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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season7 ― 家族システムのアップデート ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season7 ― 家族システムのアップデート ―
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第2章 再会 ― 風のような声 ―

しゅうたまきとともに訪れた、なぎくんの実家・凪メディカルクリニック。

そこに待っていたのは、想像を超えるスケールと、懐かしい空気。

外来フロアの空気は、思ったよりも静かだった。

白と淡いブルーの光に包まれた空間に、

どこか潮の香りを含んだ風が、ゆるやかに流れていた。


たまきは案内板の前で立ち止まり、目を細める。

「……明るいですね。病院って、こんなに穏やかな場所なんだ。」


なぎが少し笑う。

「父さんの方針なんです。

 “治療だけの場所にはしたくない”って。

 この辺り、母さんが設計に関わった部分もあるんですよ。」


そのとき、背後からやわらかな声が響いた。


「――陽翔はるとくん?」


凪は振り返り、目を見開いた。

そこには白衣をまとった女性が立っていた。

落ち着いたまなざしに、どこか懐かしさを宿した微笑み。


「……村中先生。」


みおは軽く頷き、穏やかに笑った。

「まぁ、覚えていてくれたのね。もう何年ぶりかしら。」


「10年……いえ、もっとかもしれません。

 先生、全然変わってないです。」


「あなたこそ。お母さんに似てきたわ。

 目の奥が、同じ光をしてる。」


凪は少し照れたように視線を逸らす。

その表情に、環は小さく息をのんだ。

“お母さん”という言葉が出た瞬間、

彼の中の空気が、ほんの少しだけやわらいだ気がした。


柊が軽く会釈をする。

「はじめまして。アークシステムズの如月です。

 今回はご依頼ありがとうございます。」


「あなたが柊くんね。噂は陽翔くんから聞いてるわ。

 そして……あなたが環さんね?」


「はい。よろしくお願いします。」


「こちらこそ。

 お母さん――美鈴みすず先生がね。

 “病院のシステムも、いつか心を運べる道具になればいい”って、よく話していたの。

 あなたたちが来てくれて、

 あの人もきっと喜んでると思うわ。」


凪は少し俯き、静かに頷いた。

「……そう言ってもらえると、うれしいです。」


澪は腕時計をちらりと見て、柔らかく言った。

「お兄さんたち、もうすぐ医局に戻ると思う。

 その前に、少しだけ屋上を見ていく?」


「屋上……ですか?」


「ええ。あなたのお母さんが一番好きだった場所。

 患者さんやスタッフをよく連れて行ってね、

 “ここなら風が優しい”って言ってたの。」


凪は小さく息を吸い、頷いた。

「……行きます。」


澪の背を追って歩き出す。

外来フロアの奥、光の差す階段の先に、

微かに潮の香りを運ぶ風が吹き抜けていた。


その風は――どこか、懐かしい声のように聞こえた。

“人を治すことはできても、癒すのは人の心だけ”

その言葉に込められた想いが、凪くんの原点を静かに照らす。

家族の時間が、少しずつ動き出す。

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