表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/3

人助け?

「…というか、いつになったら人里に着くの?歩き始めて少なくても1時間はたったのに、人っ子一人見えやしない。」


俺は刀を抜き、型を思い出しながら練習しつつ、一直線に歩いていた。


映画やアニメで見た光景を目の前の草原に向けて投影しつつ、再現していく。


なんでこんな事出来るのか、よくわかなかったけど、大会でそんな技で1本奪うと他校の生徒や親御さんたちから盛大な拍手が起きることもあった。


あの頃は剣道で自分がどこまで行くことができるのか…そればかりを考えていた。


…ふと、目の前を見ると1台の馬車が見えた。

貴族の物というよりも、輸送用の民間の馬車に思える。


…よ〜くみると、何かに襲われているようにも思える。俺は不意にある光景を思い出した。俺が剣道を辞めるきっかけにもなった出来事…






高校三年の全国大会が終わり、強敵に挑んで惨敗した後…俺は居合刀を刀袋に入れて、帰路にいた。


雨が降っていた。


剣道を辞める決意をして、明日から何をしようかと思いにふけっていると目の前から叫び声がした。


正義心に駆られて走り出すと、殴られたのか倒れている高校生の男と複数人の不良に弄ばれている女子高生が見えた。


俺は思った。


これが剣道を辞める試験なんだと。


かつて剣道の師匠に言われたことがある。剣道は喧嘩の道具じゃない。喧嘩に使うときは剣道をやめるときなんだと…


これで本当の意味で剣道から離れられる。


そう思った俺は刀袋から居合刀を取り出していた。俺は、刀を抜くと脇構えを取り、近づいていく。


不良の一人が俺に気づき、怒鳴ってきたが、俺にはすでに聞こえていなかった。俺の中にあるのは、彼女を助けたい…その一心のみ。


俺は即座に走り出した。


そいつも俺に殴りかかってきたが、相手が悪かったな。


俺はやつの顎に向かって刀を振り上げた。

切れはしないが、やつの顎にヒビがはいったのが手に伝わる。


そして腹に一撃加えると奴は失神した。


その光景をみていた不良達は、じりじりと下がっていく。


俺は部員達から怒った時の目が獣のようだと言われたことがある。その目を奴らに向けた。


大したことのない奴らは逃げていった。


俺の最終戦にしては、呆気ないものだった。

積み上げてきた道のりは長かったが、崩れるのは一瞬だった。


俺は救急車を呼び、その場を離れた。



その光景を思い出した。


相手は人ではないようだが、関係ない。

今の俺にはコイツがいる。

そして、ここは日本ではない。


俺はあの時のように刀を抜き、霞の構えを取ると走り出した。


俺に反応して、何体かがこちらに向かってきた。ゴブリン?


相手がなんだろうとやることは同じ。狙いのは首。戦争に行っていたじいちゃんが言っていた。敵を首の第一関節を狙って切ったと。


小さいけどおそらくここだろう。

俺はその数体を一撃で葬ると刀を振って、血糊を落とした。


そして、目を向けた。


ゴブリン達は一目散に逃げ出した。


すると馬車から一人のおじさんが慌てて近づいてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