第四十八話 水浴びと監視
「うふう。気持ちいいですよリンネさん。リンネさんもこっちに来たらどうですか?」
リフレは今、森の中にあった滝つぼで水浴びをしていた。
そこの水は透き通るほどにキレイで、中にいる魚も色とりどりで、まるで宝石が散りばめられているようだ。
滝で出来る水しぶきも太陽に反射して美しく光り輝き、遊ぶには持ってこいの場所だ。
そんな場所で、リフレは今何も着ずに水浴びをしていた。
「リフレは今、何も着てないだろ?じゃあ俺がそっちに行くわけにはいかんだろ。何で何も着ないんだ?」
「ちゃんと水着の下は履いてますから、何も着てない訳じゃないですよ」
「じゃあ、何で上は何も着てないんだ?」
「それはですね、それはもお盛大にはちきれました。一応水着は持ってきてたので来たんですけど、水着の紐が千切れちゃいました」
そう言うと、リフレは突然俺の前にやって来たので、俺はとっさに目を瞑った。
目を瞑った俺に対してリフレは
「あら、目を閉じちゃうんですかリンネさん?じゃあ、ちょっと悪戯ちゃいますよ」
そう言ってリフレは、俺の上半身の服を脱がせて腹筋を触って来た。
「前よりもさらに鍛えられてますね。ウットリ見とれちゃいますね」
リフレは指先で腹筋の筋をなどったり、手のひらを当てたり、ずっとさわってきて来る。
「なあリフレ、そろそろ悪戯は止めにしないか?ほら、水浴びもそろそろいいんじゃないか?」
「私はリンネさんと水浴びがしたいんですよ。だから一緒にやりましょうよ。ほら、ズボンなんて履いてたら濡れちゃいますよ」
そう言ってリフレは俺のズボンに手をかけて、そのままずり下げようとしていたので、ついとっさに止めようとリフレの手を確認する為に目を開いてしまった。
「…リフレ、隠してるなら最初から言ってくれないか?」
「あら、やっと見てくれましたねリンネさん。これ葉糊って言う魔法なんですけど、葉の片面が粘着質になってて貼る事が出来るのですよ。それでそれを使って胸は隠してありますの。うふふ、期待しちゃいましたかリンネさん」
「リフレは何でこう、昔からそうなんだ」
「私はずっと変わりませんよ。それよりそんなにガッカリした顔をしてますけど、やっぱり見たかったですか?引っ張れば簡単に取れますよ?」
リフレは自分の胸を隠している葉っぱの端を引っ張り、少しめくり始めた。
「本当にやめてくれないか?」
「うふふ、冗談ですよリンネさん。リンネさんに見られるのは構いませんけど、リンネさん以外には見られたくないですからね」
「別に俺に見せてくれなくてもいいんだが、リフレを見られるのは俺も嫌だからな」
そう言い終えると、俺は身体強化(10万)をして、少し離れたところの木陰に移動した。
そこには俺とリフレを監視していた人物がいた。
俺はその人物の首を叩いて意識を失わせ、その人物を連れてリフレの所に戻っていった。
「こっちは捕まえてきたぞ。リフレの方は大丈夫か?」
「大丈夫ですよリンネさん。あちらの方で寝ていますから」
俺が向かった先と真逆にも、同じように監視をしている人物がいた。
同時に二カ所を対処が出来ないので、片方はリフレに任せておいた。
リフレは眠る森を使い、反対側にいた人物の事を眠らせていた。
眠る森で一度寝てしまうと、術者が解除しない限りは目を覚ます事が無いので、リフレは一旦服に着替えて、俺が捕まえた人物もつれて寝ている人物の所に向かった。
「じゃあ、私が拘束しておきますね」
「縛る根」
地面から勢いよく飛び出てきた沢山の木の根が、二人の人物の身体に巻きついて拘束を始めた。
少し時間が経つと、首より下は木の根で覆われてしまい、指先一つ動かせなくなっていた。
「さてと、私とリンネさんの楽しい時間を邪魔したお二人には、どんな罰を与えましょうかね」
リフレは凄く良い笑顔を見せている。
どんな美女もかすむほどに美しく神秘的、太陽の様に輝く笑顔。
そんなリフレの笑顔だが、その美しさとは裏腹に心臓を鷲掴みにされたようなプレッシャーを放っている。
「ちょっと待てリフレ。罰の前に目的だ。ここで目的もわからず処分しても、また同じように別の奴が来ても面倒だからな」
「そうですね、次から次へと来られても面倒ですね。では、さっそく目的を教えてもらいましょうかね。どうします?自ら目的を話すか、魔法で強制的に自白させられるか、どちらが良いですかね?おすすめは自ら話した方が良いですよ。魔法での自白ですと、その後に精神的な後遺症が残りますからね」
「わっわかった、話すから待ってくれ」
「なりません姫!下々の言葉に従うなどなりません!おいおまえら!私の命をくれてやる!だからこちらのお方は解放してくれ」
「いかんぞ。わらわの為に命を差し出すなど許可はしません。わらわが全てを話すから、どうかこやつも許してやってほしい」
「姫様…」
こうして俺とリフレは、姫と呼ばれる人物と話をする事となった。
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