4-1 オタクが三次元の恋にかかわっていいんですか!
「よっと、これでどうだい」
快楽堂(決定)の組織を立ち上げた当日、錆月達は小司先輩行きつけの裏ショップに来ておりタンクトップお兄さんにとあるものを設置してもらっていた。
「しっかし何でこんなところにポストなんて設置するんだ?」
お店の角に設置していたのはまがまがしい紫色をした四角いポストでカナタの発明品の一つどこでもチャックを改造して作ったもの。
「えっと……このポストにお客さんの悩みを書いて入れてもらってほしいんです。そうすれば少しはこの世界の人のためになることが出来るかな、と思いまして」
このポストに悩みを書いて入れるとカナタのもとに届く、その悩みを見て今の世界の不満を一つづつ潰していこうというわけだ。
ここの裏ショップの店長であるタンクトップでムキムキなお兄さんには少し濁してこれまでの事、世界を変えたいということだけ話しており『反逆者の一人である俺も何か手伝うことはないか?』と協力を申し出てくれた。
何故この場所にしたかはこの裏ショップを知っていて利用するだけでこの世界では反逆者。その反逆者が自分たちにとっては重要で、協力者を増やしたい自分たちだが相手はタダでは重すぎる条件だ。EP連中にばれれば何をされるかわからない。と言うこともありその人の悩みを解決して仲間に引き入れようという算段である。
「なるほどな、この世界に生きる奴らは皆一つ悩みや不満があるからいい考えだろう……だが自分で言うのもなんだがこの店にめったに人は来ない。常連は小司ちゃんぐらいだぞ」
「少しずつでいいんですよ」
焦ったって仕方がない、世界規模の問題だゆっくりでいい、ゆっくり、ゆっくりとこの世界を染めて見せる。
そんな時、入り口の扉が開き一人の男が死んだような眼で入って来た。
「お、珍しいやつが来たもんだ二年ぶりぐらいか?」
「お客さんの顔皆覚えてるんですね……」
めったに人は来ないと言っても二年前のお客さんの顔を覚えているなんてそうそう出来ることじゃない。
凄いなと感心していると、死んだような眼をした男性、終楽学園の制服を着ている人物は涙を浮かべた後「ハッ」と商品が並べられている壁を眺める小司先輩を見つけるとそこに走ってゆき……
「これがAK……こっちがM16うーんどっもかっこいいっすね……って何するんすか!」
小司先輩の小さな体に男は泣きながら抱きついたと思うと大声で叫んだ。
「小司、俺と結婚してくれ!!」
「「は?」」
錆月とタンクトップお兄さんはやばい奴が来た、と「は?」と口から洩れ一瞬思考を停止させるが二人の意思が戻ると一目散に小司に走り出すし、錆月は泣きじゃくる男を引きはがして間に入り、タンクトップお兄さんはその引きはがした男にエルボーを食らわせた。
「小司先輩に寄るなロリコン!」「小司ちゃんに寄るなロリコン野郎!」
二人の思考は同じで、娘を守るパパになったかのように本気で守りに入った。
泣きじゃくっていた男は地面にのびて倒れた。
「い、一体何すか、この状況」
………
……
…
「ぐすん……すみませんでした」
頬をさすりながらちょこんと椅子に座る泣きじゃくっていた男、その机を挟んだ反対側に錆月と小司が座っておりエルボーを繰り出して申し訳なさそうにタンクトップのお兄さんが見ていた。
この重い空気の中小司先輩が口を開く。
「同じクラスの高籏君だっけ、何で急に結婚してくれーって泣きついてきたんすか?」
「実は、もうすぐ十八なんです、歳。楽園法律のせいで彼女がいない俺にはランダムで国から決められてしまうんです」
楽園法律、恋愛については少子高齢化のせいで、楽しみがないこんな世界でも恋愛できるよう十八歳になると強制的にランダムで国から相手を選ばされる。自分の父親がそうだった。
強制だが回避する方法はある。それは十八歳までに恋人を作り結婚の約束をすればその強制はない。
