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8.軍隊の日常④

3000人対500人

 ルフラン軍との戦闘から帰還した僕たちに、すぐに新しい指令が来た。

「国境沿いで最近我が国の村落を襲撃している遊牧民族の討伐に出る」

皆に内容を伝えると、ジェーンが言った。

「もしかして、カレント族ですか?」

「そうだ。自由な騎馬民族カレントだ。我らの領地を襲撃しているらしい。数は2~3000人らしい」

「勇猛で知られるカレント族を相手に500人で斬り込むのですか?」

「そうだ。今日は準備。明朝に出発。来たくない者は来なくていい。だが、出世のチャンスだぞ」


 翌朝、1人も欠けることなく出発した。

「隊長」

馬を歩ませていると、横にいたジェーンが呼びかけてきた。

「なんや?」

「どうして隊長はいつも動じないのですか?」

「動じる必要があるのか?」

「負け戦ですよ」

「そやな。でも、だったらなんでジェーンは来た?」

「私は…」

「俺は勝てる気がするけどな」

 ジェーンは無言になった。


 指定された辺りに来た。僕は遠くまで一望できる丘を探した。無かった。丘は見えないが土煙が見えた。

「来るなぁ。全員、戦闘準備。一撃を加えたらすぐに反転、戦場から離脱するように」


 僕たちは騎馬を走らせ一撃を加えた。敵に油断があったのか、犠牲者も無く撤退できた。

「隊長、今の戦闘に意味はあったのですか?」

「敵のことがよくわかった。先陣の後に本陣がある。豪華な馬車があった。あの中に指揮官がいる。武人ではなさそうだが、多分族長とかだろう。その後に糧食などを運搬する後陣があった」

「それを知るために?」

「次に出会ったら決戦だ。作戦を説明する」


 翌日、カレント族の騎馬隊がまた土煙を上げて突進してきた。


 まずは先陣と中陣の間をジョン達200騎の突入により分断する。次にジェーン達200騎が後陣と中陣を分断する。最後に僕が100騎で中陣に突入した。長時間は保たない。短期決戦だ。

 僕はとにかく馬車を目指して目の前の敵を斬り続けた。ようやく馬車までたどり着き馬車に飛び乗る。豪奢な貴人といいたいが醜悪な金持ち風の男がいた。驚愕の表情が印象的だ。僕はすぐに首を斬った。

「敵将、討ち取った」

 約3000人いた敵が散り散りになっていく。

「勝ったぞ」

大歓声。


 その夜、野営をしていたら近隣の村人達がやってきた。

「最近、モンスターが現れるのです。助けてください」


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