【新クエスト】技能を取得しろってさ(´;ω;`)【やってくよ】9
部屋の外で、人が落ちている。
そんな光景だった。
地図上で変なマークが付いていた部屋には扉があり、今は閉じられている。
正しくは倒れている、なのだが。
それでも、その光景はまるで落し物のように、陽佑には人が落ちているように見えたのだ。
カイトたちを含め、倒れているのは十数人ほどだ。
全員、意識は無い。
「なにがあったんだ??」
倒れている人々には黒いモヤのようなものがまとわりついている。
《え、ガチでなにがあったん》
《なんかモヤっぽいのが一人一人にまとわりついてるな》
「呪われてますね」
エリーが一言で説明する。
《呪い?!》
《え、呪われるとこうなるの?》
「倒れている、ということは体力が削られ動けなくなったのだと思います」
《毒みたいだな》
《え、でもそれって呪われた防具なんかを装備したからってこと??》
「呪いにも種類があるんです。
ひとつはコメントで書き込まれたように、呪われた装備によるもの。
もうひとつは、罠やモンスターによるもの」
《罠とモンスター??》
「えぇ」
コメントに頷きつつ、エリーは陽佑を見た。
「主、上級聖水を彼らにふりかけて下さい。
それで呪いは解けます」
「わ、わかった!」
陽佑は、手持ち分の【上級聖水】を使いその場の全員の呪いを解くことが出来た。
なんと、瓶一本で足りてしまった。
視聴者達も、コスパの良さに驚いてしまう。
《てっきり一人一本使うのかなとおもったら、全員分だったとは》
《コスパいいな》
ここでもエリーの説明が入る。
「通常の【聖水】だったら一人一本使用でした。
【中級聖水】だったら五人で一本使用できます」
《スレ主、神引き過ぎるだろ》
《逆にふつうの聖水と中級聖水が出てないの凄すぎないか》
《いいのか悪いのか》
《ま、まぁ、人命救助出来たんだから良しとしよう》
《で、これは罠による呪いってことなんか??》
《エリー先生!説明おねがいします!!》
エリーは、扉を見る。
ドローンもエリーの視線の先を追うように扉を映し出す。
「部屋の中で呪いを受けた、それしかわからないです。
罠によるものなのか、それともモンスターによるものなのかは現状判断できません。
ただ、ここに倒れられている皆様の装備は見たところガチャやコンビニで手に入れられるものばかりです。
ですので、呪われた装備である可能性は極めて低いです。
もしも装備が呪われていたら、【上級聖水】をふりかけたら装備が外れるはずです。
ちなみに、呪いの装備が外れても装備品自体の呪いを解くことはできません」
《そうなんだ(´・ω・`)》
そうこうしていると、倒れていた者たちが意識を取り戻す。
まだ気分の悪そうな者は、各々ポーションを使って回復をする。
とりあえず、落ち着くのを見計らって、カイトたちから話を聞いてみた。
「地図に変なマークがあったでしょう?
それに興味を惹かれて、この部屋まで来たんです」
そうポツリポツリと説明してくれた。
「部屋の前まで来ると、この人たちと一緒になったんです」
と、カイトは他の者たちを見てまた陽佑達へ視線を戻す。
「変なマークがなんなのか、とか。
誰が先に部屋に入るか、でちょっとなんていうか混乱というかをしてしまって」
カイトは言葉を濁そうとしたが、エミリがバッサリと言い放つ。
「あそこの人たちが、俺が先だーって喧嘩になってたんです。
他の人たちはそれを止めようとしてたんです。
で、結局いっせーのせであの人たちが扉を開けたら、黒い霧が吹き出してきて、私たち含め全員それに巻き込まれて意識を失いました」
《あー( ̄▽ ̄;)》
《いつかはこういう問題が起きるかと思ったが》
《起きてるとこは起きてるよー》
喧嘩をしてた者たちは、気まずそうに俯いている。
《それじゃ、罠による呪いってことか》
《あれは、罠のマークだったってことか?》
《でも、それにしちゃ……》
《←なんだよ?なんか気になることでもあるんか??》
《いや、エリーちゃんが準備をした方がいいってわざわざ言ってたじゃん?
でも、エリーちゃんはそのマークがなんなのかはわからないっていう》
《あー、そうだったな》
《それでスレ主はわざわざ、ガチャを回して準備してきたんだよな》
《あのさ、ちょっと考えてたんだけど、エリーちゃんって要はゲームで言うところNPCっぽいじゃん?
こう、変なとこでシステムに縛られてるというか
時折そういう助言をしてくれるキャラでもある》
《まぁ、お助けキャラだからな、そういう役割なんだろ》
「ええ、そうです」
コメントにエリーが自信満々に頷いてみせた。
《NPCにあらためて肯定されるのも変な感じだなぁ( ̄▽ ̄;)》
《まぁ、いいや続けるけど》
《つまり、エリーちゃんの言動からしてわざわざ準備しろって言うってことは、このマークの部屋には確実に何かがあるはずなんだ》
そのコメントに、別の視聴者が疑問をぶつける。
《なにかってなに??》
《いや、わからないけどさ
でも、特別な何かがあるのはたしかだ》
コメントを読みつつ、陽佑が扉の前に立つ。
開けることはせずに、扉を見てとあることに気づいた。
「あの、この扉を開けた人ってどなたですか??
えっと、もっと正確に言うと、ドアノブをまわしたのは誰ですか?
その時の状況を詳しく説明してください」
おずおずと、一人の女性が手を挙げた。
「ジャンケンで、私がドアを開けることになって。
あの人たちは私の後ろに並んでました。
えと、私が扉を開けたらあの喧嘩してた人達が同時に部屋の中へ入る、ということで話しがついてたんです」
「なるほど。
それで、ドアノブを回してどうしました?」
「え、ええと、最初扉を押したんですけど、開かず。
すぐに引きました。
そしたら開いて、意識が無くなりました」
《あー、初歩的な罠だったわけだ》
《これ、扉を観察してたら避けられてたかもしれないってこと》
《どゆこと??》
《変なマークがあって、ドアは外開きってことじゃん?》
《つまり、用心してチキンプレイするのが正解だったってこと》
《外開きなんだから、扉を盾にするように隠れつつ開けるのが正解ってことだろ
まっ正面から扉開けて、呪いを食らったってことはさ》
《他の奴らも、扉の影になるとこにいたんじゃなくて、ちょっとでも部屋の中が見える位置に立ってたっぽいんだよなぁ、倒れてた映像みると》
《あ、たしかに》
《スレ主ー、扉の先が気になるから開けてみてー(ノシ 'ω')ノシ バンバン》
危ないからここは避けようと話を持っていくつもりだったのに、視聴者たちは逃がしてくれないようだ。
陽佑はバッサリと、
「いや、危なそうだからここには入らないけど」
と告げる。
《えー??せっかく準備してきたのにー??》
《そうだ!!そうだ!!》
《せっかく魔法が付与できるようになったのに??
使うチャンスかもよ??》
《そうだ!!そうだ!!》
視聴者達に加え、助けた者たちも陽佑へ何故か期待に満ちた目を向けつつある。
入らないなんて、振りだよな、と言わんばかりだ。
カイト達まで、
「え、入らないんですか??
絶対なにかありそうなのに」
そう言ってくる始末だ。
陽佑は悩みに悩んだ結果、
「やってやんよどチクショー!!!!」
と、外開きの扉の前に出ないよう、つまりは部屋の中を覗かないよう、扉の陰に隠れつつ開けながらで叫んでいた。




