6話
……ルディへの事情の説明で、簡単な実験で一度数値を取得できるだけの時間が経った。
「えっと、つまり、独学で魔術具を作って売ってたってことですか?えっと、アルキナさん」
キナと呼ばれていた工房長の少女、アルキナは簡素に答える。
「ええ、そうです」
「それ、凄いことですよ!」
「だが、それを認可無しに販売している。それが犯罪であることを知っていながら、だ。」
俺は話に割って入った。今一番考えなくてはならないのはこの問題だ。…それに、ルディにこれ以上長引かせられるのは面倒でたまらん。
「だから、それは…!」
「よせ、キナ!」
しばしば暴走するアルキナを店番の少年フェリクスが諌める。この二人の組はいいバランスなのだろうな。
「ほら、彼女達には事情があるんです。実際、彼女達のおかげで平民の生活は良くなっているんですよ。シルヴァさん、どうにかなりませんか?」
「それでお前に聞いたのだ。どう思う?お前なら多少苦労を背負ってでも助けようと思うか?」
「…?…はい、もちろん助けたいと思いますけど」
そうか。ならば彼女の判断に従おう。
「アルキナ、フェリクス。現行の問題は魔術具の無許可での製造と認証品と比較して粗悪な品質だ。理解しているな?」
「…はい」
「1ヶ月だ。1ヶ月待ってやるから、期限内に技術を身につけて認証を勝ち取って見せろ。お前達の本気を見せてくれ。…『平民達の生活の基盤になる』のだろう?」
「はい!絶対にやってみせます!」
「待って、フェーリ。教えてくれる人もいない、誰が認可してくれるかもわからないのに、本気で1ヶ月でどうにかなると思ってるの?」
「そうだけど、問答無用で通報されたり潰されたりするよりマシだろ」
やはりこの者達には期待が持てるな。頭が回る上、お互いにちょうど不足を補っているらしい。
「工房長の言うことも尤もだ。本来、先生を見つけることや、平民の身分で貴族の制度の認可を取ることは技術を習得することより難儀だろう。その上、機会というものは待っていては巡って来ない。
しかし、此度は案ずるな。俺が先生として手解きをしてやろう。そして、俺がお前達を認めれば、カェルレウスの名で認証してやろう。」
「え、シルヴァさん、勝手に名前を使うのはまずいんじゃ…」
「何を言う、これも俺の権限の一部だ。まあ後で話してやる。」
フェリクスとアルキナはと言うと、顔に猜疑心が浮かんでいた。
「いいんですか?」
「どうして急に助け舟を出すようなことを?」
「先ほどから言っているが、俺は問題が解決するようであればどのような形でも構わないのだ。俺が信用できないのであれば俺が教えている間にフェリクスが代役を探せば良い。明日から技術を見に来てやる。準備しておくように。」
さて、明日から暫く外出することになりそうだ。早く寝なくてはな。
「え?どこ行くんですか?……帰る?今ですか?ほら、お二人戸惑ってますって。もうちょっと話していっても…って、待ってくださ〜い!」
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「よく、わからない人だったな」
「結局、敵なの?味方なの?はっきりしてほしいわ」
「おそらく、敵でも味方でも無いんだろう。でも、信じてみても良いじゃないか?真っ直ぐそうな人だった」




