不良と女嫌いと時弄り
「この部屋で合ってるかな…?」
私は今、寮の部屋番号を確認の真っ最中
武道場の試験が終わってから私は校長先生から寮の鍵を渡され言われるがままここまで着いた
ちなみに学校との距離も近いため結構安心出来たりする
部屋番号103と書かれた鍵をドアの鍵穴に入れ一回転
いかにも寮といった感じの部屋に入り、備え付けのベッドの腰を下ろした
「疲れた…」
この一言に限る
タキリ先生の話いわく明日の学校は休みらしい
「明日は街でも見て回ろうかなー」
コンコンッ
ドアからノックの音が響く
「誰だろ…?」
この学校に私の知り合いはタキリ先生と校長、そしてテイル君の三人しか居ない
「今開けまーす」
ドアをゆっくり開けるとそこには知らない女の子が居た
「始めまして!自分はフラムと言いますぞ!」
「は、はぁ…?」
だ、誰…?
「タキリ先生から隣り部屋に新しい子が来るから宜しく頼むって言われたのでとりあえず挨拶に来たのです!」
なるほど、タキリ先生の仕業でしたか…
「わざわざありがとうございます、私はシェルンって言います」
「おぉ!良い名前ですね!そう言えば聞きましたよー!生徒会長に勝ったんですよね?」
「あ、はい…ほとんど不意打ちでしたけどね…」
「生徒会長相手に不意打ち出来るって事自体凄いと思いますよー?私も召喚士ですけど、多分無理です」
「貴方も召喚士なんですか…!?」
「ここでは珍しく無いよー?人数は少ないけど普通に居ますし」
「そ、そうなんだ…」
「そう言えば明日は休みですし街でも紹介しましょうか?」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
「いえいえーお安い御用ですよ」
その後私とフラムさんで明日の事で少し話しをした後に別れた
ーーーーーーーーーーーー
《ギルド本部》
「目撃情報無しか…」
俺はそう言いソファに腰をかけた
「まぁ、この前見つけたのが奇跡的だったのかもしれないニャー」
そのソファの横に座るのは猫耳フードを被った仲間のシケット
「その分だとそっちの方もダメか?」
「いろいろ漁ってみたけどダメだニャー…」
「そうか…」
こりゃあ、またしばらく待たないとダメかな…
「二人とも居たんだ……?」
そう声をかけて来たのは和装の少女
「ルプスちゃん久しぶりですニャン!」
「シケットは相変わらずだね……」
「お前がここに居るなんて珍しいな」
「ギルド本部の招集だよ……【ガーディアン】の全員が呼び出された…」
「全員?じゃあ、セルフィとタキリも来てるのか?」
「うん……来てたよ後ななゑも来てた…」
「あいつもかよ…一体何が起きたんだ?」
「変な生物が出て来たらしい…」
「変な生物?」
動物では無く生物?
「すまん、言ってる意味がよく分からんのだが…?」
「私もよく分からない……【ガーディアン】はこのよく分からない生物を《魔物》と呼ぶことにした……」
「魔物…?」
「ちなみに軍もそれに同意したよ……今後はあまり国の外に出ない方が良いのかもしれない……まぁ、あなたに言ってもあまり意味は無いのかもしれないけどね……」
「わかってんじゃねぇか」
「そうですニャ、まだやらないと行けない事が有るからしょうがないニャ」
「剣陣が見つかって5年…あの日を境に世界に異変が起きている……そんな気がする……」
「剣陣…か……そう言えばシェルンちゃんは大丈夫かニャー?」
「シェルン……?友達?」
「友達だニャー」
「あいつは大丈夫だ」
シケットにそう断言する
「ホーロットが断言するとは珍しい……」
「確かにニャ」
「あいつは俺の見込み違いじゃなければ強くなる」
それだけの剣のセンスがあいつにはある
そして…
多分俺よりも強くなる…
ーーーーーーーーーーーー
《学生寮》
「ふわぁ…うーん良く寝たなぁ」
私は欠伸をしベッドから降りてカーテンを開けた
「準備しないとな」
昨日別れる前に決めた集合時間よりかなり早く起きてしまった
私は手早く着替えを済ませ外に出た
「ちょっと学校探索でもしようかな」
しばらく歩くと校舎が見えてくる
ここまでの道のりも一本道なのでわかりやすい
周りの景色を見ながら歩いていると反対側から人が歩いて来るのがわかった
凄く目つきが悪いいかにも不良みたいな人だった
「あぁ?テメェ知らねぇ顔だな…?」
「き、昨日入学したシェルンです…」
