0話 ギルドに登録しよう!
※0話~3話までまとめて投稿しています。
ギルド登録をしに行った友達が帰ってこない。
やたらとやる事あって時間かかるんだよな。
速攻で終わらせて戻ってくるとか宣言してたけど、やっぱり時間がかかってる。
だから合流前に済ませとけって言ったのに。
はぁ…今更愚痴っても仕方ないか。
先に出るのはさすがに可哀想だし、待ってる間に何か暇つぶしでもするかな。
えーっと、ギルドにあるのは依頼掲示板、依頼・報告窓口、酒場に訓練所、宿泊所――
お、本棚があるな。
それに“閲覧可”ってなってるな、ちょうどいい。
どれ読もうかな……ってうわ、全部ほこりだらけじゃねぇか!!
…読まれてねぇみたいだし、面白いのは望み薄かな。
ん?この本だけ少し飛び出してるな。
こういうのは大概奥に何か挟まってんだよな。
手前の本を出して奥を見ると、ほらあった。
でも、なんだこれ?擦り切れた冊子…薄い本?
タイトルは《冒険を始めたバカ達1》……?
これだけ?めちゃくちゃシンプルだな。
ちょうどいいかもな。
そんなに厚くもないし、読み終わる頃にはアイツも戻ってくるだろ。
とりあえず1ページ読んでみてから考えるか。
……意外と字がびっしり書かれてるな…
これはちょっと読み終わる気がしないし、別のに――
〈……この世界が再び廻り始めたのは、三人のどうしようもないバカが原因だった。〉
いきなりバカ?
どうしようもないバカがどうしたら世界を廻すんだ?
しかも、わざわざ書き出しでどうしようもないバカって書かれるってどんな馬鹿なんだよ。
アイツの受付が終わるまでの暇つぶしにはなりそうかな?
もう少しだけ続きを読むか――
――――――
一人は運にすべてを委ねた剣士。
一人は思考を手放した魔法使い。
一人は伝説に憧れた戦士。
彼らは軍の落ちこぼれで、上官の胃痛の種だった。
命令を無視し、減給を繰り返し、およそ軍人とは呼べる素行ではなかった。
それでも、彼らはしぶとく生きていた。
そして、自由だった。
ダンジョンを攻略し、国を壊し、世界を救った。
彼らは誰にも命令されず、無謀と笑う声も無視し、ただ自分たちの思うがままに進んだ。
そんな彼らの背中は次第に他者を動かしていった。
やがて人々は、命を懸けて未知へ挑む者を“冒険者”と呼ぶようになった。
その言葉は、彼ら三人の行動から生まれた。
彼らに計画はなく、思想もなかった。
ただ、生きるために、笑うために進んだ。
私は彼らを英雄とは思わない。
いかに愚かで迷惑に自由を、世界を楽しんだのか、残されないであろう事実をここに記す。




