それぞれの想い
耳元でパールが囁く。彼女と僕の願い自体は同じもの。だけどお互いの考えは違う。彼女は僕に死んでほしくないから戦わないで欲しい。しかし僕は彼女を守ると誓ったし、逃げたところで世界中に安全な場所なんてないと思う。なら戦って二人で。いや、みんなと一緒に平和に暮らせる場所を守りたいんだ。
「思えば不思議な話だよね。最初はパールに戦えないかって聞いてた僕が、今は戦わないで逃げようって言うパールに反対してるんだから」
彼女の目を見て話そうと、両手で肩を優しく掴み少し距離を作る。顔と顔がくっつくかと思うほどの距離。目の前のパールは先ほどと変わらず泣きそうな顔。
「今だって戦わずに済むのならそうしたい。けど敵は僕を狙ってくるし、いずれはパールの正体がバレる可能性もある。なら僕自身が強くならなきゃいけないと思うんだ」
結局やらなければいけないのなら、少しでも早く対策を考えて、有利な戦い方をしなければ。できれば彼女に心配も掛けずに勝てるような方法を。
「分かった。何か必要な物があれば言ってくれ。どんなことでも少しでも、レンの力になりたい」
やはりパールは最高の彼女だと思う。だからこそ、敵に奪われるのも傷付けられるのも嫌なんだ。次は負けられない。
少し落ち着いたのか、パールは僕を見て微笑む。彼女の笑顔の糖分が僕の頭を活性化させる。
高速で動く敵の対策を思い付いた。
「敵の鎧よりも強固な鎧があれば、今日みたいに素手では倒せないんじゃないかな。後は警察に強力な武器を配備するとか。けどパールのルールには反するんだよね」
なら一つ目の方法を採ろう。彼女が嫌がらず、心配もさせずに勝てるであろう方法を。
「そうだな。グレン一人なら良いんだが、組織全体がグレンの考えと同じとも言えないから。けど一つ目の方法は当然協力するよ」
話し終えるとパールは僕の頭からゴーグルを外し、手に持って集中している様子。すると今回は彼女の全身が光り出す。右手だけが光るのかと思っていた。
暗い部屋の中でぼんやりと光る彼女は、なんだか幻想的な雰囲気を醸し出す。少しは慣れたかと思っていたけれど、僕の中の美術館は増築する必要があるようだ。
「ほら。警報が鳴ったときに鎧が現れるようにしておいた。ついでに索敵の範囲を広げておいたよ」
もしも学校に敵が現れると授業中でも鎧を着るハメになるのか。せめて格好良い鎧でありますように。
「ありがとう。これで少しは安心できるね。後はフレアさん以外にも鍛えてくれる人を探そうと思う。僕の運動能力が上がれば、できることも増えるしね」
明日からはもっと忙しくなる。間もなく日が変わるとしても、少しでも長く今日のうちに休もう。僕の女神様と共に。