「じゃあテメェがあの貴族に勝ったって奴か?」
「貴族…?テイル君の事ですか?」
結構噂になってるんだな…
「あぁそいつだ」
「勝ったと言ってもほとんど不意打ちですよ…?」
「どーだか」
そう言い捨てて不良の人は私の横を通り過ぎて行った
「なんだったんだろ…?」
その後学校に着くも寮から続く先の学校の門は閉まっていた
「あれぇ…?空いてると思ったんだけどな…あの不良の人が居た筈だし…もしかしたら正門なら空いてるかも…ん?」
そこで何かに気づく
校舎の裏側から聞こえる鳴き声
その声に釣られて行くとそこには左目を怪我した1匹の子犬がダンボールの箱の中に居た
「子犬…?」
箱の中にはミルクやドッグフード、毛布などが入っている
「………そういうことか」
私は知り、その場を去った
ーーーーーーーーーーーー
《生徒会室》
「出張…ですか?」
「そう、ちょっとギルドの方でいろいろ問題が発生しちゃってね、私とタキリは数日出張に行って来るわ、校長代理とかとりあえず居るけどテイル君にも伝えとくわ」
そうセルフィ校長がテイルに伝える
「わかりました、ならタキリ先生の授業はグラウンドを使った自習という形にします」
「わかったわ」
「それにしてもギルド関係の出張とは珍しいですね」
「それだけ妙な事が起きたのよ」
「ふむ…貴方が動くということは【ガーディアン】が動くということでしょうか?」
「そこまでは話せないわ…と言いたいところだけど、ぶっちゃけ分かるわよねー」
「序列第4位のタキリ先生まで動くということですからね」
「ななゑちゃんも動くらしいわよー?」
「序列1位も動くのですか!?」
「あ、やっべこれは言ったら駄目なやつだった」
「貴方はもっとガーディアンとしての自覚を持ってくださいよ!?」
「まさか生徒に怒られる日が来るとは…」
「いやいつものことですからね!?」
「ま、まぁ!別に良いじゃない!それじゃあ私は行って来るわ!」
そう言い残しセルフィ校長は生徒会室を急いで出て行った
「まったく…あの校長は…」
しかし…
「ガーディアン全員が動くのか…」
一体どういう事だ…?
ーーーーーーーーーーーー
《学生寮》
「お待たせー!」
「おぉ、シェルンどこ行ってたんですか?てっきりまだベッドで丸くなって居るのかと」
「ちょっと学校に探索しに行ってたら遅れちゃった…!」
「学校に?でも今は寮側の門は閉まっているはずでは?」
「外回りを見て回ってたんだよ」
「そういうことでしたか、まぁ何はともあれ街を探索開始ですぞ」
そうフラムは言い歩み始める
向かう先は首都一番の街市場だ
「シェルンは田舎育ちなのですか?」
「うん、ずっと山で暮らしてたよ」
「なるほど、だったら市場に着くまでの間軽くこの世界の常識でも話しておきますぞ」
「世界の常識って…」
確かに田舎に住んでいたけど流石にそこまで世間知らずでは無い自信は私にはある
「とりあえずこの世界の主要国が三つ有るのをご存知ですかな?」
おじいちゃん、おばあちゃんどうして教えてくれなかったの…!?
「ももももも、もちろん知ってますよ!!?」
「ならその三つの国の名前は?」
「ごめんなさい見栄張りました」
「その感じだと自分の居る国の名前も知らないみたいですな」
「あ、でも聞いたことがある気が…」
私は始めて街に来た時にシケットさんとホーロットさんの会話を思い出した
『この国の軍隊の本拠地ですニャ』
『テレスクレア軍本部だな』
「テレスクレア…かな?」
「正解ですぞー!この国の名前はテレスクレア、剣が最も栄えていると言われている国ですぞ」
「剣が最も栄えている…か」
「後は魔法が最も栄えている国フォレストンと、テレスクレアと仲が悪いギークダイムの二つですぞ、他にも小さな国は有るのですがこの三つの国が最も栄えているのですぞ」
「へぇー」
そうだったんだ…全然知らなかった…
この感じだと私は本当に何も知らないみたいですね…
「フラムさんちょっと聞きたい事が有るんだけど…」
「呼び捨てで良いですぞー、それで何ですかな?」
「ホーロットって人知ってる?」
「ホーロット・メインズの事ですかな?」
「うん、多分その人」
「知ってるに決まってますよ!誰もが憧れる最強の剣士!ホーロット!昔は英雄とまで言われた超凄い人ですぞ!」
「そ、そんなに凄い人なんだ…?」
「当然です!生きてる内に会いたいなぁー!」
「ははっ…ははは…」
マジですか………あれ?
