第八十二話 母さん
happy Valentineですね
甘いものはそんなに食べませんが、今日ぐらいは食べてみようかな
「旅に出るって言って勝手に出て行って、どこに行ってたのエンマ?」
ミヤビと名乗る少女がリンネの頭を鷲掴みにして問うてくる。
その握力は尋常じゃなく強く、リンネ出なければ頭がはじけてしまう程だ。
「先ずは離してくれないか?ずいぶんと痛いんだが」
「しょうがない。離してあげる。でも離れたくないからここに座って」
リンネはミヤビの言われた通り、近くにある岩へと腰かけた。
そしてミヤビはそんなリンネの脚の上にちょこんと座った。
「これでいい。それで、どこに行ってたのエンマ?」
「さっきから言ってるエンマだが、俺はエンマじゃなくてリンネだ」
「ん?リンネ?私の息子と同じ名前ね」
「私の息子?ちょっと待ってくれないか?ミヤビは子供だよな?」
「私は大人。勇者ミヤビ・ルルメルクって知らない?」
「何だって?それにエンマって、エヴァおばさんに聞いた親父の名前と一緒で、ミヤビの子供と俺の名前が一緒?」
「ねえリンネ。もしかして君はリンネ・アルフィード?」
「ああ、俺の名前はリンネ・アルフィードだ」
「そっか。じゃあ君は私の息子だね。顔はエンマとほとんど一緒だしね」
「え?つまり、ミヤビは俺の母さんなのか?」
「そうだよ。そうと分かれば、いっぱい甘えて良いんだよ息子」
ミヤビはリンネの脚の乗ったまま身体を捻って、リンネの頭を撫で始めた。
魔族もいなくなったことでクロエたちもリンネの元へと向かってきていて、着いた時には桜色の髪の少女がリンネの脚の上に座って、リンネの頭を撫でている状況だ。
「リンネ君、何やってるんすか?それと、その子はいったい何者っすか?リンネ君がやられっぱなしの魔族を簡単に追い払ってるように見えたっすが」
「おいリンネ!また新しい女か!それにしても、そんな子供に手を出すなんて、見損なったぞ!」
「リンネ君は見た目少女の方が好きなロリコンなのかな?クロエちゃんもエルシーさんも見た目ならその子と同じぐらいだし。でもリフレさんは大人っぽいし、ストライクゾーンが広いのかな?」
「おまえは本当に垂らし野郎なんだな。ジーナに聞いていたが、実際目の当たりにすると若干引くぞ」
クロエにエルシー、それにイミルやシオンまでもが言いたい放題だ。
それにロリコンだなんて失礼だな。
たしかに、ミヤビは見た目子供だが、おそらくクロエ達よりも年上だろう。
「君たちはリンネの何なの?リンネに危害を加えるなら私が許さないよ」
ミヤビは桜色の刀身の刀を手に持ち、クロエ達に刃を向ける。
それに反応しクロエ達も一瞬で臨戦態勢に入るがさすがに止めないとまずいと思い、ミヤビの手を掴む。
「待ってくれ母さん。クロエ達は俺の仲間だ。刀を向けるのはやめてくれ」
「そうなのリンネ?そっか、こんなに可愛い仲間が沢山いたんだね。お母さんは嬉しいよ」
「リンネ君、今母さんって言ったっすか?その子がリンネ君のお母様っすか?」
「どうやらそうらしいんだ。俺の母さんのミヤビ・ルルメルクだ」
「初めまして、私はミヤビ・ルルメルク。リンネの仲間と知らなくって刀を向けてごめんね」
「「「「ミヤビ・ルルメルク!!!!」」」」
クロエ、エルシー、イミル、シオンは一斉に大声で叫んでいた。
「ミヤビ・ルルメルクって、あの勇者ミヤビ・ルルメルクっすか?」
「そうだね、勇者や大賢者、聖母とか呼ばれていたこともあったね」
クロエは目の前に伝説の勇者がいる事に興奮しているようだ。
「本物のミヤビ・ルルメルクなのか!」
「そうだよ。でも、私は別に特別な人間じゃないよ」
エルシーはどうやら勇者と一戦手合わせをしたいのか、うずうずした顔をしている。
「ミヤビ・ルルメルクなんて、伝説に名があるだけで、実在しないと思ってました」
「失礼ね。私は普通に生きているよ」
イミルはおとぎ話に出てくるような勇者を目の当たりに軽いパニックだ。
「ミヤビ・ルルメルク様!握手をお願いします!」
「私なんかと握手?別に良いよ」
「「「私も!」」」
シオンが憧れのまなざしをミヤビに向けて握手を求めると、それに続いてクロエ達もミヤビと握手を続けた。
そんな事をしていると、そこにリフレを乗せたシャロンが戻って来た。
「あらリンネさん。また新しい女ですか?油断も隙もあったもんじゃないですね」
「リフレ、みんなには説明したんだが、これは俺の母さんのミヤビ・ルルメルク。勇者ミヤビ・ルルメルクだ」
「君もリンネのお仲間?」
「あら、リンネさんのお母様でしたか。それは失礼いたしました。私はリフレ・ウォーランド。リフレさんの幼馴染です。以後お見知りおきを」
「君は随分と落ち着いているんだね。これからもリンネを宜しくね」
「はい。リンネさんを一生支えていきますね」
「一生って。それよりリフレ、ユグドラシルの一族はどうなったんだ?」
「全員宮殿内で死んでいまして、時間も問題ありませんでしたので、無事全員蘇生が完了しましたよ。それで、ユグドラシルの一族から皆さんを連れてきて欲しいと依頼がありましたので、皆さんを呼びに来たところです」
「そうか、無事蘇生出来て良かったな。呼ばれているみたいだし、向かうって事でいいかクロエ?」
「そうっすね。王族の申し入れを断るのも問題なので、素直に向かうっすよ。ミヤビさんも一緒に来てくれるっすか?」
「私?良いよ。リンネとももっと話したいし、何より暇だしね」
こうしてリンネたちはユグドラシルの一族の住む宮殿へと向かう事になった。
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