表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原初の星  作者: 煌煌
第八話 能力解放
39/180

繰り返し

 消えた敵が現れるとすれば、背後。昨日のフレアさんのときには通用した想像剣を利用した加速戦法。今回は振り向くためだけに使う。完全に振り向く前に奴の足が見えた。だけど衝撃波は感じない。


「散々コケにしてくれたからなぁ。実力差を思い切り見せ付けてから倒さねぇと気が済まないんだよ」


 また消えた。しかし奴が次の攻撃を避けるつもりならば勝ち目はある。回避できない技を出せばいい話。


「みんなにバリアを張って!」


 パールが僕の言葉に反応した。即座に張られたバリアの中に僕も逃げ込む。

 相手が攻撃した瞬間がチャンス。最大限の一撃を見せてやろう。




「またこれか。さっさと潰す」


 男がバリアを蹴り飛ばす。何とか一撃目は防げた。次は僕の番。

 突き出したダイヤの刃を、辺り一面覆い尽くすほどに大きくした。周りの建物や壁のギリギリで止まる巨大な刃。当然敵の逃げ場はない。

 気絶しているハズの相手を捕まえようと、僕はバリアの外へと足を出す。すると、真上に影。奴の足が僕の頭へと直撃。


「まずは一回目だ。三度も恥を掻かされたことへの復讐のな」


 敵の言葉を聞き終える前に、僕の意識は遠退いた。




 気付いたらベッドの上。蹴られたことまでは覚えているのだが。


「気が付いたか。三時間くらい気絶してたんだぞ」


 心配そうなパールの顔が近付く。彼女を笑わせる冗談どころか、返事の言葉すらも浮かばない。


「ごめん。負けちゃった。けど、どうやって家まで戻れたの?」


 僕がやられた後で戦えるのはキハ一人。しかし銃が有効な相手とは思えない。なら、何があったのか。


「レンを倒した奴は、あと二回だって言って消えたよ」


 僕に負けた回数。二回遭遇する前に、何とか対策を練らなければ。


「次までにできることを考えないとね」


 焦る気持ちとは反対に働かない頭。フレアさんの修行の他にもできることを考えよう。ならやはり、父さんとゴランさんに師事すること。


「まだ戦うつもりなのか! あと二回って敵の言葉を真に受けたらダメだ。次はレンが殺されるかもしれない。そんなの嫌だ」


 泣きそうな顔をされた。彼女に幸せになって欲しくて戦うのに。今のままだと戦っても心配させるだけ。なら、二人で逃げようか。


「もし逃げたくても、どこに行けば安全で、君は心配することなく幸せになれるのさ」


 働かない頭が導き出した言葉。何も考えられないからと言えば許されるだろうか。いや例え彼女が許しても、僕自身が許せない。


「パールごめん。自分の無力さに腹が立」




 強く抱き締められた。柔らかい彼女の肌。心地よい感触が伝わり、僕の気持ちを穏やかなものへと変化させる。


「レン。もしもレンが私のために死ぬようなことがあれば、私にはもう役目しかなくなるんだ。だから、絶対に死なないで」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