24 星空の下
夜空の下。頼れる光は、月と星、焚火、ランプ。どれも頼りない光で、昼間のように照らしてくれる電気とは大違いだ。
やはり、ここは異世界なんだと、改めて思う。
サウスが捕って、ロジが処理した肉。俺が集めた木の実。どれも無駄なく使われ、みんなの腹に収まった。
「食ったな。」
「腹八分というところですね。まだまだいけますよ。」
「ならワシのを食うといい。ワシはもう食えないからの。」
「老いたな、ロジ。」
「やらんぞ?」
「それは困る。お前はまだまだ現役だ。」
「よろしい。」
ロジは苦笑して、サウスに自分の皿を渡した。その皿をサウスは嬉しそうに受け取り、3分とかからずに平らげた。
「早く食べすぎるからじゃないのか?」
「え?何ですか?」
「お前の燃費が悪いわけだよ。」
「ねんぴ?」
「夕食の量があれで満足できなかったんだろ?お前の分は、2人分はあったと思うが。確かに動いているし、体も大きいから多く食べるのに疑問は感じないが、もう少しよく噛んで食べろ。そうすれば、少ない量でも満足できるかもしれない。」
「小僧、面白いことをいうな?よく噛んだところで、量は増えんぞ?」
「それはそうだが・・・俺の世界ではそう言うんだよ。」
言わなければよかった。うまく説明できないし、別に食べる量とか減らす必要もないし。
「そうなんですか。なら、明日はよく噛んでみます。」
「サウス、信じるのか?ただの迷信じゃろうに。」
「そんなの分かりませんよ?ですが、ここで迷信かどうか言い合うより、明日よく噛んで食べてみた方がはっきりしていいと思います。」
「それもそうじゃな。ついでにワシも試してみようかの。」
「いや、ロジは普通に食べた方がいいと思うぞ?というか、もっと食べた方がいいんじゃないか?」
「わかってはおるが、年のせいかあまり入らんのじゃよ。」
ロジを見れば、顔には深いしわが刻まれていて、背も少し曲がっている。今まで何とも思っていなかったが、改めてみると、ロジはじじぃだな。マジで。
「ま、のどに餅を詰まらせないよう気を付けろよ。」
「もち?」
この世界には、餅がないようだ。
「そろそろ寝ましょうか。明日も朝が早いですし。」
サウスの言葉を合図に、俺たちはそれぞれ寝床の準備をする。
周りの乗客たちも寝床を準備する中、一人の男がまったりとお茶をしているのが目に留まった。みんなが寝る準備をしているというのに、その男は寝るつもりがないようだ。
「どうした小僧?」
「いや、あいつは見張りか?」
3人で旅をしている間、見張りだと言って、サウスとロジが交代して、夜通し見張りをしていたのを思い出す。
「そうじゃろうな。おそらく馬車の持ち主が雇った護衛じゃろう。見張りがいなければ、ワシらが夜通し見張らねばならなかったのじゃ、感謝せい。」
「護衛・・・ってことは、強いのか?」
「そこそこは強い。ま、護衛などお守り替わりじゃ。わかったらさっさと眠れ。明日も早いぞ。」
「あぁ。」
「護衛に興味がおありですか?」
寝そべるとサウスが声をかけてきた。
「別に。ただ、強そうには見えなかったから、あれで護衛になるのかと思っただけだ。俺よりは強いと思うが、相手は魔物だからな。」
「・・・魔物だけではないんですよ。」
「え?」
「いえ。そうですね・・・あなたは俺やロジといるせいで、感覚がずれているのでしょう。彼らは十分強いですよ。なので、安心してください。」
「そうか・・・」
俺は、納得して目をつぶった。ただ、気になったのは、「魔物だけではない」という言葉。魔物以外に、何から守る護衛なのか?それはすぐにわかった。
魔物がいない世界、前世の世界でも護衛は存在した。ボディーガードとか警備員など。つまり、相手は人間だろう。もしかしたら、人間に剣を向けられ、向けることもあるのかもしれない。そう考えると、鳥肌がたつ。
俺は、掛布団の代わりに使っているコートを頭までかぶった。もう寝よう。
寝てしまえば、無駄なことなんて考えない。
起こってもいない出来事に怯えるなんて、滑稽だ。心の準備をしておくのはいいことだが、怯える必要はない。
寝よう。深く。何も考えないように。




