第一話 リンネ・アルフィード
新作を書いてみました。
魔法が中心の世界で、主人公は初級魔法しか使えない少年です。
しかし、規格外の力を持った少年が、世界に色々な影響を与えていきます。
俺の名前はリンネ・アルフィード15歳。
魔法の才能が無く、今になっても初級魔法しか使う事が出来ない。
同世代の連中は魔法の才能が乏しいと言われても、15歳にもなれば基本五属性で中級魔法ぐらいは使えるようになっている。
中には得意属性で上級魔法を使えるものも出てきているぐらいだ。
この世界の魔法は七属性存在する。
基本となる火・水・土・木・雷。
特別な才能がある物だけが覚える事が出来る光・闇。
そして、魔法には級があり、初級・中級・上級・特級の四つに分類される。
古代魔法や種族魔法なども存在はするが、現在ではそのほとんどが確認されていない。
リンネは5歳の頃に七属性全ての初級魔法が使えるようになり、その時点では天才や神童、神の子など色々な大人に褒められ将来を楽しみにされていた。
しかし、他の子が10歳の頃には中級魔法を覚え始めたにも関わらず、リンネは依然初級魔法のみ。
15歳になって中級魔法が当たり前になっても、リンネだけは未だに初級魔法のみ。
子どもの頃は光・闇魔法が使えた事で寄って来た大人たちも、今では全く見向きもしない。
そうしてリンネは、天才から落ちこぼれへと評価が変わり、誰とも交流を持たずに生活をしてきた。
ただ二人だけ、今でも変わらず俺にちょっかいを掛けてくる奴らがいる。
「リンネさん、いつまで寝間着でダラダラしているつもりなのかな?」
一人目は木の天才魔法師、リフレ・ウォーランド15歳。
幼馴染の一人で、俺たちの小さいノンノ村が所属しているシルビアン王国でも数少ない木の特級魔法師で、回復魔法に関してはシルビアン王国でも上位の人気魔法師だ。
銀髪に美しい蒼い瞳は見るものを魅了し、162㎝と身長は普通だが普通じゃないお胸様(推定Gカップ)もあり、ファンクラブまで出来ているほどだ。
「まったく!いい加減起きなさいよ!さっさと狩りに行くわよ!」
二人目は万能な天才魔法師、エルシー・スカーレット15歳。
こっちも幼馴染で、基本五属性の全ての上級魔法が使え、更には剣の腕も超一流の万能型エリート魔法師で、既に王族貴族から数多のスカウトが来ているほどに優秀な奴だ。
燃えるような赤髪に紅い瞳で見るものすべてが畏怖するほどの迫力があるはずだが、なにぶん143㎝のちんちくりんで、お胸様も残念なほどに真っ平(Aカップ)でどう見ても幼女にしか見られない。
ちなみにリンネは178㎝と少し背は大きい方だが、漆黒のような黒い髪に瞳で、一部の人間からは不気味がられている。
この世界ではあまり黒い瞳で生まれてくる子はいないらしい。
「いい加減、俺に構わないでくれないか、聖女様に剣姫様」
「私は聖女なんかじゃないですよリンネさん」
「グダグダうるさい男だなリンネは」
リフレはその美しい見た目に優しい雰囲気、国でも上位の回復魔法の使い手から、世間から聖女様と呼ばれている。
エルシーは五属性の魔法と剣を使いこなし、どんな魔物をも一刀両断する様から、世間から剣姫様と呼ばれている。
「あのなー、リフレやエルシーと違って、俺は初級魔法しか使えない落ちこぼれなんだぞ。村の皆にも劣等魔法師とか落ちこぼれ魔法師なんて呼ばれているからな。そんな俺と超一流のお前たちが一緒にいるなんて、おかしいだろ?」
「おかしくなんかありませんよリンネさん。だって私たちは幼馴染みなんですからね」
「そうだぞ!それに何があっても私が守ってやるから早く行くぞ!」
「まったく、分かったから部屋から出ていってくれないか?」
「はいはい、わかりましたよリンネさん」
「何で出ていかないとダメなんだ?いいから早く準備をするんだぞ!」
「………………。後で文句言うなよエルシー」
リフレが部屋から出ていったのを確認すると、俺は服を脱ぎ始めた。