「だからか……でも小司先輩みたいなロリに手を出しちゃだめですよ」
「仕方なかったんだ! 同じクラスでどんな子か知っている……そんな女子のために俺はロリを好きになりロリコンになる覚悟はできていたんだ!」
しくしくとなく高籏君、かわいそうだなうんうんとうなずいている錆月を横にさめたような眼で小司が二人の会話を聞いていた。
「自分ロリじゃないっす」
少し怒りの入った声でそう言った小司に焦りを感じた錆月はコホンと一つ咳き込みをして話を戻す。
「で、高籏さんはどうしたいんですか?」
「それはもう美人と付き合いたい、巨乳バンザイ、バンザイ……あ、ブスは嫌ですね、髪は黒髪ロング、清潔感のある感じがいいな、ああ妄想が膨らみます」
涙が消え、キラキラした表情で早口で喋る高籏、錆月と小司の二人は若干引き気味でそれを聞く。
……どっかでこんな早口聞いたな。
「うーん、それなら好みの人を探せばいいじゃないっすか?」
「お、俺には無理だよ……内気だし、かっこ悪いし、ブサイクだし、顔悪いし」
否定しているのがほぼ全部外見なんですけど。
……ん、これはもしかして最初のチャンスなのでは?
高籏さんの恋愛事情を解決してみればこの世界の恋愛事情も考えることが出来る。
「高籏さんその件自分たちに手伝わせてくれませんか?」
「て、手伝うって、俺の恋愛の事?」
「そうです、今からでも探せばきっと運命の人はいますよ……で、誕生日はいつですか?」
「後七日、一週間」
……たった一週間!どうしてそんなぎりぎりになるまで悩みを抱えていたんだこの人。
ま、まあ手伝うといったからにはやるしかない、一週間で高籏さんの彼女を探す。これも世界を変えるきっかけになるといいが。
………
……
…
「あ?めんどくさいからヤダよ。お兄ちゃんの恋愛ならともかく何処の馬の骨かもわからない奴を手伝うなんて」
バー・イケガミにて、モニターに向かいギャルゲーをしながら錆月を相手にするカナタ。
あれから裏ショップで高籏さんと分かれこちらの新世界に来た。
名前がないと呼びづらいのでこちらの世界を新世界と呼びあちらの娯楽がない世界のことを無世界とカナタと相談して呼ぶことに。
「すまんカナタこれも世界を変えるためなんだ、頼むよ」
両手を合わせ頭を下げお願いする、それを横目に見たカナタはくるりと回転いすを回し体をこちらに向け、顔を少し膨らませながら。
「むーお兄ちゃんがそこまで言うならそのモテない高籏?って奴の相談に乗ってやってもいいよ」
何とか了解を得ることに成功した。
「……で、後はカナタだよりなんだけど、何かいい方法あるかな?」
恋愛のことは父親の形見であるゲーム機で少しやった恋愛ゲームしか知らない。知識がなさすぎる自分よりカナタに聞いた方が早い。
「まずは、身近な場所から攻めた方がいい。終楽学園の十八歳になっていない女子と付き合っていない女子全員分のプロフィール片っ端から探すからちょっと待ってて」
くるりとまたモニターに向かい何やら作業を始めるカナタ。待ってるって言っても少し手伝いがしたい、何か自分にできることはないか……あ、そう言えば身近にもう一人女子がいる。
「小司先輩」
「ん、何すか?」
小司はカナタが作った水鉄砲と一度戦闘になったとき腰に着けていた謎の機械「飛べる君」の手入れしているところを錆月に呼ばれ振り返る。
「小司先輩は恋とかしたことあるんですか?」
その一言を聞いた一瞬ドキッと体を少し震わせ頬を赤らめると呆れた口調で。
「錆月さんは女性にしていい質問と悪い質問があるということを学んでほしいっす」
やれやれたした様子に錆月はポカンとはてなマークが頭の上に出ていた。
「……恋したことないっす」
小さな声でぶつぶつと言う小司先輩、その言葉をうまく聞き取れず「え、何?」と聞き返してしまうと小司は大きく息を吸い込み顔を真っ赤にして言い放つ。
