第五十二話 身体検査
「さてとリンネ君、リフレさんとの話も終わったみたいだし、ちょっと超風波って言う魔法を覚えないかしら?外傷以外にも体内の破損もわかるし、封印魔法みたいに人にかけられた魔法もわかる便利な魔法よ」
「それは便利そうだな。ぜひ教えてくれ」
「うふふ、ではリンネさん、私はルナさんの部屋でお茶でもしてますから、終わったら教えてくださいね」
「ああ、わかったぞリフレ」
「では、リフレ殿はわらわについて来るがいい。わらわの部屋で人間の世界について色々教えてほしいのだ」
「私にもエルフについて、色々と教えてくださいね」
リフレとルナは、楽しそうに部屋を出ていき、部屋を出るとメイにお茶の準備をするように侍女に伝えてくるように指示を出していた。
「さてと、リンネ君と二人っきりにもなったし、服を脱いでくれるかな?」
「何で服を脱がないといけないんだ?」
「超風波は直接触れたところから調べる事が出来るの。布一枚でも挟むとずいぶんと精度が落ちるのよ。だからほら、脱いでちょうだい。優しくしてあげるから安心していいわよ」
「はあ、それは仕方がないんだな」
俺は上半身の服を脱いでシルフの前へと移動した。
「あら、脱いだのは上だけ?全部脱いだら良いじゃない」
「それは本当に必要か?」
「いいえ、全然。若い子の身体なんて久しぶりに見たからちょっとからかいたくなっちゃって。ごめんね、怒ったかしら?」
シルフは目をウルウルさせて上目遣いで聞いて来る。
なんか、どうも俺が悪いような感じになってしまっているが、からかったシルフが悪い。
しかし、別に怒るほどでもないので
「いや、別に怒るなんてないから始めてくれるか」
「あら、リンネ君は優しいのね。それじゃあ始めるわよ」
「超風波」
シルフは魔法を発動させると、右手の人差し指を俺の肌にくっつけてきた。
そしてその指を首筋から胸板、そのまま這わせながら歩いて背中側に回り、上半身の全てに指を這わせていった。
「まあまあ、ずいぶんと逞しいわね。こんな若くて逞しい子を触ることが出来て、ちょっとドキドキしちゃうわ。やっぱり下半身も診察しましょうか?」
「いや、下はしなくて大丈夫だ。それで今のが超風波なのか?」
「そうよ。リンネ君はいたって健康だから問題ないわ。でも少しだけ肩に疲れは残っているから、少し休ませた方がいいわよ」
「ああ。でもずいぶんと簡単な魔法だな。これなら数分もあれば覚えれそうだ」
「風の魔法の中でも初歩中の初歩の魔法ですからね。でも、これで内傷や病気が分かれば早期に治療が出来ますから、治療系の魔法師には便利な魔法よ」
「たしかに、目で見えない所は確認のしようがないからな」
「それで、リンネ君の指先に魔力が集まってるけど、まさかもお覚えたのかしら?」
「一つ目の魔法を覚えるのは得意なんだ。まあ、二つ目以降は覚えれないんだがな。おそらくこれで出来ているはずだ」
「あらそう、ずごいわね。じゃあ…」
シルフはそう言うと後ろを向いて上半身に纏っている服を全て脱いだ。
その背中は透き通るように白く美しく、誰が見ても魅入ってしまう程に魅力的だ。
そして、そんな綺麗な背中についつい見とれてしまっていると
「どうしたのリンネ君?ほら練習をしてみないと。あっ、それともやっぱり前から見てやりたかったかしら?少し恥ずかしいけど、反対を向きましょうか」
シルフは、くるっと周り、何も着ていない状態で俺の方を向いて来た。
一応手で隠してはいるが、ほぼほぼ見えてしまっているシルフが目の前におり、言葉を発することも忘れてしまっている。
「ねえリンネ君?そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど、やっぱりおばさんの身体なんて触りたくないかしら?」
シルフは言いながら俺の方へと近づいて来た。
俺はそこで思考を働かす事が出来るようになり
「いやいや、つい綺麗すぎて見とれていただけで、触りたくないなんて思ってないぞ」
「まあ、嬉しい事言ってくれるのね。それじゃあ、私の肌を触りたいのね。いいわよ、好きなだけ触っても」
「いや、なんかその言い方には問題があるような気もするんだが…。いや、わかった魔法の練習の為に触らせてもらうよ」
俺は指先に超風波を発動させると、その指でシルフの首筋をなどった。
「あんっ」
「大丈夫か?何か間違ってたか?」
「ううん、大丈夫よ。男の子に触れられるのなんてずいぶんと無かったから、少し感じちゃっただけだから気にしないで続けて」
シルフに言われ、今度は腕の方へと指を這わせ、胸辺りはさすがに悪いと思い腹部、背中、腰回りと超風波を使用していった。
その間もシルフは声を我慢しながらも小さく声を漏らし、また白く美しかった肌も少し赤みを帯びていた。
「んんっ、はぁー、ずいぶんと感じちゃったわリンネ君。リンネ君の指、とっても気持ちよかったよ」
「その、色々とダメな気もするが、おかげで魔法は覚える事が出来た。ありがとうなシルフ」
シルフは後ろを向くと、脱いだ服に手を伸ばして服を着て俺の方へと向き直す。
「それは良かったわ。それにしても、リンネ君の魔力はとっても暖かいのね。超風波はその人の魔力によって受けての感じ方がずいぶんと違うのだけど、リンネ君の指は今までで一番暖かくて一番気持ちよかったわ。もう少しで良すぎて気を失いそうだったわ」
「ちょっと、その何か誤解を招きそうな言い方はやめてくれないか?」
「あら、ごめんなさい。でも本当に優しい魔力だったわ。それで、私の全てを覗いてみてどうだった?」
「だから言い方が…。もお、そういう人なんだな。そうだな、昔背中に大きな怪我をした事がないか?」
「そうね、もお何百年前にもなるかわからないけど、深い傷を負った事はあるわね」
「その頃から、身体に何か影響はないか?」
「誰も知らないけど、その頃から右足の指の感覚は無くなったわね」
「そうか。ちょっと背中を見せてくれないか?」
「あら、そんなに私の背中を気に入ってくれたの?嬉しいわ」
シルフはそう言いながら、服を脱ごうとするが
「わるい、言い方が悪かった。服は着たままで良いから背中をこっちに向けてくれないか?」
「まあ、残念。それで、何をするのかしら?」
「小回復」
「右足の指はどうだ?」
「まあまあ、動くわ、感覚があるわ。でもどうして?」
「背中の骨の内部に、一部破損があったから、そこを治してみたんだ」
「そんなものまで治せるの?本当に凄いわねリンネ君は。ちょっと私の旦那になって欲しくなっちゃうわ」
今まで見てきた誰よりも美しいシルフはその顔を俺の目の前まで近づけ、未だに少し赤みをおび、少し艶めかしい表情で見つめてくる。
こんな表情で見つめられたら、心が揺らがない男なんていないだろうと思えるほどに魅了されてしまう。
「シルフみたいに美しい人にそんな事を言われて嬉しいが、俺にも帰る場所もあるからな」
「まあ残念。生まれて初めて男の人に振られちゃいましたわ」
そう言うシルフの顔は儚くも美しく、少しの間魅入ってしまった。
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