「あの、昔は英雄と呼ばれていたんですよね?今は呼ばれてないんですか?」
「あー…実はですね…」
「泥棒だぁ!誰かそいつを捕まえてくれ!」
叫び声のした方向を見ると強面のおじさんが荷物を懐にしまっている人を追いかけていた
「捕まえなきゃ…!」
「シェ、シェルン!?どうしたのです!?」
「泥棒を捕まえないと!」
そう言い私は泥棒を追いかける為に走り始めた
「正義感が強い子ですなぁ…」
続いてフラムも走り始める
「ちぃ…!」
泥棒は追ってが増えた事に対して舌打ち
「それにしても速いですな…!?」
「くっ…」
このままだと逃げられる…!?
そう思ったが泥棒の前に知り合いが居るのに気が付きその人の名を呼ぶ
「シケットさん!その人泥棒です!」
「ニャ?」
「邪魔だぁ!」
シケットに対し剣を抜き斬りかかる泥棒
「猫技、肉球構え」
シケットは両手を交差した状態で前に出し縦に斬りかかって来る剣に合わせて両手を横に振るう
バキィッ!!
剣は砕け散り泥棒は呆気にとられる
「剣が…!?」
「ちょろいですニャ」
シケットは流れる様に泥棒の胸ぐらを掴み背負い投げの要領で地面に叩きつけた
「ガハッ…!?」
「ありがとうございますシケットさん!」
「これぐらいお安い御用ですニャ」
「シェルンの友達ですかな?」
後ろから着いて来たフラムが質問する
「そうですニャ、シェルンの友達ですニャ、ところでシェルンは何をしていたのかニャ?」
「街の観光です、そしたら泥棒を見つけまして…」
そう説明をして居るとさっき走って追いかけていた強面のおじさんが来た
「おぉ!ありがとう!本当に助かった!」
「どういたしまして、ところで何が盗まれたのですか?」
「俺は鍛冶屋でな、新しい剣を作るのに必要な設計図が盗まれたんだ」
そう言い鍛冶屋は泥棒の懐から設計図である紙の束を抜き取った
その後泥棒を縄でキツく縛る
それにしても…
「新しい剣ってどんな剣何ですか?」
「それは企業秘密だ…と言いたいところだが、助けてもらったお礼だ、ちょっとだけ見せてやる、着いて来な」
そう言われ私達は鍛冶屋のおじさんに着いて行った
ーーーーーーーーーーーー
《鍛冶屋 クリエイト》
小さな工房に入りおじさんは金床に置いていた剣を取り出す
「試作品だがこいつだ」
その剣の見た目は普通の剣だが鍔から柄までの間に謎のギミックが施されている
「見た感じは普通の剣ですな」
「と思うだろ?」
鍛冶屋のおじさんは剣の持ち手に付いていたレバーを強く握る
バチバチバチィッッ!!
辺り一杯に放電音が鳴り響く
「ははは!どうだ?魔法を剣に組み込んだ魔法剣だ!」
「魔法剣…?」
ていうか魔法って…?
