6 結構頑丈
地面に落としていた目線を上げた。
現実に戻ると、カインのボディには4発分の黒く煤けた弾痕。
相手は私が伏せてる前提でびびらせる目的で撃ってきたんだから、私なんか庇わないで伏せていれば当たらない弾だったのに。
「平気なの、それ」
「内部損傷なし」
ハウリング音とともに、ニヤついたような声が響く。
『火を探すのに時間かかっちまった。今からタバコタイム5分、カウントし直してくれや』
今から5分なんて嘘だ。「ヘイ、信じたのかよ?」なんて言って今度は本気でぶっ放してくる未来が見える。
歯が擦れる音が頭に響いた。ああ、クソ。また心拍が上がる。奴らはこれもデータとして見てるんだろう。落ち着こうとすればするほど気道が震える。
ふと、カインのアイセンサーがこちらを見ているのに気付いた。挑発に乗るな、とでも言いたげに。
私の冷静さを呼び戻すように、青くゆっくりと点滅している。
無意識にそれに合わせて大きく呼吸を3回繰り返した。冷たい空気が肺を満たす。拳を開くと汗が冷たく冷えた。
恥ずかしくて目を逸らした。あからさまな挑発に、ずっと掻き乱されっぱなしじゃないか。
しまいにはカインに『あの人』のことまで重ねて。本当、どうかしてる。
彼はエネルギーが切れた盾のハンドルを私によこした。
「装填可能:レールガン用のコアと同規格。」
黙って受け取り、バックパックに一つだけ残っていた、いつ手に入れたのか思い出せないコアを装填する。
私が、きちんと任務のたびに荷物の中を整理整頓するような性格じゃなくてよかった。
でも、展開したところでこのノイズの中じゃすぐ空になる。それに心音を観測されている以上、隠れて誤魔化すことはできない。
味方の到着に賭ける?それとも――。
カインに問いかけようとした時、微かな高音の金属音が聞こえた。
「今のは……聞こえた?」
「トラップ起動音と同一」
誰かがトラップにかかったんだ。
車両が遠ざかっていく音がした。確認に向かったのだろう。
カインを見上げた。
「ねえ」
ステルス仕様の車両でも、数が多いと目立つ。経験上、この地形なら多くても4台編成。
通常単独行動はしない。今ここに残ってる車両は2台。
「今ってやり返すチャンスだと思わない?」
自分でも驚くくらい声が強くなった。
こんな風に提案できるのは、相手が人間じゃないからかもしれない。
感想いただけたらモチベになります。修正しました。(2026/3/4)




