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百の華 神との契り

「なかなかどうして…やってくれますね。」

 木暮が腕を抑えながら言う。重の魔法によって腕を吹き飛ばされた為だ。


「…もし彼が…もう少し狙う余裕があれば危なかった。まさか火の帝である私を火で貫くとは。」

 木暮の腕は徐々に修復され元どおりになっていく。


「…折れない心ですか。非常に興味深い意見でした。私もあなたの行く末を見届けたくなりましたよ。」

 木暮が倒れた重を見ながら言う。帝化は解けており地面を歩いている。


「……ぐふっ…おや?、…これは…」

 そんな木暮の胸元。2つの穴が空いていた。地面からの槍が貫いていた。


「『壊刀』。」

 さらに後ろから斬り裂かれる。その刃は木暮の体の右肩から胸のあたりまで届いていた。


「…こはっ、はぁはぁ…なるほど…『火帝』。」

 木暮が帝になる。それによって胸を貫く土の槍は消え失せ壊刀も止まっていた。


「…ずっと待っていたわけですか。私を殺れるその瞬間を。そして仕掛けた。確かにその刃の切っ先はは私の喉元まで届きました。」

 傷も癒えた木暮が言う。平静を装ってはいるが予想外の致命傷により魔力を削られ余裕はなくなっていた。


「…まだ結果は出てないだろ?。俺は…獲るぜ。あんたからの勝ち星を。解放。」

 剣が壊刀を解放する。それにより魔力の奔流が起こり剣は木暮と距離をとる。木暮は体を吹き飛ばされたがすぐに修復する。


「確かに予想外の一撃はもらいましたが…もう隙は見せない。一分も。『円点火』。」

 木暮の左の指先に光が灯る。


「それは…もうくらった。…今だ!。」

 剣が飛び上がる。直前まで剣がいた場所には5つの炎の針が刺さっていた。


「俺がただ寝てただけだと思ったら甘いぜ。張らしてもらったぜ風の膜。それであんたの魔法を見切ってやる。」

 それは以前風待から教わった技術だった。風の膜を至る所に張り巡らしそれによって木暮の魔法の発動を察知したのだった。


「…あなたたちを甘く見ていたのは認めます。これは…私が隣に並ぶ為に作った…オリジナルです。」

 木暮の体から炎が消える。


「…なんだ?。何をっ⁉︎。くそっ!『風纏螺旋槍』。」

 木暮を訝しげに見ていた剣だったが突如風纏螺旋槍を錬成し駆け出す。その顔に先ほどまでの余裕はない。


「…もう遅いです。『百華・日輪』。」

 木暮の背後に大木が現れる。燃え盛るその大木は徐々に大きさを増していき実をつける。


「…綺麗だ。」

 剣はその歩みを止める。それは戦いの場において致命傷に値する。しかし止まらざるを得なかった。それ程までに魅了されていた。


「その身に刻みなさい。」

 大木に成った実が光量を上げていく。やがてその実にヒビが入り弾けようとする。とその時…


「ちょっとストップだ。四の太刀『神契り』。」

 如月が現れ百華を斬り裂く。重に見せた三の太刀『神斬り』の上。神と契りを結んだと言われるほどの剣撃。その焔が百華を飲み込む。


「ちっ、やりすぎだ雅。いくらこいつらが思いの外やる奴らで焦ったからって…その魔法はダメだ。」


「その魔法は俺の為にだけ使え。いいな。」

 木暮に声をかける如月。その声には有無を言わせぬ圧力があった。勿論木暮が如月に刃向かうことなどありはしないのだが。


「…はい。」


「そんで…あー火祭剣って言ったか。まぁもういいだろ?。雅だけでなく俺の魔法まで見れたんだ。俺の四の太刀を見て生きてるやつは希少だぞ。」


「…うす、俺はもういいっす。」

 うなだれる剣。最後の最後、木暮の魔法に魅せられ何も出来なかったことを恥じていた。


「…悔しいか?。その気持ちがあれば何とかなる。雑魚はその気持ちさえ失くしちまってる。」


「取り敢えず救護室に行け。残りの2人ももう運んでる。」

 こうして国家魔導師付きとの戦いは重達の敗北で終わったのだった。


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