「迷-しんじつ-宮」 5
[会議室]
「ギ・・ギィ」
ホコリまみれのドアを開けるとそんな音がした
室内はだだっ広く、丸い長テーブルが置かれていた、そしてその周りに席に合わない数のイスが数個並んでいた
「全てあの時から時間が止まったのかもしれないな・・・」
京介は会議室を一周すると次の部屋へと入った、「営業部」「企画室」どの部屋も時間が止まったかのようだった・・
「そう言えば・・」
京介は自分を導くようにここに連れてきた女の存在を思いだした
「あの女は3階から俺を見ていたような気がする・・と言う事はこの上に何かがあるのかもしれない・・」
急いで上の階に昇る階段を探した、長い廊下を走ると廊下の隅に階段があった
「ハァ、ハァ、ハァ・・」
階段を昇ると2階とは違い沢山のドアが並んでいた・・・
「入り口に面した部屋だ、そこからアイツは見ていた」
ずらりと並ぶドアをの前を歩き、女が居たと思われる部屋のドアを掴んだ
「ガチャ・・」
ドアはすんなり開いた
「2階とは違う、今も使われているような開き方だ」
中に入ると、室内は多少ホコリっぽかった、小さなデスクが数個置かれていた
京介は窓際まで歩いた
「ここから見ていた筈だ・・・アイツは一体なんなんだ・・」
京介は窓の外を少し眺めた後、廊下に向かい歩き始めた
「うんっ・・これは・・」
床に目をやると、かすかに人の足跡が見えた・・人の足跡とはっいても裸足ではない・・
サイズ的に大人の男性よりは小さめに見えた
「アイツの足跡に違いない・・やっぱり、あの女は存在するんだ・・・なんのために俺の前に現れるんだ・・」
その後、京介はくまなく各階の部屋を見て歩いた、そして10階にある役員室へとたどり着いた・・・
「ここが最後の部屋だ・・」
そう呟き、ドアノブを掴んだ
「ガチッ・・ガチッ」
「開かない・・何故、この部屋だけ開ける事が出来ないんだ・・」
「ここに何かがある」そう直感で感じた
役員室のドアから離れ、おもいっきり助走をつけてドアに体当たりした
「ダァァン!」
ドアはビクともすることなく、ただ自分の体だけに痛みが走った
『クソッ』
その後も何度もチャレンジしたがドアは開くことはなかった
「この位、頑丈に作られたうえに鍵がしてある・・何か大事なものが隠されているに違いない・・だが、現状ではどうしようもない・・どうにかして中に入れないものか・・」
「そうだ、外からなら・・・」
このビルは10階建て、そして10階の上には屋上がある、屋上のどこかに何らかの命綱でも括りつけて、ぶら下がり、窓ガラスを割って入る行かない、京介は直ぐに屋上へと向かう事にした
窓を割って入るならば、少し危ないが夜の方がいい、昼間では目立ちすぎる、建造物侵入で逮捕になってしまってからじゃ終わりだ、まして、このビルはいろんな噂のあるビルだ、俺が逮捕にでもなれば、母さんにまたマスコミが目を向ける・・それだけは避けたい・・そう思ってた
屋上へ繋がる階段まで行くと異変を感じた
他の場所よりも汚れが少ない、手すり、階段、共に決まった場所のホコリがまるで付いていなかった
何か心の奥底からザワザワするような気配を感じながらも屋上の扉に手を掛けた・・・
「ガチャ・・」
「開いてる・・」
ドアを一気に開いた
「なんだこれは・・・・」
屋上は室内とはまるで違い、荒れの果てのような感じであった
コンクリートが壊れ、針金がむき出しになっているような部分が多々見えた
そして一番の違和感を感じたのは、無数に転がる、ぬいぐるみや人形・・・
京介はぬいぐるみを手に取った・・
「切り刻まれている・・・一体、何なんだ・・」
地面に転がるぬいぐるみや人形たちは全て、腕や足が無いもの、首が無いもの、目玉をくり抜かれているものだった・・・
「このビルは死んでいない・・・未だに何かが動いている・・・
使われていない部屋こそ沢山あるが、あの開く事が出来ない、役員室、そしてこの屋上・・
おかしな事が多する・・・」
京介はそんな事を考えた
「カツカツカツ・・・」
すると・・屋上を囲むフェンスの所に人らしき姿が目に飛び込んできた
「あっ・・アイツだ・・」
京介には、その人影が誰であるかを咄嗟に感じ取った
謎めいた、この場所に人が居ること自体がおかしい・・・そして、こんな所にいる、アイツは何かを知っているはずだ・・
数秒間、立ち止まり考えた後、京介はその人影に向かい一歩踏み出した・・・
その瞬間、その人影はこちらを振り向いた・・・
。




