表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
62/100

コーネリア、引っ越しする

 ロジーナは居間でくつろいでいるコーネリアの隣に座った。

「お部屋探し、難航してるの?」

コーネリアは驚いた様子でロジーナをみた。

「忘れてたぁ~」

「え?」

ロジーナはポカンと口を開ける。

「ごめん~。居心地良すぎて、すっかり忘れてたの~。すぐに探すから、もうちょっと」

コーネリアは手を合わせて肩をすくめた。

「そ、そうなんだ……」

ロジーナはホッと息を吐いた。


*****


 コーネリアは荷物を足元に置いた。

「クレメンス先生。お世話になりました」

ペコリとお辞儀をして、ロジーナの方をむいた。

「ロジーナちゃん、ホントにありがとねぇ~。また遊びに来てもいい?」

コーネリアは微笑みながら小首をかしげる。

「ええ。いつでも」

ロジーナもにっこり微笑んだ。


「アリアちゃん。また遊ぼうね~」

「さびしいですぅ。コーネリア先生。絶対来てくださいねぇ」

アリアが甘えた声を出した。


「ルーカス君。試験頑張ってね~」

「はい。ありがとうございます」

ルーカスは深々とお辞儀をした。


「コーネリア、送るわ」

ロジーナはコーネリアの荷物を持とうとする。

「ううん。大丈夫ぅ」

コーネリアは、ロジーナが持つ前にさっと荷物を持ち上げた。

「ほんとに、ありがとうございました。それじゃあ、またね~」

コーネリアはそう言うと姿を消した。


「ずーっといればいいのにぃ」

アリアは頬を膨らませた。

「そうもいかないの。アリア。食事当番、あんたでしょ」

ロジーナは少しきつめの声で言った。

「はーい」

アリアはふてくされた声で返事をし、てけてけと台所へ向かった。


「ったく。かわいくないわね」

ロジーナは舌打ちをしながらいうと、ふとルーカスの方をみた。

ルーカスは先ほどまでコーネリアがいた場所を見つめていた。


ロジーナは、どうにもいたたまれない気持ちになった。

やっぱり、ルーカスはコーネリアに恋をしている。

そういう目で見るから、そう見えてしまうだけなのかもしれない。

それでも、そうとしか思えない雰囲気がある。

今、ルーカスの心の中は複雑な想いに揺れ動いている。


ロジーナはルーカスに何か言ってやりたいと思った。

でも、言葉が出なかった。


「ルーカス行くぞ」

クレメンスの言葉に、ルーカスははっとしたようだった。

「はいっ」

返事をして、慌てた様子でクレメンスの後を追っていった。


ロジーナはそんなルーカスを眺めながら、はぁっとため息のような安堵のような息を吐いた。

ルーカスの気持ちを考えると、とても複雑な気分だった。


いけない。

気持ちを切り替えなくては。

ロジーナは首を振ると、気合を入れて歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