「恋したことないっす!!」
「そ、そうなんだ」
むっとした態度でふんと顔をそむける小司は「はぁ」と一つため息をして喋りはじめる。
「高籏君の悩み解決に必要なんすよね……でも自分は恋をしたことないんで力になれないっす。申し訳ないっす」
「いや、大丈夫」
そのあと少し沈黙が続きカナタのキーボードを叩くカタカタと音がこの空間に響き渡る。
そういえば小司先輩も三年生、楽園法律の恋愛事情はどうなのだろうか……でもこの状況で聞くのはちょっと気が引ける。
「……」「……」
「終わったよー……何この空気、お兄ちゃん小司ちゃんに変なこと聞いたな。これはデリカシーを教える必要があるな……」
………
……
…
残り6日、学校が終わった裏ショップにてカナタに調べてもらった終楽学園の十八歳以下の女子の写真付きのプロフィールを紙にプリントしてもらい高籏さんにみせる。
「この中で気になる人がいますか」
ペラペラと紙をめくっていく高籏さん。だがそのめくる手は止まらず見終わってしまう。
「やっぱり写真やプロフールを見るだけじゃその人がどんな人か分かんないよ……」
「じゃあ見た目が気になる人はいますか?」
「見た目ね……」
もう一度ペラペラとめくっていく高籏さん。何枚もある紙の中から三枚取り出して照れくさそうに錆月の前に差し出した。
錆月がその写真とプロフィールを見てみるとどの子も黒髪ロングで結構胸の大きな女性でいかにも清楚系だ。
まあこれは分かっていたこと。
「明日この三人に喋りかけにいきましょう」
「ええ!む、無理だって、内気だって言ったじゃないか」
「大丈夫ですこちらには心強い妖精さんがついています」
「妖精?」
そう言った錆月はカバンから小さな耳栓を取り出した。
「これは耳栓型通信機です。これを耳につけて明日学校で気になる子に接触すれば妖精さんが話し方を教えてくれます」
耳栓型通信機、カナタが終楽学園の監視カメラで状況を把握し高籏さんに伝えるというもの。
……あれ、これがあれば一号ちゃんいらなくない?とカナタの前でポロリと言ってしまったとき『何を言ってるだお兄ちゃん、メイド、メイドだよしかも小柄で可愛い見て目をしていて礼儀正しい。これをいらないなんて、見た目、発明とは見た目が大事なのですよ。なのでお兄ちゃんは一号ちゃんを使ってください』と早口で言われてしまった。
ああ、高籏さんの早口どこかで聞いたことあると思ったがカナタの事か。二人は同じ感じがする。
で、カナタのことを何故妖精さんだと言っているのかと言うと、どうもカナタは他の人に存在を知られたくないらしいので濁して伝えてと言われたからこう伝えている。
「終楽学園に登校したときに荷物検査があるかもしれないので最初から耳に着けていてください」
「わ、わかった」
こうして高籏の戦いが始まった。
………
……
…
残り五日、高籏は昨日紙で見た情報を頼りに一人子のクラスへ行くと廊下へ呼び出すことに成功した。
「な、なんですか?」
その子は高籏がガチガチに固まってハアハアとと息を吐きながら小刻みに震えているのを見て少し引いている。
「『あれは気持ち悪いな、落ち着くよう指示するか』」
それを廊下の角から見ていた錆月とひょっこりとカバンから出ている一号ちゃん越しに見ているカナタ。
カナタがそう言うと何やらカタカタとキーボードを打つ音が一号ちゃんに入る。
このキーボードで打った文字を音声にして高籏に伝えているのだ。今回は『少し深呼吸をして落ち着きなさい』とカナタは打つ。
そのキーボードを叩く音がなくなると高籏は大きく深呼吸をして少し落ち着きを取り戻した。
「『うっし、落ち着いたな、じゃあまずは手始めに……」
カタカタとキーボードを打つカナタ。
やっぱりすごい、頼りになるなカナタは。そう錆月が思っているときだった。
