新しい名と強い気持ち
人生初のぎっくり腰になりました。めっちゃ痛いです。トイレにいけません。皆様もお気をつけください。
「ふぅ、やれやれ…疲れたね。」
若草が全星寮に帰って来た。北斗会を終えての帰宅である。会議終わりに東堂に絡まれ危うく風紀委員長に任命されそうになった。今まで組織に属していなかった者がいきなり長に就けば混乱は免れないだろう。それが分かった上で東堂は若草に就任を依頼していた。分かった上でなお若草のことを買っていて願い出たのだ。若草もそれを分かっていたので直接的に断りづらく長い話になってしまった。
「あ!大樹さん。北斗会はもう終わったんですか?。」
そんな若草に寮のリビングでお茶を飲んでいた重が声をかける。そして若草にもお茶を淹れることも忘れない。
「ありがとう。うん、終わったよ。君達にとっても重要なことも会議の内容であったから後で言うね。」
今回の北斗会の内容。それは1学期を終えて変更しなければならないことや新規に決定する事柄ーーつまり二つ名についても議題に含まれていた。全星寮の寮生にもその対象になった者がいたのだ。また創士と霧島の会話にあったことも今回のメインの議題だったといえるだろう。その内容はまたそのうち。
「俺たちにも関係のある事ですか?。んーなんだろ。まぁいいや楽しみにしてますよ。」
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時間は流れ夕食の時間。寮の食堂には4人の姿があった。
「さてそれじゃあ話そうかな。今回の北斗会の内容を。」
おもむろに若草が話を始める。
「昼間に言ってたやつですよね。結構気になってたんですよね。」
「ん?俺たちにも関係あることなのか?。」
昼間部屋で惰眠を貪っていた剣が尋ねる。
「そうだね、先ずは二つ名の改定と新規命名。これが今回の議題だったんだ。」
「ー‼︎。」
その言葉に反応する澪。澪は以前から自分の二つ名である溺水領域に対して不満を抱いていた。それを変えるチャンスとあっては黙っていられない。
「ふふ、良い反応だね。それじゃあ言うよ。先ず澪ちゃん…『分水澪』。これは澪ちゃんの名前と水帝に因んだものだね。物事を左右する程の強さを表している。」
「分水澪…今の私には過ぎた二つ名じゃないでしょうか。」
以前の溺水領域からは変更されているが新しい二つ名の由縁を若草から聞き自分には過ぎた名前だと不安になる澪。しかし、
「…いや、いいんじゃないかな。澪ちゃん、自分に自信を持ちなよ。真利谷さんもそこを指摘していたよ。君は自信を持てば一足飛びに強くなる。今回の二つ名はそのきっかけにして欲しい。まさしく分水嶺だよ。」
若草が真剣な眼差しでこの二つ名決定の理由を語る。少し厳しい言い方になってはいるがそこには澪への気持ちがこもっていた。
「そうだね、澪ちゃん俺も良いと思う。かっこいいよ。」
「それに断ったら前のやつに戻っちまうぞ。良いじゃねーか強そうで。」
重と剣も澪に新しい二つ名を勧める。2人も澪がどこか自分たちに対して劣等感を抱いていると感じていた。その感情に終止符を打てればと思ってのことである。
「…わかりました。この名に恥じぬようこれからも頑張ります。」
そんな3人の気持ちを受け新しい二つ名、分水澪を受け入れることを決める澪。その目には自分のことを考えてくれる人のことを思ってか涙が滲んでいた。




