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第三研究院中央研究室活動日誌  作者: 遠浅にたゆたうくじら
2章 シルヴァーヌスと平民街
19/19

5話

魔術具店の店員の態度に違和感を感じて一応「確認」をしてみたわけだが…嫌な予感が的中してしまったようだな。

さて、如何にして処理するべきか…


「先ほど点検は工房に頼んでいると言っていたな。協業関係なのか?」

「ええ、連携している工房があります」

「そうか。察するに、間違いなく良好な関係を築けているのだろう、素晴らしいことだ。よければその工房に案内してもらえるだろうか?」

「え?もうここでちゃうんですか?もうちょっと見ていきません?」

店員の顔が少しだけ曇った。

「…失礼ですが、どういったご用件でしょうか?」

「特別な事ではない、素晴らしい技術をお持ちであるから、一度工房の者と話をしたいと思っただけだ。」

「技術を…」

「そうだ。素晴らしい技術を持った工房と提携したのだな。」

俺は再三揺さぶりをかける。情報は貰っておきたい。

「あれ?なんか険悪な雰囲気?どうしたんですか?」

店員は呟くように「もしかして、もう既に…。」と言ってから、こちらに向き合って言った。

「今日は工房にお招きすることは出来ないです。」


「そうか。…提携先とは強固な信頼関係まで築けているのだな、尚の事素晴らしい。

ただ、今日行けないとなると、こちらで調べて後日訪問するしかないか…いつ向かうことになるかわからないが、やもするとあなたが居ない時に訪問することになるだろうな。」

「……案内します」

「感謝する。」

店員に連れられ、工房へと向かった。


「あの?どういう流れですか?話についていけません!って、あの!置いていかないでください!」


******


工房は店の真裏、すぐそこにあった。店が後から建てられたような配置である。推測するに、提携というよりは店自体、工房が建てたものなのだろう。そう思うと、今回の件もより一層納得がいく。


「…ここです。工房長を呼びますね。おーい、キナ!いるか!」


少し慌ただしい足音。


「どうしたの?フェーリ。……これは、珍しいお客様ね。」

「ああ、研究院の方々だ。…この、大きい方の人に、その、バレた。」

「…そう。バレちゃったのね。」

キナと呼ばれた少女はため息をついて、それから此方を見据えた。

「それで、今日は何をしに来たんです?私たちを捕まえに来たの?」

「え、そうだったんですか、シルヴァさん!?」

「こちらの工房の作る魔術具は問題があった。だから辞めさせるために来ただけだ。研究院は役所では無い。罰を与える組織では無い。」


「結局、工房を辞めさせるために来たんでしょう?こっちからしたら同じことです」

「キナ!気持ちはわかるが落ち着いてくれ!相手は貴族だぞ!…すみません、うちの物が迷惑を…。魔術具を作ることに情熱を注いでいまして、気持ちが強いので攻撃的になってしまっただけです。…どうかお許しください。」


正面の少女は此方を睨んでいる。貴族と知りながらこの態度とは、成程、威勢が良いな。


「先んじて確認しておこう。目下の問題はお前達が低品質の魔術具を作っていることだ。加えて、見てしまった以上は認証無しに魔術具を作っていることも正すべきだろう。」

「え?そうだったの?いつの間に気付いたんですか?」

「勿論、ここを辞めさせることが此方にとっては最も簡単で手間の無い解決策だ。」


「ほらね、辞めろって、貴族はそればっかり。いつもそっちの都合でルールを作って押し付けて、少しもこっちの生活を助ける気なんてない。

…絶対辞めないわよ。元はと言えば、あなた達が平民のために安い魔術具を作るべきじゃない!それをあなた達がやらないから、私達がやろうとしてるの!邪魔をしないで!」

「おい、キナ!今理想を語ってもしょうがないじゃないか!少なくとも今は、従うしか、ない。」


「二人とも待ちたまえ、落ち着いて話も聞けないのか?…さて、どうしたい?ルディ。」

「散々スルーしてきたのに急に私に振るんですか!?いい加減説明してください!」

一週間に一つぐらい、といって本当に一週間経ってしまいました。もうちょっと早く更新できるようにがんばります…

次の話は説明回になりそうです

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