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ロジーナ弟子をとる  作者: 岸野果絵
中級魔術師編
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102/103

サーナ、花を摘む

 クレメンスはサーナの気配を確かめながら歩いていた。

 先ほどまで、足元にはクマザサが生い茂っていたが、この辺りはそびえ立つダケカンバの影響もあってか、足元はもっと背の低い小さな草が多く、地面がむき出しになっているところもあった。

 クレメンスは、これまでもこの山には何度か来ていたが、ここまで奥へ足を踏み入れたことはなかった。

 ときおり、涼しい風が木立を揺らし、小鳥の声も聞こえてくる。


「先生」

 サーナが姿を現した。

「素敵なところを見つけました」

 にっこりしながらそう言うと、斜面を登っていく。クレメンスは後に続いた。


 斜面を登りきると、一気に視界が開けた。

 明るい日差しに、クレメンスは辺りを見回した。

 低木とクマザサに覆われた先に、向こうの山並みが見える。

 どうやら山頂に到達したようだった。


「こっちです」

 サーナに促され、低木の間を進む。

 目の前に緩やかな緑の谷が広がった。


 サーナは谷を軽い足取りで下っていく。

 クレメンスはサーナの後をついていく。

 小鳥の声や、小さな虫の羽音が聞こえ、さらさらと風が草をなでる。

 

 谷底には草原が広がっていた。

 色とりどりの小さな花々が咲き乱れ、蝶が舞っている。


 クレメンスは立ち止まり、思わず感嘆の息をついた。

「アリアちゃんにも見せたいです」

 サーナは景色を眺めながら言ったが、すぐに視線を落とした。

「でも、アリアちゃん、お山はあまり好きじゃないみたい」

 沈んだ声を出す。

 

「そうだな。確かにこの景色は見せることはできない。だが、花を見せることはできるのではないかな?」

「お花……」

 クレメンスの言葉に、サーナは思案するかのように視線をさまよわせていたが、すぐにはっとした様子で顔を上げ、 

「花冠作ります。おそろいの!」

 そう宣言した。

 

「名案だ」

 クレメンスはにっこりと笑いかけた。

 サーナは嬉しそうに瞳を輝かせると、花々を確認するかのように辺りを見回した。

 花が群生しているところへ小走りで向かうと、しゃがんで花を摘み始めた。

 クレメンスは一心不乱に花を摘んでいるサーナの隣にかがんだ。

「私も手伝おう」

「ありがとうございます!」

 サーナは満面の笑みを浮かべた。

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