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剣慮られる

「くそ!お前のせいで立たされたじゃねーか。」

 着席を許可された剣が重に吠える。しかしあくまで視線は前を向いたままである。なぜなら授業中だからである。


「いや、別に俺のせいじゃないでしょ。周りをちゃんと見ない剣が悪いんだよ。」

 そんな剣に重が落ち着いて返す。


「いーや、お前のせいだね。てか悪意しかなかっただろ⁉︎。お前が着替えに行った時俺に一言声をかければそれで良かったんだからな。なんで黙って1人で着替えてんだよ‼︎。」

 重の言葉にヒートアップした剣。今の状態を忘れ立ち上がり反論する。


「…あの、剣さん、その…一応授業中です。」

 そんな剣に澪が警告を出すが時すでに遅し。


「矢沢一応じゃないぞ。ばっちり授業中だ。そんで火祭…アウトだ。」

 担当の教師が剣の方を指差している。そしてその指先は次に廊下に向けて動かされた。


「…はい。」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


(くそ、座ったばっかりだったのに。なんでまた立たされてんだよ。)

 剣はやさぐれていた。間違いなく剣が悪いのだが重が無罪なのが気に入らなかった。重は要領よく立ち回るためこういうことは過去には多々あった。


(はぁ〜、…ちょっくらぶらっとするか。)

 暇になった剣は当てもなく歩き始める。全く反省していなかった。


(そもそも…なんで俺ばっかり…ん?誰かいる?。こんな時間に?。お寝坊さんもいたもんだな。)

 普段の自分を棚に上げて剣が反応する。そこにいたのは、


「お、お前は確かこの前会ったな。んー、思い出したぜ。俺の四の太刀を見て生きてる数少ない男、火祭剣じゃねーか!。久しぶりじゃねーか。…こんな時間に何をしてる?。この時間なら生徒に見られる心配はないと言われたからこの時間に時間だが…」

 如月であった。隣にはこれまた大柄な男。如月を荒ぶる獣とするなら隣にいる男は不動の山のようであった。


「…ちょっとトイレっす。そっちこそなんでっすか?。」


「こんなところまで?。まぁいいか。国家魔導師になるとな色々あるんだよ。くそめんどくさいけどな。んじゃいくわ。精進しろよ。」

 如月が立ち去る。そこに残された剣。



「あの隣の人。…かなり出来る。俺より強いな。くそっ、化け物ばっかりかよ。」



『ピンポンパンポン!、えー、1年火祭剣。罰中に逃走とはいい度胸だな。大人しく出頭しろ。さもなくば……ピンポンパンポン‼︎』


「さもなくばなんだよ!。」

 剣の声が響いた。その後剣がどんな罰を受けたかは誰も知らない。本人も語らない。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…あれがここの学生か。中々どうして…悪くない。」

 如月の隣にいる男無藤が先ほど見た学生について意見を述べる。


「まぁ、あいつはこの学園でも指折りの実力者だからな。俺の副官の裏をかいた男だ。」


「成る程。…しかし頭は悪そうだ。」

 先程の学生の雰囲気を思い出し無藤が言う。


「それが戦いになれば中々クレバーな戦いをする。切れ者と呼んでも…」

 それに対し如月が珍しく人を褒めようとするが…


『ピンポンパンポン!。えー、1年火祭剣罰中に逃走とはいい度胸だな。大人しく出頭しろ。さもなくば……ピンポンパンポン‼︎。』

 剣を呼び出す声が校内に響く。


「…呼んでも?」


「何でもない。忘れてくれ。」

 普段しないことはするもんじゃないと思う如月であった。

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