「君可愛いね、ラインやってる? てかどこ住み? 俺たち付き合わない?」
「はい?」
手で髪をかき分けながら高籏さんの口から出たのは意味の分からない言葉が入った分だった。
「か、カナタ?」
小声でカナタに聞くと自信満々の声が一号ちゃんから聞こえた。
「『まずほめる、そしてラインを聞いて、そのあと家に入り込み押し倒すのだ!これで女性は高籏に惚れ結婚、パーフェクトすぎる』」
「カナタ!真面目にやってくれ。てかラインて何」
「『真面目も真面目、大真面目だよ。ほら女性を見てみて嬉しすぎて震えてるよ』」
女子生徒を見てみると確かに震えている……嬉しいのか?と思った瞬間「きもい!」と大きな声で叫ぶと教室に戻って行ってしまった。
放心状態になる高籏さん……目から少し涙が見える。
「『……よし駄目だ、今日は逃げよう』」
そう言うとぷつりと一号ちゃんからカナタの声は消えてしまった。
……また明日にしよう。
そう言い錆月も廊下の角に消えていくのだった。
………
……
…
残り4日、次の子のクラスに高籏は向かい廊下に呼び出した。
その様子を錆月と小司、一号ちゃんから覗くカナタが陰から見ていた。
今回は小司先輩にも頼らせてもらう、昨日のようにはならないはずだ。
「『よし小司ちゃん、今から三択の選択肢を言う、高籏の状況にあった言葉を選んでくれ』」
「まかせてほしいっす」
グッと両腕を前に出し頑張るぞポーズをとった。
「なに?」
出てきた女子生徒が強い口調でそう言い高籏は少しビビる様子を見せるがぐっとこらえ喋りはじめる。
「……君の事、前から気になってたんだ。どうかな一緒にお茶でも」
「何言ってるの、喫茶店なんて物はこの世界にはないよ」
「……じゃあ一緒に帰るとか」
「君のこと知らないし嫌」
やばいな相手のペースに飲み込まれつつある、カナタ頼むどうにかしてくれ。
「『小司ちゃんいくよ』」
「ハイっす」
「『1 ええいめんどくさい俺と付き合ってくれ。 2 (泣きながら)お前のことが前から好きだったんだ結婚しよう。 3 好きだ。俺のことをもっと知ってほしい(壁ドンしながら)さあどれ』」
「んーここは3番す。やっぱ恋愛と言ったら壁ドンすよ……少女漫画で呼んだっす」
……なんか二人ともなんか遊んでない?
「『よし来た』」と楽しそうな感じでキーボードを打ち高籏に指示を送ったようで、高籏は女子生徒を逃がさないよう壁に追い込むと壁ドンして喋る。
「好きだ。俺のことをもっと知ってほしい」
そう言うと女子生徒は足を思いっきり振り上げ……高籏の大事な部分へと直撃した。
高籏は縮こまり(いろんな意味で)床でもがき苦しむ。
そんな高籏に女子生徒が一言。
「死ね」
と凍り付いた表情で言い残し去っていった。
「逃げるっす」「『逃げよう』」
カナタは消え、小司はどこかに去って行ってしまった。
錆月はと言うと、縮こまっている高籏に近寄り肩に手をやる。
「痛かったな」
と一言いい去っていった。
「……皆ひどいよ」
その場にはなく高籏がただ一人取り残されるのであった。
………
……
…
残り3日、やはり無理なのだろうか。
自分のクラスの席に座り込み頭を抱え考える錆月。
恋愛をしたことない二人にギャルゲーを極めたものが一人じゃあやはり無理なのか。
どうしたらいいんだ。自分に恋愛の知識があればどうすればいいかぐらいわかるのに……
カナタと小司先輩だけに頼っちゃだめだ、どうしたらいい、どうしたら。
「錆月 灰斗さん……でしたよね?」
そんな時急に声をかけられ顔を上げるととこには、自分の机に両手を置き顔を覗き込む女子生徒の姿が目の前に見て取れ、それに少し驚いてしまう。
気配が全くしなかったその女性は体育館の集会で前に立っていた女性だということに気づく。
「そうだけど……君は?」
