それぞれの想い 戦いを終えて
ちょっと短いです。
「えーそれでは剣君と澪ちゃん、重君の準決勝進出及び剣君と澪ちゃんの決勝進出を祝ってかんぱーい。」
若草が乾杯の音頭をとる。全星寮では宴会が開かれていた。1年生のコンビ戦の結果を知った若草が用意したものである。
「それにしても3人とも準決勝まで進出するとは…とても誇らしいよ。」
若草が言う。
「えーと確か準決勝で剣君と重君が当たったんだよね。どうだった?。」
「んーそうですね。剣の隠し玉にやられましたね。まさか俺の火拳をぶち抜いてくるとは…あとは花凛ちゃんに…ッてそうだよ。大樹さん妹いたなんて一言も言わなかったじゃないですか。」
重が花凛の存在を思い出し若草に尋ねる。
「あれ?言ってなかったかい?。花凛は僕の妹だよ。」
今更のように発表する若草。
「知ってますよ。なんでここに住まないんですか?。」
「花凛は生徒会なんだよ。だから創志さんのところに厄介になってるよ。だいぶ迷惑をかけているらしいけどね。」
苦笑いしながら若草が言う。
「それにしても…隠し玉か。あ、もしかしてあれのことかい?。」
かつて自分との戦いで使用した燃える大剣。そのことを思い出し尋ねる若草。
「ん?あぁそうですよ。先輩に使ったやつです。前は全く制御できなかったけど今はちょっとの間なら制御できるようになりましたからね。」
「あの魔法はえぐすぎるだろ剣。多分止めれるのは澪ちゃんぐらいじゃない?。」
重が威力を思い出し言う。
「え⁉︎私ですか?。…見てないのでなんとも言えませんが…明日は止めてみせます。そして勝ちます。」
澪にしては珍しく言い切る。その言葉には覚悟が垣間見える。
「言ってくれるじゃん。明日が楽しみだよ。明日俺がトップを取り、あの2人に挑む。現二輝、三輝と戦えるチャンスなんてそうそうないからな。」
剣も明日に向けての覚悟を口にする。
しばらくして宴会はお開きになった。
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「ふー、食べ過ぎたな。大樹さんの料理は美味しいから。」
自室に戻った重はベッドに横になりながら息を吐く。そして目を閉じ今日のことを思い出す。
(今日の戦い。…勝てる要素はあった。花凛ちゃんは確かに強かったけど…茜ちゃんだって剣を相手にしてくれた。だから…勝負を分けたのは俺と剣の差。…まだ勝てないか。)
「悔しいな。茜ちゃんも頑張ってくれたのに。次は…負けない。新しい何かを身につけてみせる。」
そう決意し眠りにつくのだった。
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「私が…決勝に。ううん、分かってる。夢坂君の力が大きいってことは。でも…少しは私も強くなったって思っても…いいよね。明日は私の今持てる全てを見せる。見せて魅せる。そして証明する。」
自身のなさを指摘され続けた澪。しかし今開花する時が迫っている。
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「んー明日はどうすっかな。問題は物理無効。さらには矢沢の帝か。花凛の幻覚は使えない。俺がメインでいくべきか?。夢坂の速度も…まてよ…そもそも明日花凛の奴ちゃんとくるんだろうな。…一応朝一で迎えにいくか。」
本来と違うところで悩まされる剣の夜は続く。