を練らなければ。




 パールとの会話からしばらく後。父さんと母さんが帰って来た。いつものように食卓を囲む。楽しい晩ごはんの時間なのだが、僕の頭の中は昨日の父さんの言葉で一杯。


「父さん。昨日は断っちゃったけれど、今日から特訓をお願いできないかな?」


 パール手作りの唐揚げを美味しそうに頬張る父さん。僕の言葉を聞くと、嬉しそうな顔を作る。


「もちろん。食べ終わったら早速始めよう」


 


 晩ごはんの片付けも終えた。昨日から期待していた父さんの指導の時間。

 けれど僕は一つの問題に気付く。訓練場に今からわざわざ行くのだろうか。


「夜に毎回テレフープ使って訓練場に行くのも、手間が掛かるよね。家の中に運動できる場所があるといいのに」


 口を閉じた時。肩が叩かれた。振り向くとまたしても得意気な表情のパール。


「私に任せてもらおう」


 今回は全身が輝く。願い事の種類によって輝く箇所が変わるのだろうか。

 家の下から響く轟音。同時に地震かと思うほどの揺れが襲う。


「地下に訓練できるスペースを作ったんだ」


 パールの体から出る光は、地下からの音が止むと同時に消えた。

 二階への階段の脇。突然現れた地下へ続くであろう階段。母さんも興味津々らしく、四人で一緒に下る。そして、地下の地面に足を着けた僕たちの前に広がるのは、訓練場よりも広い空間。地下だということを忘れさせるような新鮮な空気。無数のライトで照らされた、家の中にある外。


「これならいくら暴れても問題ないだろう」


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