「シェルン魔法を知らないようですな?」
「いや!流石に魔法自体は知ってるよ!?ただ普通は剣陣の力の延長線上で使うものじゃないの?」
「ほらやっぱり知らない」
「うぐぐぐぐ…」
「魔法は召喚士じゃなくても使えますよ、と言っても実戦で使おうにもほとんどの人が相手に致命傷を与えるほどの魔力を持っていませんが…」
「そんな弱点を克服したのがこの魔法剣って訳だ、これで剣陣じゃないと出来ないはずのエンチャントウェポンを疑似的に作り出す事が出来る」
「………」
「シェルン、今度はどこがわからなかったのです?」
「やめて!本当に何も知らない子だと思われちゃう!?」
「実際に知らないじゃないですか(笑)」
「酷いけど正論なのが悔しい…!?」
「私の予想だとエンチャントウェポンの事ですよね?」
「くぅ…そうですよ!それですよ!」
「まぁそういじけないでください、エンチャントウェポンとは武器に魔法を纏わせた物ですぞ。ですがその『魔法を武器に纏わせる』ということは人間の通常の魔力では圧倒的に足らないので机上の空論として終わってしまったものなのです。剣陣などは魔力が豊富なので魔法を纏えるのですがね」
「じゃあなんでその剣陣じゃ無い剣は魔法を纏えてるの?」
「それは鍛冶屋さんが教えてくれるはずですぞ」
「実はギミック自体は単純だ、レバーを引く事で魔力を貯めた魔障石同士をぶつける、そうすることで剣に貯めた魔法が流れるという仕組みだ」
「フラム」
「わかってますよ、魔障石のことですな?」
無知って辛い…
「魔障石は簡単に言えば魔法を貯蔵する事が出来る石ですぞ、取り扱いは非常に難しいですが、中々便利らしいです」
「そのまま手に持って魔法を撃ったりとか出来ないの?」
「雷なら感電死、炎なら大火傷、そういう被害に会いたければどうぞ」
「嫌です」
「扱いは本当に難しいのですよ、雷を通さない絶縁体や熱に強い杖の先に付けたりして使ったりするのが一般的です」
「それで戦えるんじゃ…」
「確かに強力なのですが燃費が悪いのです、だから実戦には結局使われなかったりしますぞ」
「じゃあこの魔法剣も燃費が悪いんじゃ…?」
「そこは確かに気になりますな」
「確かにそれは今後の課題だな、この試作品でも数回魔法が出来るかどうかってところだ」
「ふむ…やはりそうなりますな」
「実用化はまだまだ先になりそうだね…」
「その剣…どれくらいで完成出来そうですかニャ…?」
シケットさんの目線は真っ直ぐ鍛冶屋のおじさんに向いていた
「未定だ、半分趣味みたいなもんだしな…金が入り次第作っていってる感じだ」
「資金はこっちで準備するニャ」
「ほう…愚問だろうが一応聞くぞ?何が目的だ?」
「その剣が欲しいニャ」
「まさかとは思ったが変わり者だなあんた、まぁ良いぜ完成したら教えてやる」
「助かるニャ」
商談のような会話が終わったところで私はシケットさんに話しかけた
「シケットさんって剣使うんですか?」
「ちょっとだけ使えるニャ、だけどこの魔法剣はプレゼントにする予定ですニャ」
「なるほど」
相手は大方ホーロットさんだろうな
ん…?まさかシケットさんってホーロットさんと付き合ってるとか…!?
「別にそんな仲じゃないニャ」
「ナチュラルに心読まないで下さいよ!?」
「そう考えてるようにしか見えなかったニャ」
「シェルンはわかりやすいですなー」
「フラムまで…」
「ガハッハッハッ!まぁ今後も鍛冶屋クリエイトをよろしく頼むぜ!」
その後シケットさんは用事が有ったらしく別れ私とフラムで街を見回った
ーーーーーーーーーーーー
《剣術学校 校長室》
「あなたはどう思う?タキリ」
いかにも偉い人が座りそうな椅子に座りながらセルフィはタキリに問う
「魔物ってやつか?」
「そうそれ」
「そもそも魔物の定義ってなんだ?」
「あんた招集された時の内容聞いてなかったの?」
「あぁ!寝てたからな!」
「今ここでブッ飛ばした方が良いみたいね」
「す、すまん!?今度から寝ないから許してくれ!?」
「はぁ……魔法よ」
ため息をつきながらセルフィは言った
「魔法?」
「魔物は魔法が使えるらしいわ、実際見たわけじゃないから詳しくは知らないけれどね、今度のガーディアンの集まりの時に捕獲された魔物を見に行くのよ」
「それって俺ら全員要るのか?」
「最悪の場合を考えての選択じゃない?」
「学校で何かあったらどうすんだ?」
「タキリにしては珍しくまともな意見ね、まぁ大丈夫だと思うわよ?なんせギルド本部のすぐ横に学校が有るんだから私達が居なくてもどうにでもなるわ」
「なら別に良いんだが…」
「それより出発は明日よ?準備出来てるの?」
「やべぇ!?出来てねぇ!」
タキリはそう言い残し校長室を後にした
ーーーーーーーーーーーー
《翌日》
私は学校に持っていく荷物を整え寮を出た
初めての学校!楽しみですねー!
