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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
35/101

アリア、飛ぶ

クレメンスは何かを唱えながら指先を動かし、アリアの方を向いた。

指先に現れた魔力の塊をアリアに向かってひと吹きする。

魔力の塊はアリアにぶつかるとパンと弾け、一瞬輝いた。

アリアの全身が淡い光に包まれ、アリアの足元が地面を離れる。

「ふぇっ」

突然の浮遊感に、アリアは驚いて木の枝を握った。


「体内の魔力の流れを行きたい方向に動かせば、自由自在に飛べるはずだ」

クレメンスの言葉に、アリアは魔力を上に動かしてみる。

ふわぁっと身体が上昇した。

「ほんとだぁ」

アリアは嬉しくなって、いろいろな方向に動いてみる。


「アリアさん、上手ですね」

ルーカスは軽く旋回した。

アリアも真似してみる。

結構難しい。

アリアは何度も挑戦してみる。

と、崖の方から強い風がアリアに向かってふいてきた。

「きゃっ」

「アリアさん」

風に飛ばされそうになったアリアの腕を、ルーカスが慌てて掴む。

「すみません」

「いえいえ」

しゅんとするアリアにルーカスはにっこりと笑いかけた。


クレメンスはそんな二人の様子を眺めていたが、ふと思いついたように自身にも飛翔の術使った。

「ルーカス殿、アリアを頼みます」

そう言い残し、崖の向こうへ消えて行った。


ほどなくして、クレメンスは戻ってきた。

「もう安全です。さっそく仕事にとりかかりましょう」

クレメンスの言葉にルーカスは頷くと、背負い籠を崖のすぐ近くに移動した。


「心配はいらない。しばらくは風が吹いてくることはない」

その場から動こうとしないアリアに向かってクレメンスが言った。

「本当ですか?」

「本当だ。結界を張っておいた」


アリアは崖のふちまで行き、恐る恐る下を覗いた。

先に降りていたルーカスの姿が見える。


ルーカスはアリアに気がつくと、持っていた青い花を掲げて指さした。

「この花を摘んでください」

アリアは頷くと崖の下に降りようと、視線を動かした。

崖の下は霞んでいて、底が見えない。


もしも、操作に失敗して落ちたら……。


アリアは行こう、行こうと思いながらも、なかなか決心がつかなかった。


ドン。


突然後ろから押された。

アリアは声も出せずに思いっきり空中にダイブする。


落ちる。


アリアは手足をばたつかせながら、必死に上にあがろうと意識した。

すぐに身体が急上昇する。


アリアはホッとすると振り返り、さっきまで自分のいた場所を確認する。

クレメンスが腕を組んで立っていた。

「旦那様ぁ、ひどいですぅぅ」

「ん?どうかしたのか?」

クレメンスはしれっとした顔で言うと、下の方に行ってしまった。


アリアはしばらくブツブツと文句を言っていたが、はっと我に返ると、ルーカスの近くへ行き、花を摘みはじめた。


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