13.それぞれの今⑥
ロウの今。
ロウは、流れに身を任せていた。
王都に帰ってから、毎日のように王宮に呼ばれている。
最初は、無事帰還した上にモンスター調査で実績を積んだということで国王イサークが宴会を開いてくれた。
「レンも活躍していましたが…」
「あいつはいいんだ」
「はあ…」
宴席でロウはイサークとエリザベスに挟まれて座った。労が王宮に行くと、必ずエリザベスが現れる。エリザベスは、派手さは無いが美人だ。
「あの…陛下」
「ん?何だ?」
「レンを5千人長にしてほしいのですが、彼も充分活躍しました」
「ロウは友人思いだな、ますます気に入った」
「では、レンは…」
「5千人長にしてやる。ただし、それはお前が将軍になった時だ」
「はあ、そうですか…」
「ロウはもうすぐ将軍になる。今日はその前祝いも兼ねていると思ってくれ」
「ありがとうございます」
後は、イサークの話を聞きながら時々エリザベスと話して時間を潰した。
「ロウ」
エリザベスから声をかけられた。
「はい、なんでしょうか」
「またドラゴンに乗せてください」
「はい、いつでも」
「では、明日!」
「はい、わかりました」
「ロウ、明日の午後、ドラゴンに乗ってエリザベスを乗せてやってくれ」
「日が暮れてからの方が、夜景は綺麗ですが」
「じゃあ、昼も夜も乗せてやってくれ」
「はい、わかりました」
エリザベスが席を外すとイサークがロウに言った。
「ロウ、エリザベスはどうだ?」
「いつ見ても、お美しいですね」
「そうだろう、そうだろう、そのエリザベスはロウのことを好いておる」
「本当ですか?」
「気付いていなかったのか?」
「はい。私には手の届かない方だと思っていましたので」
「将軍になれば、ロウをエリザベスと…と思っておる」
「ありがたいお話ですが、身分が違いますので」
「だから将軍になれ、儂もエリザベスもそれを望んでおる」
「微力ながら頑張ります」
「うん、うん、頑張ってくれ。お前のことは儂も気に入っておる」
「光栄です…」
エリザベスをドラゴンに乗せたり、王宮に呼ばれている間に、ロウの1週間は過ぎた。
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