3話 翻弄されるモーリス 前編
モーリス「サ、サクヤ様?ココは?」
サクヤ「落ち着きなさい。どうせ今日と来週だけなんだから」
セシル「私が主役よね?」
クレア「(ヤル気なさそうに)始まりまぁ〜す」
三歳「???」
「誠に、申し訳ありませんでした!」
「別に...分かればそれで構わないさ」
「寛大なご処置に...感無量で御座います!!」
いつもより、少し早く来たのは...
この茶番劇をするためだったのだが...
モーリスよ?少しやり過ぎではないかい?
僕の心配?を余所に...彼のヤケクソな謝罪は、サクヤの計画通り続いた。
だが、彼の謝罪中、そっと扉が開き...
「ちょっと待ってくれ!」「待ちましょう?」
「くっ、そこは待たないんじゃないのか?」
さっきまで深く落ち込んでいたのに、私の計画を聞いた途端やる気を漲らせるモーリス。先程まで土気色になる程血の気の引いた顔は、今は見る影もない。
「こちらから持ちかけておいてなんだけど...アナタ、手の平返しが酷いわね」
「待ってくれ!それは違うんだ!!」「さっきから待ってるって「そういう意味じゃない!」...はぁ」
私がモーリスに呆れていると、彼は必死の形相で言い訳してくる。
まぁ、そんな事は...とっくにお見通しなんですが。
「だから、俺は家に迷惑かけない為に仕方なくアイツらに...」
「分かってますよ。だからこうして地固めしてあげようと言っているのです」
「は?教育?」「指導と言っても良いでしょう。アナタ、運が良かったわね♪」
さて、落ち着いた今が好機ですね。
「良く聞きなさい。なぜ、アナタは運が良かったのか...教えて差し上げます」
彼の顔を覗き込みながら私が言うと、モーリスは固唾を飲んで...絶叫した。
「こぉ〜の、馬鹿モンがぁ!!!」
ドコ゚ォ―――ン......パラパラ......
「痛ぇ〜」「そのくらいで済んで良かったと思え!」
思い切り父に殴られた。まぁ、自業自得なんだが...
「誠に、申し訳「たわけが!そんな「落ち着いて下さい。ブロイ子爵」...お見苦しい所を申し訳ない。エルフ家御令嬢」...ぐぅ」
殴られた頬を抑えながら立ち上がり、俺はサクヤ...いや、サクヤ様の後ろに控える。
「私の事はサクヤとお呼び下さい」「それでは私めの事も、ガバルと」
そうやって始まった、事の成り行きと今後の説明を眼の前で聞いた俺は
「父上、今まで不甲斐なかったこのモーリス。今は暗雲晴れ渡り、凪いだ航路を往く気分です」
「うむ、感謝しろよ」「はい!」「サクヤ様、愚息ではありますが、今後ともよろしくお願い申し上げます」
父に、ドール家への忠誠の言葉を口にした。そんな俺に先程までとは打って変わって、父が感慨深い表情を向けて来る。そして激励の言葉の後、サクヤ様に俺の事を託したようだ。
「お任せ下さい。それに、これは不幸中の幸いです」「勿体ないお言葉」
父の言葉を受け、快諾するサクヤ様。実際には僕が実家に帰省する前、既にある程度約定があったのだろう。ここまでの流れを見て俺はそう感じたが、嫌な気にはならず寧ろ晴れやかな気分だ。先程言った俺の言葉に嘘偽りは無い。
そうしてブロイ家を後にし、軍学校に戻って来たのだが
「おや?戻って来れたのかい?」「一応許して貰えたんだよ」「そうなのかい?!」
同室のサージェが俺の顔を見て驚いていた。コイツは伯爵家で家格は俺より上だが、三男なので家督を継ぐ事は無い。だから気楽に話しかけてくれと言ってきた奴だ。
「どんな魔法を使ったんだい?」「誠心誠意謝っただけさ」「へぇ〜?」
ちょっとニヤニヤしているのがムカつくな。だが今の俺には、そんな事などどうでも良い。明日の事を考えると、それどころじゃ無いからな。
「酷い目にあった割に、ちょっと高揚してないかい?」