学校までの道のりを少し駆け足で行くと知っている人物が目に入る
「おはようシェルン今日から地獄の学校ですね…」
そして唐突の地獄発言
「フ、フラム…?どうしたんですか?」
「気にするな、そいつは休み明けの学校に絶望してるだけだ」
後ろから話しかけて来たのはメガネが良く似合う金髪の生徒会長ことテイル君だった
「あ!久しぶりですねテイル君!」
「あぁそうだな、そういえば今日からタキリ先生は出張らしいぞ」
「出張?あの人が真面目に仕事をやるとは考え辛いですねー…学校の出張ではなく遊びの出張と考えるのが妥当でしょうね」
「普通はそう考えるよな」
信頼無さ過ぎですよタキリ先生…
「でも心を入れ替えて真面目に仕事してるのかも…!」
「「それは無い」」
「そ、そんなに酷いんですか?」
「基本脳筋なのですぞ」
「脳筋だな」
ホーロットさんが世も末って言うのがちょっと分かった気がした
というかなんで先生やってるんだろう…?
「まぁ、今回は校長も同じ出張だしサボれないだろう」
「おや?校長も出張なのですか?」
「二人共今日の朝のHRが終わり次第出発らしい」
「そ、そうなんですか…」
「どうしたのですかシェルン?」
「いや知ってる先生が全員出張だからちょっと不安なだけだよ」
「私が居るじゃないですかシェルン!ついでにテイルも居ますぞ!」
「僕を巻き込むな」
「ありがとうございます二人共…!」
そんなこんだで話している内に寮から学校に繋がる門が見えてくる
そこで昨日の事を思い出す
「二人共少し待っててください!」
そう二人に言い、あの子犬が居る校舎の裏側に向かった
実はこの為にあらかじめ牛乳を準備してきたのです
「元気かなー?」
「………あぁ?」
家政婦は見た!
昨日の不良が子犬を抱っこしているシーンを!
「え、えーと…」
「どうしたのですかシェルン?ん?」
「勝手に置いてくな、まったく…ん?」
後ろから追いかけてきたテイル君とフラムもその光景を見て硬直
と、とりあえず
「「「失礼しました」」」
「おいちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!!?」
「根は優しい不良とは…相変わらずのテンプレだな…」
「別に優しくねぇし!」
「手に持ってるそれは何ですかな?」
「見りゃわかんだろ!フ、フリスビーだ!」
「どう見ても子犬と遊ぶ気満々ですね本当にありがとうございました」
「ちげぇよ!これは俺が投げて遊ぶ為に持ってきたんだ!」
「それはそれで痛いと思うんですが…」
「うるせぇ!とりあえず絶対に他の連中に言うんじゃねぇぞ!?」
そう言って不良の人は子犬を箱の中に戻しその場を逃げるように去った
「まさかグランにあんな一面が有ったとは…」
「今の不良の人はグラン君って言うの?」
「そうですぞ、この学校の自称不良ですぞ」
自称不良とか初めて聞きましたよ
「とりあえず僕達も行くとするか」
「そうですね」
そして私達は教室を目指す
ーーーーーーーーーーーー
《ギルド本部》
「セルフィとタキリは朝のHRが終わり次第合流するらしいよ……」
和装を身に纏う少女ルプスは目の前の回転椅子に座っている序列1位に告げた
「教師って大変ねーまぁ別に私は構わないわ」
回転椅子をグルグルと回しながら序列1位舞浜ななゑは話す
「それでは全員の準備が出来次第出発するね…」
「そう言えばディグスはどこ行ったのかしらね?」
「『久しぶりの街だから観光をする』と言ってた気がするよ…」
「マジかー、それって大丈夫なのかしら?」
「私に聞かれても知らないよ…」
「まったく…ギークダイムみたいに通信技術が発達してればこんな手間にはならないのに…」
「それはしょうがないよななゑ…」
「分かってるわよ」
「最悪の場合私が探しに行くよ」
「テレスクレアの最速に任せれば問題無いわね」
「ディグスおじさんの方が多分速いと思うけど…?」
「ディグスと貴方の速さは元々ベクトルが違うじゃない、移動なら貴方が一番よ」
「じゃあホーロットは…?」
「あんな化け物と比べても意味無いわよ」
ななゑは回転する椅子を止めルプスを見る
「ホーロットは化け物か…」
「まぁホーロットが化け物だったら私は一体何者なんだろうね?」
「ななゑはななゑだよ…?」
ルプスはななゑの問いに即答
「……………」
ななゑは椅子を180度回転させ静かに目を閉じた
(そうだと良いわね…)
そんな考えがななゑの頭の中に過る
そろそろHRが始まる時間帯
ーーーーーーーーーーーー
《剣術学校 教室》
「シェ、シェルン・ハートです!よろしゅくおねがいしましゅでしゅ!」
朝のHRからやらかしてしまった
「おいまたか…大丈夫か?つかどんな噛み方だよ…」
タキリ先生は笑いを通り越して心配している
頼むから笑って!?その方が心配されるよりは気が楽なんですぅ!
