参加者集まる
「おーい剣!早くしないと置いていくぞ〜。」
重の声が響く。その重の肩にはカバンが掛かっている。
「ちょ、あとちょっとだから…待ってくれ!。」
2階から剣の慌てたようなもの声が返ってくる。
「ったく…だからあれほど前もって用意しとけって言っといたのに。」
重達が全星寮に帰ってきてから1週間が過ぎた。今日から三日間の合宿に向かう予定である。しかし剣が姿を見せない。
「おやおや、剣君はまだ用意をしていなかったのか。そろそろ生徒会の面々が来てしまうよ。」
若草が苦笑いを浮かべなから2階の方を見る。
「…しょうがない。ちょっと行ってきますね。」
見兼ねた重が剣の部屋に向かう。取り敢えずの物だけ詰め込んで引き摺り出す為である。
「ふふ、2人って本当の兄弟みたいですね。重さんがしっかりしたお兄ちゃんで剣さんがやんちゃな弟みたい。」
澪が2人のやりとりを聞いて微笑む。
「そうだね。…おや、来てしまったようだね。」
そう言い若草が手を挙げる。その視線の先には生徒会のメンバー達がいた。会長である創士を先頭に副会長真利谷、会計風待、書記並木、庶務若草花凛の5人である。
「若草大樹、用意は出来て…いないようだな。火祭剣と八神重の姿がないな。」
若草達の方を見て創士が言う。
「すみません。まだ少しかかりそうで…」
そうな若草の声を遮るように重の声が響く。
「すいません、遅くなりました。ばっちり用意は出来ました!。」
「いや、出来てはねーよ⁉︎。詰め込んだだけだからな。足りないものがあったらどうすんだよ。」
「それは前から用意してないお前が悪いんだろ。諦めろよ。」
出て来て早々喧嘩を始める重と剣。
「はっはっは。元気なのは良いことだ。今日から三日間よろしく頼むぞ。」
2人のやりとりを見ながら創士が言う。
「こちらこそよろしくお願いしますね。…それで引率の先生は…」
「呼んだか?。」
生徒会の5人の後ろから重達の担任である槙野が姿をあらわす。
「え、槙野先生。どうしてですか?。」
「なんでってそれは俺が生徒会の顧問だからだよ。だから俺が引率してやることになったんだ。ありがたく思えよ。」
澪の質問に槙野が答える。
「そんじゃあ、行くか。一応バスを手配してあるからな。貸切だぞ〜。流石七星が3人もいるだけはあるな。あっさり許可がおりたぞ。」
そう言い槙野が歩き始める。
「まぁ、お互いの紹介はバスの中でやるか。」
その創士の言葉で全員槙野の後を追ったのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
重達が出発して少し経った。全星寮の前に1人の女の子が現れる。草薙である。
「…大っきい。七星になったらこんなのもらえるんだ。」
「すぅーはぁー…すぅーはぁー。『コンコンッ!』」
(ついに来てしまった。重君いるかな?。いるよね、朝結構早いし。もう地元には帰ったらしいし。な、なんて言おう。偶々ランニングしてたら通りかかって…こんな所を?。ダメダメえーと…風に導かれて。何言ってる私。絶対にダメ。)
凄い浮かれかたである。かねてより全星寮を訪れてみたかった草薙であったが遂に意を決して訪問したのである。ただし…
(…あれ?。…誰も出ない?)
少し遅かった。今全星寮には誰もいない。まさしくもぬけの殻である。
「…だ、誰もいないんですか〜?。」
恐る恐る門を開けるがやはり人の気配はない。
「嘘…昨日まで誰かはいたのに。…どうしよう。」
途方に暮れる草薙。そこに神が通りかかる。
「おや?あなたは…草薙さんですね。どうしてこんな所に?。」
学園長である。
「が、学園長⁉︎。えーと、あの…実は重君と約束があったのですが…誰もいないようでして…」
嘘である。そんな約束などない。
「そうでしたか。ですが…確か若草達は生徒会のメンバーと合宿に行っているはずですよ。申請が出ていたはずです。」
「え、…そうですか。わかりました。ありがとうございます。」
学園長から合宿のことを告げられかたを落とす草薙。そして学園長に礼を言ってとぼとぼと歩き出す。
「…場所なら教えますが?。あなたなら実力的に参加しても大丈夫でしょう。」
「!。ほんとですか!。ありがとうございます!。」
その言葉に飛びつく草薙。当然即座に用意を済まし重達を追いかけることになる。
(待っててね。重君。)
恋する乙女の行動は誰にも止められない。




