ロジーナ、大笑いする
アリアの初仕事が決まった。
薬草採取のお手伝いだ。依頼者はルーカスという薬師。募集要項は上級魔術師2名で、飛翔の術が必須とのことだった。
アリアはまだ一度も現場に出たことはない。だから参加するにしても、ほとんど見学状態でかまわない。この依頼は特に大きな危険もなさそうなのでもってこいだった。
ロジーナはコーネリアを通して、ルーカスにアリアを実習生として伴いたい旨を打診した。ルーカスからは、自身も中級魔術師の資格を持っているので、後進の育成のお役にたてるのならば、と快い返事がきた。ロジーナはさっそく詳しい情報をもらい、準備を行った。
目的の山は自然豊かでクマなどが生息しているらしい。今のところ、魔物の目撃情報はないが、かといっていないと断言できるほどでもない。片道3時間程度の登山をすることになるらしい。途中までは整備されたルートとのことだった。
ロジーナはアリアを連れて、必要なものを購入した。帰宅すると、さっそくアリアに準備をさせる。あらかじめ雨具や靴などに防水等の付与魔法をかけることも忘れなかった。
「お師匠様」
アリアが不思議そうな顔をしている。
「どうかしたの?」
「こんなにいろいろ用意しなきゃいけないんですか?」
「当たり前じゃない」
ロジーナにはアリアの言いたいことが、よくわからなかった。確かに、少々大げさだ。ロジーナだけならば、ここまで準備しない。しかし、今回はアリアの初実習だ。万全を期する必要があった。
「でも……。魔術師ってローブにサンダルで……」
アリアの言葉にロジーナは目を丸くした。
「ぶっ」
一瞬の間の後、ロジーナは噴き出した。
「いるいる、そういうバカ」
ロジーナは手を叩いて大笑いする。アリアは困惑を表情を浮かべた。
「ごめんごめん。つい…うぷぷぷぷ」
ロジーナは口を押さえてうつむく。肩が小刻みに震えている。アリアはそんなロジーナの姿を眺めてるしかなかった。
ロジーナは過去になにか面白いことがあったようだ。どんなことがあったか聞きたい。でも、どうやら今は無理なようだった。
「アリア。そういうバカには絶対近寄っちゃだめよ。巻き込まれたらた……ぷぷぷ…苦し…」
ロジーナはヒイヒイ笑いながらがら、しばらくの間、転げまわっていた。