「だだだだだ大丈夫でしゅ!」
「大丈夫の意味から教えた方が良いな」
マズイ…マジで心配されてるよねこれ
「とりあえずシェルンお前はテイルの後ろの席だ」
「は、はい…」
周りからクスクスと笑い声が聞こえ精神的ダメージマッハ、私の中のHPメーターはどんどん削れていく
そのダメージに耐えながら私はテイル君の後ろの席に座った、窓際の席…最高じゃないですか…!HP少量回復
そして私は自分の席の後ろにいるフラムに気付く、HP中回復
色々と完璧な席だなーとか考えていると隣りの席の生徒に目がつく
「あぁ?なんか用か?」
隣りの席に居たのは自称不良と言われているグラン君だった。あぁ…HPが1しかない…
神様なんてイタズラしてくれやがるんですか
「な、なんでも無いよ」
「じゃあなんでガン飛ばしてんだよ」
「グラン、子犬」
ノータイムでフラムがグランを脅す
「テメェらぁ…!?いつかブッ飛ばす…!(小声)」
「えぇ!?私も!?(小声)」
「当たり前だろうがぁ!(小声)」
そんなやりとりをしているとも知らずタキリは話しだす
「急遽決まった事だが俺は今から出張だ」
「「「お土産楽しみにしてます」」」
「なんで遊びに行く前提なんだよ…!?」
えっ!?違うの!?と言わんばかりの顔でタキリ先生を見る20人のクラスメイト
「と、とにかくだ!俺が居ない間の授業はグラウンドを使った自習だ!良いな!?」
「「「はーい」」」
「テイル後は任せたぞ」
「ハイハイ分かってますよ…まったく世話のかかる担任ですね…」
タキリ先生と入れ替わるようにテイル君が教壇に立ちタキリ先生は教室を出た
「とりあえず出席を取ります」
慣れているのかテイル君はテキパキとHRを終わらせ皆を次の授業の準備に移らせる
どっちが先生か分かりませんねこれ…
とりあえず私が初めて最初に受ける授業は…
「『剣陣学』…?」
「そう言えば君は初めての授業か」
テイル君が席に戻って来つつ私に話しかける
「次の剣陣学って用は剣陣の勉強ですよね?」
「そう、剣陣についての勉強だ」
「つまり此処に居るクラスメイトは全員剣陣召喚士なのですか?」
「君は馬鹿か?こんなに大人数召喚士が居るわけ無いだろ?このクラスでは5人だけだ、それに普通に剣を学ぶ人間でも剣陣の基礎勉強は普通はやるものだ」
「ちなみにその5人は私とシェルン、テイルにグラン、後はラギ君ですぞ」
「ラギ君?」
「グランの後ろの席に座ってる人ですぞ、と言う訳でラギ君ー」
「………………」
ラギと呼ばれる少年は目を瞑ったまま黙って椅子に座っている。口元を隠す長いマフラーが印象的な人だった
「寝てるんじゃない…?」
「いやあれは狸寝入りですな」
「え?なんで狸寝入り?」
「あいつは女が苦手なんだよ」
「違うっ…!」
ラギは刮目し否定に入る
「ほら起きてた」
「拙者は精神統一していただけだっ…!狸寝入りでは無い…!」
「へぇー…じゃあさシェルン、自己紹介って事でラギ君と握手してみてよ」
「良いですよー、私シェルンって言いますよろしくねラギ君」
そう言って私は握手をするため右手を前に出す
「あ、あぁ!よろしく頼む…!」
そう言ってラギ君は左手を前に出す
ん…?左利き…?
