ファン・エイクの兄弟たち
本編 第十一章-8 あたりのあとがきみたいな話。
美術史的メモ。
この物語でまず「ヨハネス」として登場させた
Jan van Eyck (ヤン・ファン・エイク、もしくは ファン・アイク)
は西洋美術史上最重要ともいえる画家なので、参考文献も山のようにあります。
日本語ウィキペディアの詳しさ、更新回数も凄いです。
美術史的観点からだけじゃなく、小説のネタ的視線で見ても面白すぎる人物ではあるんですが、
それだけに安易には手を出せず。
といいつつ、「彼の名」が登場する拙作は実はこれが3本目、
実際にキャラとして登場させたのはこれが始めて。
彼の名前は van の部分が 小文字表記のことが多く、エイク はおそらく マース川沿いのエイク村
現在のマーザイク(マースエイク)の出身だからだろう、とされています。ヴィンチ村のレオナルド先生と同じですね。ダ・ヴィンチの生年はヤンの死のほぼ10年後、ヤンのほうが「油絵の発明者」とされていました。(←「発明」は正しくないようですが)
ちなみに 「エイク」 は英語の オーク にあたり、樫の木(=セイヨウナラ、どんぐりの木)のこと。
マーザイクの町の広場、現在はヤンとフーベルトの兄弟像がある場所には、かつては大きなオークの木があったそうです。
ってことで、「ヤンの兄」といえば普通 ゲントの祭壇画『神秘の子羊』を描き始めたお兄さん、フーベルト〈ヒューベルト、ヒュベルトゥス)。ランベルトは「弟」とされることが多いんですが、なにぶん生年も没年も不明なのでどっちか不明。
この物語ではおもいっきり出番の多いランベルト君は、「たぶんヤコバの肖像を描いた」くらいしかわからないようです。
で この ランベルトが描いたんじゃないか? とされるヤコバの肖像とされる絵と、ヤンが自分の妻マルガレータを描いた絵は異常なくらいに構図がそっくり。実はいろいろ妄想そそられていたりします。
ヤンの奥さんの絵のほうは 「わたしの夫ヨハネスが描いた」というヤン独特の銘が枠に入っているため
「ヤン・ファン・エイクが自分の妻を描いた絵」であることは確実とされています。
この「銘文」もまたおもしろいんですが、その話はいずれまた。




