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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
初級魔術師編
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28/103

ロジーナ、ダウンする

 朝、アリアがいつものように朝食の準備をしていると、クレメンスがやってきた。


「アリア。すまないが、なにか消化の良いものを作ってはくれないか?」

 アリアはキョトンとした顔で首をかしげた。


「ロジーナの体調がすぐれないのだ」

 クレメンスは少し視線を落とし気味に言った。

「え?お師匠様が……。お風邪ですか?」


 そういえば、昨晩のロジーナはどことなく元気がなかったような気がする。


「いや……」

 クレメンスは視線を逸らす。

「どうやら食あたりらしい」

「食あたり?」

「昨日、納品の帰りに買い食いをしたらしい」

 クレメンスは少し言いにくそうに言った。アリアは無言でうつむいた。

 買い食い……。何を食べたのだろう。疑問がわいたが、すぐに消えた。クレメンスが来たということは、ロジーナは立ち上がるのも大変なくらい体調が悪いということだ。どんな様子なのだろう。大丈夫なのだろうか。


「大丈夫だ。心配はいらない。2.3日もすれば回復するだろう」

 クレメンスはアリアに優しく笑いかけると台所を後にした。



 アリアはおかゆを持って部屋をノックした。クレメンスがドアを開けてくれた。

「アリア。ありがとね。そこに置いといて」

 ロジーナの声にはいつもの元気はない。


「大丈夫よ。いつものことだか……おぇぇ」

 ロジーナは手にした袋に顔を突っ込む。クレメンスはロジーナの背中をさすってやる。

「お師匠様」

「あ、近寄らないで。感染うつるヤツかもしれないから」

 ロジーナは手をフルフルと振る。


「ふぅ。もう吐くものもないのよ……」

 吐き気が治まったロジーナは力なく仰向けになる。目の周りが軽く落ち窪み、げっそりした顔をしている。


「アリア。拾い食いしちゃダメよ」

 ロジーナがポツリと言う。

「お前が言っても説得力がないだろ」

 クレメンスが苦笑いする。

「あら。私が言うから…説得力があるのよ。こんな風には…なりたくないでしょ。ねぇ…アリア」

 ロジーナは力ない声で途切れ途切れにいう。アリアはどう反応していいか戸惑い、曖昧な笑みを浮かべる。


「まったく。その様子では心配はいらないな」

 クレメンスはため息をつくとゆっくりと立ち上がった。

「アリア。今日の訓練は私が行う。準備してきなさい」

「はい」

 アリアは返事をすると勢いよく部屋から出て行った。クレメンスもゆっくりと出口に向かう。


「悪いわねぇ。よろしく~」

 ロジーナはそのままの態勢で、手だけをフリフリ振った。

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