剣、孤軍奮闘
第2会場
「17番は…やっときましたね。あと少しで棄権にするところでしたよ。おや?…1人ですか?。」
剣が会場に入るがそのパートナーの姿は見えない。
「あ〜、あれっすよ。俺が1人で相手をしてやるってことっすよ。温存ってやつっすね。」
剣がおちゃらけたように言う。しかし内心は…
(なんでいないんだよ。寝坊か⁉︎寝坊なのか?。これだから生活態度が不真面目な奴は困るぜ。)
完全に自分のことを棚に上げて憤る剣。
「おいおいまてよ。これはコンビ戦だろ?。良いのかよ1人で。ルール的によ。」
対戦相手が文句をつける。あわよくばここで剣を脱落させようとする思惑が見て取れる。剣は夢坂に次ぐ実力者だと目されているからである。
「それは大丈夫だろ。途中で魔力切れで倒れた時は残りの1人で戦うことが許可されてんだ。その代わり試合の途中から参戦とかはできないみたいだけどな。」
剣が答える。
「…そうですね。1回戦から1人なのは異例ですが…この試合中の参加はできませんよ。それで良ければ…特にルールには抵触しませんね。」
担当の先生が述べる。これにより剣のルール違反で失格ということはなくなった。
「さて。少し遅れましたが始めましょう。17番対32番。」
「…っち、だけどよ。お前1人だぜ。1人で俺ら2人に勝てるのかよ。」
「舐められたもんだな。だから温存なんてしてんだろ?。」
自分達2人を1人で相手取ると言う剣に怒りが収まらない。
「まぁまぁ落ち着けよ。(なんでこんなことになってんだよ。取り敢えず乗り切るしかないか。)」
「…いくぞ。L3『黒土の長剣』。サポート任せたぞ村野。」
剣を錬成し飛びかかる。
「L4『風斬りの大剣』。」
剣も武器を錬成し応戦する。
『…ギギギッ…カァーン。』
鍔迫り合いでお互い距離をとる。
「そこだ。L4『斬大地』。」
後ろに下がった剣の足元から土の槍が生える。
「うおっ。L3『黒土の盾』。」
後ろに盾を錬成し事なきを得る。しかし、相手の攻撃は終わらない。
「まだだ。一気に決めてやる。L3『黒土の長剣』。」
もう一振り錬成し二刀流になる相手。ふた振りの刀で次々斬りかかってくる。
「…チッ。洒落せーな。L4『華炎陣』。」
魔法を発動し、一旦2人から距離を取る。
「いきなり使うことになるとはな。この前より弱めだからいけるだろ。…L3『黒土の槍』L3『風槍』。…合わされ。」
剣の手にある二つの武器。それが一つになる。
「な、なんだそれは?魔法を混ぜるだと⁉︎。…ハッタリだ。」
そう言い剣を振り上げ斬りかかる。
「悪いな。この槍は一点突破。全てを破壊し貫く。」
剣の手には槍。それも西洋の騎士が持っていたランスのような槍があった。
「…あれは、間に合え。L3『土門』。」
味方の危機を察知し壁を張る。
「…言っただろ。この槍は全てを壊す。」
土門を貫通しさらにはふた振りの刀ごと相手を貫く。
「ぐ…ぐぞ…。なんなん…だよ。それ…。」
そのまま気絶する。
「くそが。L4『斬大地』。L3『土門』。」
「まだ諦めないのか。良いぜ。いくぞ、槍は投げるものだ。」
槍を投げる剣。その槍は斬大地の槍と土門を貫通。更に相手も貫いた。
「…勝者17番。」
勝ち名乗りを受ける剣。その右手は切り刻まれていた。直ぐに魔力が肩代わりし何もなかったようになる。
「痛た…。やっぱり結構持っていかれるな。大樹さんとやった時よりはマシか。」
あの時は右手が燃え続けた。今回は切り傷を受け続けた。燃えるよりマシである。
「1発目で使っちまうとはな。これもあいつのせいだぞ。…探しにいくか。」
剣はパートナーを探しにいくのだった。
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(剣の奴いつの間にあんなことができるようになってたんだ。あの槍俺ならどう止める?。)
重は剣の試合に見入っていた。
「重君。こんなところにいたんだ。」
草薙が重に声をかける。
「あ、うん。剣の試合を見てたんだよ。あいつまた強くなってるね。」
「そうだね。最後の槍は私も受けれるかわからないよ。でも…勝たないと。彼とは準決勝で当たることになるから。」
既にトーナメントの山は発表されており両チームが順調に勝ち進めば準決勝で当たることになる。澪と夢坂のチームは反対の山なので決勝まで当たらない。
「あ、呼ばれてるね。行こう重君。」
「うん。取り敢えず一戦一戦頑張ろう。」