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エピローグ 3

「以上を以って、初任科第二三三期卒業式を終了する!」

 学校長のその言葉を持って、俺達の卒業式は終わった。卒業式が終わった俺達は自らの教場に集まり、菊池教官と油井助教の最後の言葉を聞いていた。

「一線署で苦しい事もあるだろう。だが、ここで培った関係は必ずお前らを助ける。だから仲間を信じろ。お前らがこの学校で得た一番の物は仲間だ」

 油井助教の言葉は、弾丸の雨を切り抜けて来ただけあって重かった。そして、いつも冷静な油井助教がこんなに熱い事を言うのが意外だった。

「では……菊池教官お願いします」

 油井助教は話終えると、菊池教官に教壇を譲った。菊池教官は悠然とそこに立つと俺達を見渡した。

「おはよう!」

『おはようございます!』

 いつもの遣り取り、この声が聞けなくなるかと思うと少し寂しい。

「おし。返事はちゃんと出来るようになったな。まあそれだけでもこの学校に来れて良かったんじゃないか? なあお前ら」

「はい!」

全然そうは思ってないが同意する。それが警察学校クオリティ。

「はは! まあ一線に行ったらここまでの事は言われないから安心しろ。では卒業する諸君らに一つお話しようか」

菊地教官は全員の顔を己の脳に焼き付けるように見渡すと語り出した。

「昔、一人の警察官が居た。優秀で正義感に溢れ、そして誰よりも市民に優しい男だった……しかし、ある日彼は選択を迫られる事になった……」

珍しい事に菊地教官の口調は重かった。その空気から俺達はそれがただの空想の話しでは無いと悟った。

「まあ簡単にいうと警察組織と意見が食い違ったわけだ。警察は犯人逮捕に力を注ごうとしたが、彼は被害者を守る事に全力を尽くした。そして彼は組織に疎まれながらも被害者を守りきった」

菊地教官は過去を思い出すように目を閉じる。

「それが正しかったのか、それは分からない。しかし、こういった理不尽とも思える場面がお前らの前に現れる事があるだろう。その時お前らがどういった選択をするのかは分からん、元々正解の無い問いだからな。けどこれだけは言っておく……」

菊地教官は迷いの無い晴れやかな顔を浮かべた。

「警察官なら決して諦めるな。どんな状況でも足掻いて足掻いて。足掻き尽くせ。良く言うよな……諦めないで良かったと、しかし、諦めて良かったという話は聞かん。これはつまり諦めて良かった事なんて無いって事だ。だから絶対に諦めるな。俺がお前らに最後に送る言葉は以上だ!」

『はい!』

今度は心からそう言えた。菊地教官と油井助教が担任で心から良かったと俺は思った。



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