最初に服を脱いで肌着を脱ぎ、そしてズボンを下ろそうとしたところで
「なっっ、何やってんだリンネ!!どう言うつもりだ!」
エルシーが茹でダコの様に真っ赤になって、アワアワしながら俺を見ながら聞いてくるが
「何をって、普通に着替えてるだけなんだが?なんだ?他に何かされるとでも思ったのか?」
「あぅぅぅ。うっさいリンネ!出ていくから早く着替えろバカ!!」
エルシーはリフレが出た扉から叫びながら出て行くと、そこからリフレが顔を出して
「あら、やっぱり鍛えてますねリンネさんは。じゃあ着替え終わったら教えて下さいね」
リフレは手をパタパタさせてから扉を閉めて外で待っていた。
「待たせたなリフレ、エルシー」
エルシーは未だに顔を紅くしてリフレの陰に隠れているが、リフレの陰に隠れながらも
「遅いぞリンネ!ほら、早く狩りに行くぞ!!」
「はいはい。わかったよエルシー」
そう言って、リンネたちは魔物の住む森へと足を踏み入れたのだ。
「そう言えばリンネさん、何でリンネさんは初級魔法しか使えないんですか?保有魔力や魔力付与値は中級に足りてますよね?」
「そうだぞリンネ。何でリンネは初級魔法しか使えないんだ?」
「何でと言われてもだな、どんなに覚えようとしても中級以上の魔法が発動出来ないんだよ。それに初級魔法の中でもそれぞれ一つづつ、合計七つしか使える魔法も無いからな俺は」
「そうだったんですか。私は木属性以外は苦手で中級までしか使えませんが、そう言えばリンネさんやエルシーさんの保有魔力と魔力付与値はどのぐらいなんですか?」
「私は保有魔力が五万で魔力付与値は基本五属性全て400だぞ!」
「俺はノーコメントだ。天才二人と比べれたくないからな」
「リンネさんはいつも秘密ですよね。私も保有魔力はエルシーさんと一緒で五万ですけど魔力付与値は木が2000で他の基本属性が50とバランスが悪いので、エルシーさんが羨ましいですわ」
「何言ってんのさリフレ。2000も魔力付与出来る魔法師なんて、シルビアン王国でも数人しかいないじゃん!それって凄い事じゃんかよ」
「そうだな、エルシーの言う通り、リフレは本当に凄いと思うぞ。基本属性全て400のエルシーも凄いけどな」
ちなみに魔法には級によって最低限必要な魔力付与値が存在する。
初級=1
中級=10
上級=100
特級=1000
と級が上がる事で必要な数値が格段に上がるのだ。
初級に1以上の魔力も付与出来るが、初級に100の魔力を込めると中級と同等の威力を発揮する。
つまり初級しか使えない俺でも
初級=100=中級
初級=1000=上級
初級=10000=特級
と込める魔力さえ増やせば上の級と同等の威力の魔法を使う事も可能と言う話だ。
しかしながら、魔力から魔法への交換率も悪いので、基本的には魔力付与値が上昇した場合は上の級の魔法を覚えるのだが、何故か俺は初級しか覚えれない。
しかもシルビアン王国でも数人しか2000以上の魔力付与値などいないとされている為、初級に限界まで込めても上級が限界だ。
そう、これが一般的な常識の話だ。
リンネが二人に隠している秘密は二つ。
それが保有魔力と魔力付与値だ。
リンネの数値が公表されると、今までの常識が全て崩れてしまうのもあるが、ぶっちゃけ面倒ごとはごめんで静かに暮らしたいから誰にも知られないようにしている。
ちなみにリンネの保有魔力は∞で底がない。
魔力付与値は全系統1000万で、限界まで魔力を込めると大変な事が起きる。
火の特級魔法の火炎爆発では一発で山が消し飛ぶ。
1000万の魔力を込めた初級魔法の火球では島が一つ消し飛ぶ。
それほどまでに規格外な魔力付与値だが、これが知られるとリンネは静かに暮らせない。
だからリンネは、誰にもこの事実を話す事は出来ないのだ。
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