「緊張してるんだよ」「なんで?」「明日改めてセシル殿下に謝罪するからさ」
そうサージェに言って、俺は部屋着に着替え終わると早速寝ることにする。
「早いね?」「どうせ寝付けないだろうからな。横になってれば、いつか寝るだろうさ」
そう言って俺がベッドで横になると、サージェはロウソクを消してくれた。
「僕も早く寝るよ。明日は朝早いんだ」「そうか、ならおやすみ」「おやすみ」
サージェは日課の水やりをするのだろう。俺はこの時そう思いながら、就寝した。
「僕からも、お願いします!モーリスを許してあげて下さい!」
突然背後から声がした。振り向かなくても分かる。だが、どうして
「カステル伯爵家の三男、サージェと申します」
コイツは俺の横で、セシル様に頭を下げているんだ?俺が不思議に思っていると
「伯爵家の三男がどうしてモーリスを庇うのかしら?」
「それは...彼が僕と同じ部屋だからです」
サージェはまるで...友達でも救おうとしているような態度で、サクヤ様に訴えかけていた。
「たったそれだけの理由で彼を庇うと「友達だからです!」...そうですか」
前言撤回、コイツは俺を友達だと思っていてくれたようだ。だが
「まてサージェ!そんな事したら今度はお前が「それでも構わない!」...嘘だろ」
このままではサージェが予定に無い罰を受けるかも知れない。俺はサクヤ様に縋るような眼を向ける。だが...
(アナタは黙っていなさい)
サクヤ様の眼はそう物語っていた。俺はギョッとして、思わず今度はサージェの顔を見る。すると
「僕に任せろ。悪いようにはしないから、ね?」
サージェの眼にもサクヤ様と同じ眼の色が窺えた。その後の二人の会話は...まるで事前に示し合わせていたかのようにつつがなく進行する。
そして何故か...俺とサージェは今日、セシル様の屋敷に呼ばれる事となった。
「いや、めでたい!モーリス様々だよ♪」「本当にそうね♪」
「嬉しくねぇ」「あら?(セシル様に仕えることが)嬉しくないの?」「(ビクッ!)光栄であります!」「そうよねぇ♫」
ついで...俺の存在は、サージェをセシル様陣営に取り込むための導線でしかなかった。
教室でのサクヤとサージェのやり取りが、どこか芝居がかってるなとは思ったんだ。
でも、まさか俺がサージェの引き立て役だったなんて...
そんな風に俺が落ち込んでいると
「モーリス、そこまで悲観する事は無いぞ」「...どういう事でしょうか?」
セシル様が俺に声を掛けて下さった。
「確かに我が妹が大立ち回りをして、大事になってしまったが...」
言葉を区切り...コチラにやってきて、俺の顔を正面から見据え
「サージェを無事コチラに引き込めた折には、お前にも声を掛けるつもりでいたのだよ」
「確かにそうですね。本来そうすべきでした」「なるほど」「どういう事でしょうか?」
セシル様が順序が変わっただけだと言ってくれた。だが、その後のやり取りが俺には良く分からない。
頭の良いサージェは何か分かったみたいだが...
「こういう事だよ。モーリス」
イマイチ分かってない俺に、サージェは優しく教えてくれた。
「だからあの時庇ってくれたのか!?」「まぁ...そういう事だ」「うふふっ、お上手ですわね♪」
サクヤ様の言葉の意味は良く分からないが、俺は...サージェの友情に、心から感謝した。
三歳「(クレアが)元気無いな?」
クレア「私、いつから出てないのかなぁ.,.」
セシル「あぁ(察し)」
サクヤ「私も久々ですけどね」
モーリス「皆様何を言ってるのか分からない」
全員「オマエは黙ってろ!!」
モーリス「理不尽!?」
クレア「(やっぱりヤル気無い)続きまぁ〜す」
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