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運命の相手をみつけろ

 その日の実技はいつもと違っていた。午前に発表されたコンビ戦の為である。自分の魔法を披露し、周りにアピールする者、その魔法を見届ける者、早くもコンビを組む者など様々な様相を呈していた。そしてここにも悩める生徒が…


「ん〜、誰と組もうかな〜。できれば俺が前に出たいんだよな。だから…サポートしてくれる人がいいな。」

 自らのスタイルと相性の良いであろうタイプを中心に物色する重。重が近づくと周りの生徒たちはさらに気合を入れる。既に1年の中で実力者として認められている重と組むことができれば自分も上に行けると考えての行動であった。


「何だ重。お前もまだ決まってないのか?。」

 剣が重の肩に肘を置きながら尋ねる。


「そう言う剣だってまだ決まってないんだろ?。」

 剣の方を見る重。


((こいつと組むのは無いな。攻めることしか考えてないバカだ。))

 お互い自分のことを棚に上げて失礼なことを考える2人。しかし周りから見れば2人が組むように見え周りからアピールのために集まった生徒が消える。


「…お前がどうしてもって言うなら組んでやっても良いぞ。」

 パートナーを探すのが面倒になり剣が重に提案する。しかし、


「おいおい、寝言は寝てから言いなよ。剣が頼むんなら仕方なく組んであげるよ。」


「「…………………」」

 2人の間に沈黙が流れる。


「「………後悔するなよ!。」」

 そう言い2人は別れてしまう。


(さて、そうは言っても…誰と組もう。…あれ?そういえば何で俺澪ちゃんに声かけて無いんだろ。)

 あたりを見渡し澪を探す重。しかし残念ながら澪の姿を発見することはできなかった。


(まぁ寮で聞けばいいか。)

 この時の重の決断が後々自分自身をおいつめることになるがそれは後の話。結局この日はパートナーを選ぶことができず寮に帰ることになる。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「え⁉︎剣パートナー見つけたの?。」

 寮で剣に聞かされ驚く重。剣もどうせ自分と同じくまだ見つけていないと思っていた。


「あぁ、ちゃんと見つけたぜ。それも…結構できる奴をな。」

 自信たっぷりに言う剣。


「…そうだ!。澪ちゃん、パートナー見つかった?。もしまだだったら俺と組まない?。」

 澪に打診する重。しかし、


「…すいません。実は今日の実技の時間に誘われまして。もうOKしちゃったんです。なので今回はすいません。」

 そう言い重の提案を断る澪。


「…まぁなんだ。まだチャンスはあるはずだ。せいぜい頑張れ。」

 笑いを堪えながら言う剣。


「う、うるさいよ。トーナメントでは吠え面かかせてやるからな。」


「あの…後トーナメントまではパートナーとの訓練にあてるのでお二人とは実技の時間ご一緒できません。」


「あ、俺もだ。だからバラバラだな。」

 澪、剣からの提案により1人が確定する重。


「う、うん。仕方ないよね。ははは、(早く見つけないと。)」

 重の苦笑いが響く。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

(どうしよう?誰と組めばいいんだ?。)

 2日目に入り重は悩んでいた。そのため前を見ていなかった。


「…うわっ⁉︎。ご、ごめん。考え事をしてて。」

 人にぶつかってしまう重。その目の前にいたのは…


「べ、別に構わない。気にしないで。」

 突然の重との遭遇に顔を赤くする草薙だった。


「草薙さんだったんだ。久しぶりだね。」


「う、うん久しぶり。」

 本当は密かに何度か重を見にきている草薙。


「それで…考え事って…どうしたの?。」


「うん、実はコンビがまだ決まって無いんだよね。だから…」


「!。それだったら私とかどうかな?。私もたまたままだパートナーが決まって無いんだ。」

 食い気味に言う草薙。彼女の中の勝負師としての勘がここだと告げていた。


「本当に⁉︎。それなら俺からお願いするよ。ぜひコンビを組んでください。」

 こうして重も無事にコンビを組むことができたのだった。


(重君とコンビ…にやけちゃうよ。)

 1人草薙は悶え苦しんでいた。


次回更新は1月1日になります。

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