ロイド登場
今日、3回目の投稿になります。
「それでね、アデル王女のことは、アディーって呼びたいんだけど、いい?」
デュラン王子が聞いてきた。
「アディー?」
「そう、デューとおそろいみたいでしょ」
デュラン王子が、艶っぽくほほえんだ。
「じゃあ、マルクのことは、どう呼ぶの?」
私の質問に、マルクの体がびくっとする。
そして、私にむかって猛然と首を横にふってきた。
あまり、巻きこまれたくないんだね。
水くさいぞ! 親友じゃない。
よし、どんどん、巻きこんであげよう!
デュラン王子は、
「マルクのままでいいんじゃない。呼びやすいし」
と、即座に答えた。
一応、少しは考えて?!
しかたない。私がかわりに考えるわ。おそろいみたいな呼び方を。
「じゃあ、マルクはマルティーにしましょう」
「ほんと、やめて…。マルクでいいよ」
と、マルクは疲れた顔を見せた。あら、そう?
「フフッ、ほんとアディーっておもしろいね。一緒にいたら退屈しないだろうね」
と、早速、アディー呼びだ。負けてられない。
「そうでもないと思うわよ、デューさん」
私も、無理無理、使ってみる。
あら、デュラン王子より、呼びやすくって良いんじゃない?
それを聞いて、デューさんは、とびきり甘い笑顔を私にむかってふりそそぎ、マルクは、大きなため息をついた。…マルク、なんだか一気に老けこんでるよ。
そんな意味のない会話をしている間に、町に到着したみたい。
馬車がとまり、扉が開いた。
まずは、デュラン王子に降りていただく。
そして、私が降りようとすると、デュラン王子が、すかさず手をとってくれた。
さすがに、魔王…いや、王子ね。洗練されていて、ながれるような所作だわ。
本当に、かえすがえすも、中身が残念ね。
まあ、ユーリと同じだけれど…。
マルクも降りたところに、ロイドがやってきた。
騎士服に身をつつんだ姿は、ちびっこの私が見上げるほど背が高い。
そして、細身。だけれど、ルイ兄様が、すごい鍛えていると言っていたわね。
また、悔しいことに、ロイドも、きらきら星人に含まれる。
漆黒のまっすぐな髪。切れ長の目は深い緑色で、シャープで整った顔。
噂によると、年頃の貴族の女性たちに、ユーリ派とロイド派といわれれるほど、大人気らしい。
「今日、案内させていただく、王太子専属護衛騎士、ロイド・マルクラインです。よろしくお願いいたします。ブルージュ国第二王子殿下」
「こちらこそ、よろしく。君は町に詳しいらしいから、楽しみにしてるね」
と、気さくに答える、デュラン王子。
「じゃあ、まずは、市場にご案内します」
え? 市場! やったー!
私も数回しか来たことがないんだよね。おいしいものがいっぱいあるから、一気に気持ちがまいあがる。
「では、アデル様はこちらに」
ん? ロイドに手をひかれ、あっという間に、ロイドのとなりに移動させられた。
つまり、私、ロイド、ちょっと間があいて、デュラン王子、マルク、こんな並びになった。
ええと、どういうこと?
「アデル様はお小さいですからね。この配置で、私がしっかり守ります」
小さくて悪かったわね…、じゃなくて、この並び、おかしくないですか?
そして、あなたは、どちらかというと、今回はデュラン王子の護衛では?
と、目で訴える。
「大丈夫です。王子殿下の守りは、他の優秀な騎士たちで万全です。なので、私は、アデル様をお守りするのに専念しますね」
切れ長の目が、まっすぐに私を見る。
「いやいや、今日のあなたの役目は、町の案内と、王子の護衛でしょ!」
思わず、口にだして言ってしまった。
「アデル様を守る以上に優先すべきことはありませんから」
「いやいや、あるよ。ロイドは、王太子専属護衛騎士でしょ。ルイ兄様がいたらそっちを、優先するでしょ」
「いえ、まさか」
まさかって? おかしいよ、その言葉。
「アデル様の専属護衛騎士に常に希望をだしております。なので、守るべき存在は、ルイ様より、断然アデル様です」
…いろいろ、ひどいね。ルイ兄様、ここにいなくて良かったね。
さすがの、デュラン王子もあっけにとられて、言葉がでてこないみたい。
うん、わかるよ。違和感がすごいものね。
だって、見た目だけなら、仕事ができる頼れる騎士なのに、不思議なものが、もれだしまくりだものね。
そう、ロイドは普段はクールなのに、私のことになると、一気に心配性になる。
いくらルイ兄様と乳兄弟で、小さい頃から私の面倒を見てくれたとはいえ、私を溺愛している本物の家族と比べても、ぬきんでて、私に過保護なんだよね。
なので、みんな、ロイドの普段の様子と、私と接するときの言動の違いにびっくりする。
今も婚約者がいないのは、それも理由なんだと思う…。
それに、ロイドはユーリと徹底的にあわない。というか、天敵?
「私は意見を言う立場にありませんから」と言いつつも、絶対にユーリを私の婚約者だとは認めてないと思う。
良くも悪くも、隠すことができない性格だから、ユーリを見る冷たい目がなにより物語っている。
たとえば、ロイドが護衛してくれる時は、必ず、ユーリとの間にたつ。
ユーリがいら立つ。ロイドはゆずらない。
みたいな攻防がずーっと続くから、私の心労がすごい…。
だから、私の専属護衛騎士になれないのは、ユーリが裏から手をまわして、阻止してる気がする。
怖くて聞けないけど…。
ロイドは気持ちも行動もまっすぐで、裏がない。
なので、裏だらけの腹黒さんとはあわないんだろうね。
つまり、ユーリと似た者同士、同じ魔王のデュラン王子ともね…。
どうか、二人とも、お互いに深くかかわらず、今日だけ穏便にやりすごそうね。
新キャラ、ロイドが登場。変な人しかでてこないような…。投稿時間も回数もばらばらで、すみません。読んでくださっているかたには、感謝しかありません。ありがとうございます!