そう思いシェルンは左手を前に出すとラギは右手を前に出す
「握手する気無いでしょ!?」
「ち、違うっ…!これは貴殿の反射神経を試しているのだ…!」
シェルンはフェイントを組み込み右手で握手を強引に行おうとするが…
「くっ!」
「えっ…!?」
触れる寸前でラギ君は窓に向かって走り出す
そしてそのまま窓を開け飛び出した
「あ、逃げた」
「ここ四階だよね!!?」
飛び出した先(※地面)を見るとそこには全力で逃げているラギ君を見つけた
「あいつの女嫌いはどうにかならないのか…?」
テイルは呆れたように言う
「へっ!いつものことじゃねぇか」
それに答えるようにグランは言った
「別に良いじゃないですか、まぁ今問題が有るとすればそろそろ授業が始まるって事ですかな」
フラムがそう言った直後、先生が教室に入り授業の開始を宣言する
「マジでごめんラギ君…」
ーーーーーーーーーーーー
《ギルド本部》
「全員準備は良い?」
ななゑは目の前にいる四人に言った
「私は大丈夫よ」
セルフィ
「俺も大丈夫だぜ!」
タキリ
「若い者が元気が有って良いですのぉ…」
ディグス
「ななゑ、皆大丈夫みたいだよ…」
ルプス
「じゃあ行きましょうか、魔法国家フォレストンへ」
それぞれが馬に乗り5人は目的地を目指した
ーーーーーーーーーーーー
《???》
「行ったか…?」
「行ったぜぇい」
「イッタミタイダナ」
「行っちゃったねー」
「明日、実験を開始する」
ーーーーーーーーーーーー
《剣術学校》
授業に入る前に先生が、授業が遅れている私の為に軽く復習をしてくれた
「絶対に忘れてはいけない事の一つとして剣陣が破壊された場合その剣陣を召喚した者は個人差は有りますが数日間意識が戻りません詳しくは解明されていませんが、剣陣が再生しきるまでの期間ではないかと言われています。ですから剣陣が破壊された場所が戦場なら無防備、つまり死を意味します」
「えぇっ!?」
知らずに振ってた自分が恐ろしい…
「ですから召喚士が剣陣を使用する時は充分に注意をしなければなりません、逆に召喚士では無い剣士は剣陣さえ破壊すれば召喚士に勝てるということです他にも…」
復習を兼ねた授業は進んでいく……しばらくすると授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた
「今日はこれで終わります」
そう言い先生は教室を出ていく
「疲れたのですよぉ…」
フラムは机に突っ伏している
「お疲れ様フラム」
「お疲れのところ悪いが次は実技の授業だぞ?速くグラウンドに行け」
「テイル、疲れてる女子には優して欲しいのですが?」
「君の事情なんて知らないな」
その会話に横槍を入れるようにシェルンが言う
「でもテイル君って優しいね、次の授業教えてくれるなんて」
「か、勘違いするな!?遅れてきたら学級委員長兼生徒会長の僕に責任が問われるんだ!だから保険の為に君達に言ったんだよ!」
「そうなの?」
「そ、そうだ!」
「まっ、俺はサボるけどな」
グランはそう言って立ち上がり教室を出ようとしたところでシェルンが呼び止める
「あ、グラン君あの子犬の所に行くの?だったら牛乳を……はっ…!!?」
後から気づいたけど、どう見ても爆弾発言
「…………おい…」
どう見てもヤバそうなオーラが漂っている
と同時に周りの生徒は少しクスクス笑っている
しまったぁぁ!?
「あ、あわわわ…!?」
「テメェ…シェルン…だったか…?」
「は、はいぃぃ!」
「次の授業本気でお前をブッ飛ばす…!」
「ひぃぃぃぃ!!?」
グランは凄い形相でシェルンを睨んだ後教室を出た
「おぉ!ありがとう!君のおかげでグランが授業に出てくれる!生徒会長として嬉しい限りだ!」
「馬鹿なんですかぁ!!?私殺されちゃいますよぉ!!?」
「うーん、あれはマジの目でしたな…」
おじいちゃん、おばあちゃん、私先に天国に逝っちゃうかも
「まぁ、頑張れとしか言えないな」
「そうですな、もう脅迫も意味を成さないでしょうし」
「しかし元々グラン殿の自称不良は周知の事実」
「ちょっと待ってどうやって窓から入って来たのラギ君…!?」
窓から入って来たラギに驚愕を隠せない
そりゃあそうでしょう、ここ四階だもん
「どうやってと言われても登って来たとしか言えないな…」
