表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/32

閑話5-3

更新遅れてすみませんでした!

王宮に戻り、秘密裏に彼女のことを調べたが、何も分からなかった。

結局初めて『サクラ』に行った日から数日後に、やはり異国の本が気になって来店した俺はそこで学友であるアイリスと再会した。

そして彼女との会話でシーナの評価を少し改め、通ううちに見事に心を撃ち抜かれてしまったわけだ。

シーナは最初以来ベルナを崇するような仕草を見せなかったが、俺は相変わらず【神】が嫌いだった。


先ほどまでは。

初めて地神様に直接会うまではそう思っていた。


視線を向けられただけで殺気と間違えてしまうほどの威圧感。

昔、父が言っていたときのように、冷や汗を流しながら思わず跪いてしまった。

目の前に存在しているのは何だ、と心の中の自分が叫ぶ。

彼女の前では、まるで自分が虫けらであるかのように思えた。


なのに、だ。

隣で同じく跪いていたフードを被った怪しい輩は震えや焦るどころか極々自然に膝をつき、顔も見せず、声も出さない。

地神様に会う前、地面にねじ伏せられたときにちらりと見たが、フードの下には仮面をつけていた。

ふざけているのかこいつは。


奴は俺が気まぐれに聖域に来たときに鉢合わせた不審人物だ。

聖域内をうろちょろしていたので剣を突きつけて脅していたら、急に地面に組み伏せられた。


聖域では血を流す事はできない。

だが、変わりに痛みは数倍になって感じられる。

幼い頃に聖域内で転んだ事があったが、そのときの痛みは数年後に毒を盛られたときよりも苦かった。

毒はその後に魔法で抜いてもらいなんとか一命をとりとめたが、それよりも聖域内での些細な怪我の方が比べものにならないほど痛く感じられる。


だから当然、動きを止めるために掴まれた両手首も切断されたと感じるくらい痛くなる。

痛みが強いだけで本当に千切れる事はないし、立場上怪我をした事もあまりない。

けれど、それだけの痛みが俺を襲ってきた。

思考が真っ白になり、もうなにも考えられなくなる。


かと思えば急に掴んでいた手の拘束が緩む。

隙をついて、がむしゃらに手をふりほどいて距離をとり、相手を見る。


見たはずなのに何故か視線はその奥に向かう。

フードの肩越しに見える何か。

それは人の形をしていて、頭から流れる銀糸をなびかせながら鋭い黄土色の瞳でこちらを見据えていた。


……銀?


ざわり、と体中の血が騒いだ。

まるで、親と再会した事を喜ぶように。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