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26話 にげろ


 俺とボルク、その背中にしがみついたままのセラの3人で補給の為に村の傍まで帰ってきていた。

 リオネル達はダンジョンから少し離れた茂みに隠れ、待っている。


「お、村の外壁見えたぞ。」

「ほんとですね!なんだか懐かしいです!!」

「おさけぇ……」

「あと少しで買えるからなー。ほら行くぞ。」


 村を囲う簡易な外壁、そこに開いた唯一の門。

 いつもなら哨戒に向かう兵やあの小隊長が居るはずだが、何やら今日は壁の内側が騒がしく誰も居ない。


「小隊長が居ないなんて珍しいな?胃痛で籠ってんのか?」

「鍛えてるんですよ!あんなに強いですし!!」

「うぉぷっ…」

「え、おい、まさかセラ!吐きそうなのか!?」

「流石に背中ではやめてください!井戸に向かいます!!」

「それだ!急ぐぞ!!」


 俺達は普段と違った様子の門をくぐり中へと入った。


——————————————


 村に入り、セラが吐き、井戸で口をすすいだ後、村で唯一食料品が買えたセラの顔馴染みの酒場へと向かう。


「なんか人少なくないか?」

「そうですね、村長も見当たりません!」

「これは小隊長も居ねぇかな?」

「挨拶しておきたいですね!!」

「……まぁな。」

「早く…酒ぇ………おさけ……」

「もう少し我慢しろよー。セドリックから金貨貰ってるからいっぱい買えるぞー。」


 途中、いつも訓練で使っていた訓練所を通り過ぎようとした際、ついに村人を発見する。

 訓練所の扉に大量に群がり中を必死に覗いていた。


「あ、いたいた。何してんの?」

「カラム!?お前生きてたのか!」

「ん?あぁちょっと転属になってな。」

「お前がいないと賭場が小さくなって面白くねぇんだ。早く帰ってこいよ!」

「次は俺が大勝ちするから面白くはなんねぇぞ!」

「はは、言ってろ!!」


 村人達の視線はこちらに向いておりボルクを恐ろしそうに見る老人、セラに何かを飲ませる変態…いや、酒を奪われた可哀想な男の悲鳴で賑わい始めた。

 

「で、何してたんだ?」

「いや中でちょっと…」

「おい、騒がしいぞ!見世物じゃないんだぞ、散れ!この貧民共め!!」

「あちゃー見つかったかぁ。カラム、後で説明する。今はここを離れるぞ。」

「ん?ああ分かった。」


 注意しに出てきた攻略部隊の1人、その背後、扉の中に何かが置かれているのが見え、気になり生返事を返す。

 そうしてる間にも村人たちが三々五々バラけて行く。

 俺達も移動しようとしているとセラが急に身を起こし、酒瓶を振り回しながら叫び出した。

 

「お酒〜〜〜!もっと!!酒場に行こ〜!!」

「貴様!!同じ事を2度も言わせるな…って、あーーー!!!まさか、セラたん!?」

「セラたん?たんってなんだ?」


 注意をしていた兵が突如奇声をあげ、こちらへと駆け寄ってくる。


「なんで生きて!!どうやって!?」

「なに〜?だれ〜?」

「貴方は私の天使…いいえ、暗き暗黒を晴らす僥倖、そうまるで女神……。ああ、そのありふれた酒瓶すら、貴方が持てば神器がごとき聖遺物に見える……!そして、紡がれる言葉はまるで地獄の底に響き渡る、救済の聖歌…………グスン…。」

「なんで泣いてんだ、こいつ…。」


 しばらく俯いて肩を震わせていたので、今のうちにその場を離れようと全員でアイコンタクトを交わし、動き出す。


「あぁ…まさか再びいと尊き御姿を目に出来るとは……はっ!?どこへ行くんですか!!」

「ちっ気付いたか。今から酒場に行くんだよ。」

「…そうではなく、今すぐこの村から逃げて下さい!!」

「は?なんで??」

「とにかく急いで!!」

「お、おい!説明しろよ!!」


 変な兵士に背中を押され、くぐってきた門へと戻される。

 門の傍まで押されてきたが、暴れ兵士に向き直る。

 

「あぁーー!!いい加減にしろ!」

「貴様が班長なんだろう?いいか、貴様にはこの世の至宝セラたんを守りきる義務がある。」

「守る?何から?セラのために酒がいるんだよ。」


 兵士はため息をつき、周囲を見回し声を潜め話し始める。

 

「……公爵家次男ジュリウス・フォン=グラウベルク様からだ。貴様らとセラたんが生きているということはリオネル様もご無事なのだろう?」

「あぁ、元気だぜ。」

「ならば、なおのことリオネル様を連れ、逃げてくれ。」

「そのために物資がいるんだよ。ちょっと買いたいだけなんだが…。」

「無理だ。こうしている時間すら……。」


 村の奥からザワザワと騒がしい声が響いてくる。


「遅かったか……。いいか、物陰に隠れ何が起きても、なんとしても逃げろ。セラたん…生きて再び会えたこの奇跡、女神に感謝を捧げます。」

「ん〜?苦しゅうないよ〜ありがと〜!」

「くぁせdrftgyふじこlp!?」


 小声で奇声を上げながら、ゆっくりと騒ぎの元へ向かい歩いていく兵士。

 村の奥から豪華な装備に身を包んだリオネルとどこか似た、冷たい印象を与える男が馬に乗り現れた。

 

 あの兵士はその男へと近づき2、3何かを話したと思った次の瞬間、首が地面へと落ち背中から倒れた。


お読み頂きありがとうございます。

次話は…申し訳ありません。

今書けているのはここまででして……。

(なんなら今話もギリギリ遅刻しました。ほんとすいません…。)


夏が繁忙期の仕事してる関係もあり、次の話から暫くは不定期更新になります。

プロットは次章まで用意出来ているので、仕事が落ち着けば定期更新に戻れるように頑張りますので、お待ちいただければと思います。

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