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ここどこ?

「ん…あぁ〜…。…?ここどこ?」


辺り一面広がる草原。その他に本当に何もない。さっきまでホテルで…


そう。ついさっきまでホテルで洗い物をしていたはず。確かに疲れて少しウトウトしていた気もするけど…


「そっか…夢なんだ。」


俺は自分の頬を抓った。


…痛い。本気でビンタしてみた。

…痛い。ヒリヒリする。


目の前の光景は変わらない。

本当に夢じゃないのか…


俺はふと、目を下に落とした。

服が白衣から異世界の冒険者みたいな旅人風な装いに変わっている…


…もしかして、俺…異世界来ちゃった?


周りには誰もいないし…こういう時はこれを言うに限る。異世界系漫画とかアニメよく見てたから言ってみたかったんだよね。


「ステータスオープン!」


右手を掲げてそう叫んだ。

厨二病丸出しである…


すると、視界に半透明のウィンドウが表示された。






【名前】  エドワード

【種族】  人間

【年齢】  16

【職業】  勇者候補

【レベル】 1

【称号】  異世界人


 

【HP】   100

【MP】   99999


【攻撃力】 10

【防御力】 10

【素早さ】 10

【魅力】  10

【運】   99999


【スキル】

 調教師

 魔物テイマー


【持ち物】

 玉鋼製の剣:片刃の変わった剣。長曽祢興里?が銘を打ったとされる。斬空一文字。

 水筒:飲水が入っている

 財布:100ゴールド

 手鏡



…勇者候補?勇者じゃなくて?

それにこのスキルって、勇者というよりも魔王じゃね?


能力値で高いのはMPと運だけって…

魅力も低いってことは大してかっこよくもないんだろうな。


そう思うと目の前に手鏡が出てきた。

なんだ?醜い顔でも見ろってか?


俺は鏡で自分の顔を見た。


「なんだよ…髪は茶髪がかってるけど、見た目は元のまんまじゃん。これじゃ、女性にもモテないんだろうな…」


俺は鏡を投げ捨てた。

いるか!こんなもの。


持ち物の武器が刀っていうのは、ホントにありがたい。他は大したものでもないけど。本物の刀っていうだけで。その上、虎徹なんて!


でも…斬空一文字って…

こんな刀は存在しないし…

無理やり作ったな…


まぁ…いいか。

刀があればよほどの相手でなければ勝てるはず。俺の唯一といえる自慢。


剣道だけは間違いなく自慢できる。

子供の頃に歴史にハマった。それも戦国時代に。それから憧れの武将に少しでも近づきたいが為に剣道を始めた。


高校では、「全国高等学校剣道選抜大会(春の選抜)」と「全国高等学校総合体育大会(インターハイ、夏の大会)」を3年生の頃に個人の部で連覇した。


団体では2年の頃から2連覇した。


でも…そこで剣道はやめた。


唯一勝てなかった相手に挑んで負けて自分の限界を知った。俺には一生かけても勝てない相手だと思った。


その思いが俺の熱を冷ましてしまった。


まぁ…それだけでもないんだけど。


それでも、ここでは少しは役に立つはずだ。

そもそも、俺大会で声出すのが恥ずかしくて対戦相手の声にかき消されて【無言剣士】なんて恥ずかしい呼び名で呼ばれたりもしてたし。


まぁ…とにかく歩き出すか。

目的地も行き先もわからないけど、歩き出さないと何も始まらないしな。


「よっしゃ!行くぞ。」


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