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言いたいことはそれだけですか。では、始めましょう  作者: 井藤 美樹
第四章 新米王女殿下の初外交

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第五十二話 新米王女殿下、聖獣様の隣で呟く



 地図上から一つの国が消えても、特に何も変わりはしない。


 そんな今日此の頃、ベルケイド王国は変わらず平和な毎日をおくっている。


 魔物の繁殖期はまだまだ先だしね。イシリス様の加護のおかげで、天候も安定している。日々、皆、感謝の気持ちを忘れない。もし忘れればどうなるか、その良い実例をよく知っているからね、


 程よいぽかぽか陽気、人型よりも本来の姿の方がリラックス出来るからか、イシリス様は獸体で日向ぼっこを楽しんでいる。


 私は、薬草畑の手入れの手を止め、イシリス様の隣に腰を下ろす。ちゃんと、手と顔は洗ったわよ。キラキラ光っている体毛に顔を埋めたいからね。日向の良い匂いがして最高なの。


(本当は、お腹に顔を埋めたいけどね)


 でも、それをすると、またイシリス様に恥ずかしいお仕置きをされちゃうからしない。有言通り、今度は最後までされそうだから、背中で我慢。一応、結婚するまでは清き身体のままじゃないと、お父様とお兄様が泣くわ。そうなると、面倒くさいのよ。


 でもまぁ、正直その前に、勉強しないといけない事が意外と沢山あるのよ。エンドキサン王国に邪魔されてないから(はかど)るわ。


 エンドキサン王太子殿下が突撃してから、こっちに理不尽な事を言ってこないしね。言ってきても、完全無視するけど。当たり前じゃない。


 エンドキサン王国に残っている暗部達の報告では、相変わらず、第一王女は好き勝手しているらしいわ。お茶会も豪遊も派手にやってるって、一応、形だけ領地に引っ込んでいた取り巻き達も、近いうちに王都に戻るようだと書いてあったわ。当然、リアスに手を上げた、あの侍女もね。それを聞いて思ったわ。


(マジで、締めてやろうかしら。それとも、魔物の巣に放り込むのもいいわね。ナイフで軽く傷を付けてから)


 ほんと、あいつら、とことん、ベルケイド王国を舐めてるわ。腹が立つ。私に直接危害をくわえなければ、イシリス様は何もしないと高を括っているのが、ありありと見えて、余計に私の神経を逆撫でるの。


 でも、それが許されるのは後少し。


 あいつらは全く気付いていない。水面下で、王太子殿下と先代国王が動いている事にね。


 大国になり過ぎた上、争いがない日々が長く続いたからなのか、危険を察知する能力が完全に退化してる。普通、王族は、その手の能力に秀でている筈なんだけどね。というか、秀でてないといけないでしょ。そう言えば……亡国の屑達も秀でてなかったわね。嫌だけど、馬鹿と屑の共通点発見したわ。


 そもそも、なんで先代国王と王太子殿下が動かないと思っているのか、全く理解出来ない。


 あの王太子殿下、甘い所はあるけど、中々の切れ者だと噂で聞いたわ。それに、常識人だし。危機を察知する能力も高そうよね。彼の後ろ盾である先代国王は、まだまだしっかりしているし、影響力も劣ってはいない。


 なら当然、先代国王が腰を上げれば、彼に忠誠を誓う者も腰を上げるわ。となれば、馬鹿達の行く末は簡単に想像出来るわね。


「……精々、今のうちに自由を謳歌してなさい」


 ニヤリと笑い呟く。


 もし、恥も外部もなく、追い出されてベルケイド王国に逃げて来たら、丁寧且つ親身になってお相手してあげるわ。家族全員でね。




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