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ペンギンさんのぬいぐるみ③

 それから、わたしは、たくさんの小さな生き物を見た。ちょろちょろしているのは、ゾウリムシという生き物のなかまらしい。ミジンコは名前は知っていたけど、けんびきょうで見ると、すごく大きくて、おなかの中に卵のようなものがあった。


 ほかにも、いろんな生き物を、わたしは、まさとくんと交代でみた。まさとくんがいたって言っても、わたしがのぞいたときにはもういなくなってたりした。


 


「これで、一時間目の理科の授業を、終わります。礼」


 日直の号令も無視してまだのぞいてるまさとくんはけんびきょうがほんとに好きなんだなあ。


 まさとくんが先生に注意されないかちょっと心配しながら、わたしは教科書とノートを重ねて、その上に筆箱を乗せた。


 筆箱の中から、ボタンの入った袋を出してみた。中の葉っぱを見てみる。


 うん、やっぱりウキクサだ。


そう確認して袋を筆箱に戻し、わたしは、理科室を出た。


 りすちゃんとやまねちゃんが後ろから来た。


「すごかったね~ちょっとの水にいろいろいたね~」


「うん。すごかった。あ、あとね、葉っぱが」


「葉っぱ?」


「うん。ペンギンさんのぬいぐるみにね、葉っぱがついてたんだけど。その葉っぱがウキクサだってわかったよ」


「それだとー、えーと?」


「ペンギンさんのぬいぐるみの持ち主の手がかりになりかもしれないよ」


「持ち主、探すのー?」


「……このまま、ずっとほったらかしだったらかわいそうだなって思って」


 わたしは、少し恥ずかしい気持ちでそう言った。


 ぬいぐるみが落ちているのを見つけたら、とりあえず目立つところに置いておくというのが大人の対応な気がする。


 ペンギンさんのぬいぐるみがかわいそうだし、落とした人も困ってるかもしれないって考えるのは、ちょっと、子供っぽいかも。


 だけど、ぬいぐるみには、綿だけじゃなくて、作った人の想いとか、持ち主の思い出とか、いろいろ大切なものが詰まってると思う。


 私は昔入院してた時があったんだけど、その時、お母さんが買ってきたランドセルを背負ったうみがめさんのぬいぐるみに励まされた。


わたしも、いつか、ピンクのランドセルを背負おうって思えた。


りすちゃんとやまねちゃんと、作ったぬいぐるみを交換した時も、とてもうれしい気持ちになった。


わたしの家には、大切なぬいぐるみがたくさんある。


もし、わたしがどこかで大切なぬいぐるみを落として、それを誰かが拾って持ち主の私を探し出してくれたとしたら、ほんとうにうれしい。


 だから、わたしは、ペンギンさんのぬいぐるみを持ち主のもとに届ける努力をしたい。


 うん。わたしは、あらためて、そう思った。

 


お読みいただきありがとうございます。

評価してくださった方、ありがとうございます。


私はヒューマンドラマのジャンルをチェックしたことが今まであまりなかったのですが、全体的に読者の方が少なめなんですね。でも、面白そうなのがあったりして、読者側としてもなにか読んでみようかなーと思ったりしています。



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