「ふふっ、同じクラスの生徒の名前も覚えてらっしゃらないんですね」
「ご、ごめん」
微笑む彼女は立ち上がり胸を手に当てると自己紹介を始めた。
「私の名前は公郷 綾香と申します。以後お見知りおきを」
「あ、どうも錆月 灰斗です……って知ってたか。何か用ですか」
「今日、一緒に帰りませんか?」
高籏さんの依頼、残り三日しかないのに一緒に帰えるというのもはないが……こういう状況が初めてなので断り方が分からない、どう断ればいいんだ。
そう思っていると彼女の顔が自分の耳元まで持ってくると彼女はささやいた。
「貴方の恋の悩み、聞いてあげますよ」
その言葉を聞いた錆月は彼女と顔を見合わせる。すると彼女は満面の笑みで答えを待っていた。
………
……
…
「んー風が気持ちいですね」
カナタと小司先輩に断りを入れ今日も二人で頑張ってもらうことにして自分は気になることを言った公郷さんと帰ることにした。
「公郷さん一体どういうことですか。なんで自分が悩んでるって分かったんですか?」
「ただの勘ですよ」
公郷さんは風で髪がなびくのを抑えながら彼女は「ふふっ」と笑う。
だが公郷さんの目を見つめているとすべて見抜かされているような感じがやはりする。
「それで恋の悩みはどんなお悩みで? 錆月君好きな人でも?」
この人には話すべきではない。自分の本能がそう言っている。
「それともほかの人の恋のお手伝いをしているとか、ですかね?」
「……」
「そう、お手伝いをしているんですね」
「……なっ」
自分は何も口にしていないのに何でそうなるの!?
「ふふ、顔に出てますよ」
か、顔……どんな顔してたんだ。
隠し事できそうにないなと思った錆月は一つため息をすると喋り始めた。
「自分の友達があと少しで十八歳になるんですけど彼には彼女がおらず国から彼女を決められてしまうと焦って自分に相談してきたんです。手伝っているんですがうまくいかなくて悩んでいたんです」
「そうなんですね……ですが何故焦る必要があるんですか?彼女が出来ることはいいことではないですか」
「そ、それは……友達が自分の好きな人と付き合いたいと……言ってたので……」
「じゃあ、今あなたたちがやっていることは友達が求めている物とは違う気がしますけど」
公郷さんは体をこちらによせ微かに微笑みながらそう言い放つ。
高籏さんが求めている物……自分が好きになった人と付き合いたい。そう願っているはずだ。
だが自分たちがやっていることは高籏さん好みそうな子を数人選んで無理やりくっつける。これじゃあ国とやっていることと似たり寄ったりじゃないか。
「じゃあどうしたらいいんだ……そんな顔をしていますね」
「……」
「そんなの簡単です。他の人の事なんて諦めればいいんですよ。そうすれば自分が悩むこと、傷つくことなんてありません」
諦める……のか……
「さあ、どうですかきっぱり忘れて他の人と同じように時間に身を任せるのです」
……そんなの答えは分かりきったこと。
「……諦めるなんて、お断りします」
「えっ」
彼女は驚いた表情を見せ一歩後ろに下がる。
「そしてありがとうございました。自分の間違いに気づかせてくれて」
公郷さんに頭をぺこりと頭を下げ歩きだす。
高籏さんが十八歳になるまでまだ数日ある。今の方法じゃ高籏さんは本当の幸せにはたどり着けないことが分かった。
高籏さんは最初の依頼人だ諦めるわけにはいかない。考えて、考えて、考えて。それでも駄目だったときは……あっ。
錆月はあることを閃く。その答えとは……・
………
……
…
「今回も駄目だー」
「何か高籏君見てると悲しくなるっす」
カナタと小司がバー・イケガミにてぐったりしていると扉が開きそこから錆月が現れる。そして錆月は二人を見ながら……
「今回の高籏さんの件は中止だ」
「「えっ」」
4 オタクが三次元の恋にかかわっていいんですか! 続く