「マジですか…」
「まぁ、ラギ君の言う通りグランが自称不良なのはクラスの皆知ってるだろうね」
「え?皆知ってるんですか?」
「朝、寝坊で遅刻したとか言ってたらしいが実は大荷物を持った年配の方を手伝っていた…なんて話は記憶に新しいな、ちなみにその現場を見たのはフラムだ」
「自分は普通に寝坊したのですがね、いやー良いのが見れましたぞ」
「凄く良い人じゃないですか!?もしかして見逃してもらえるかも…!」
「ただ本人は皆に自称不良だと思われてる事を知らないからな…さっきの目からして本気だろう」
「そ、そんなぁ…!?で、でも危ないと判断したら先生が止めに来てくれますよね…!」
「この授業担当はタキリ先生だから自習だぞ」
「タキリ先生ぇぇぇぇ!!!?」
ーーーーーーーーーーーー
《フォレストンに向かう道中》
「ぶぁっくしょっんッ!!」
「大丈夫…?風邪…?」
盛大なくしゃみをするタキリにルプスが心配する
「いや、これは噂話だな!いやーモテる男は辛いわー!」
「……………う、うん…そうだね……」
「なんでそんなに微妙な顔なんだよ!?ネタだからツッコンでくれよ!?」
「心配して損しました……」
「ひでぇ!?」
ーーーーーーーーーーーー
《剣術学校 グラウンド》
「死ぬ覚悟は有るかぁ?」
「な、無いですぅ!!?」
私シェルンはグラウンドでグラン君に追いかけられていた
「は、話し合いをしましょ!?」
「拳で語ってやるよぉ!」
「ここ剣術学校なんですけどぉ!?」
「じゃあ剣で語ってやるよぉ!
鉄の意志よ集え!剣陣 《鉄塊》!!」
そう召喚されたのは巨大な大剣…の形をした鉄の塊だった
「なっ!?殺す気ですか!!?」
「テメェも召喚士だろうが!なら関係ねぇよ!」
そう言いグランは剣陣 《鉄塊》をシェルンに向けて振り下ろす
「うわっ!?」
ドォンッ!
間一髪で避け、地面を叩きつける音が鳴る
「本当に死んじゃいますって!!?」
「手加減してるから死なねぇよ!気絶で済ましてやる!」
「それ絶対重症ですよねぇ!?」
それを遠巻きで見るフラムとテイル、ラギ
「大丈夫なのですかあれ?」
「大丈夫では無いだろうな…」
「フラム、君はあいつの友達だろ?なんとかしてやれ」
「テイルもシェルンの友達ですぞ?もちろんラギ君も」
「朝も言ったが僕を巻き込むな」
「拙者は物理的に無理であろう…?」
「まったく…頼りない男達ですな…しょうがない一肌脱ぎますか、剣陣使っても良いですかな?」
「使わないと無理だろ」
「まぁね、じゃあ行って来るねー
時を共に歩め!剣陣 《クロノス》!」
召喚した直接、フラムはシェルンとグランが居る所に向かって走り出す
「時よ理に反し加速せよ『Quick【早送り】』」
フラムの足は早送りしているかのように速くなりあっという間にグランとの距離を詰める
「てめっ!?フラム邪魔すんじゃねぇ!」
「それは良かった、邪魔しに来たのですから邪魔と思ってくれてありがたいですな
時よ理に反し減速せよ『slow【遅送り】』!」
フラムがそう魔法を唱えるとグランの動きが鈍くなる
「ちぃっ…!」
「大丈夫ですかなシェルン?」
「フ、フラムゥ…!死ぬかと思ったよぉ…!」
半泣きである
「グラン、女の子を泣かせたらだめなのですぞ」
「剣陣出さねぇそいつが悪い、おいなんでテメェは剣陣を出さなかった?」
「だって怪我したら危ないでしょ…?そもそも喧嘩するつもり無かったし…」
「テメェはテイルの野郎と戦った時は剣陣で戦ったらしいじゃねぇか、怪我もするかもしれねぇし喧嘩でも無いあの状況でだ、何故俺にはしない?」
「あれはそもそも試験だったしそれに…」
「それに?」
「テイル君があまりにも理不尽な人だったから仕返ししただけだよ…」
「追いかけた俺に対して仕返ししようとは考えなかったのかよ?」
「だってどう考えても私が悪いし…」
「それは自分が怪我した後でも同じ事が言えんのか?」
「言えるよ…?」
即答
「そうかよ…じゃあ今から真面目に戦おうぜ?それなら良いだろうが、テメェが勝ったらさっきの暴露話の件はチャラにしてやる」
「そ、そういうことなら…」
「良いのですかシェルン?」
「気は進まないけど、それで納得してもらえるなら仕方ないよ」
「決まりだなぁ…おいアホメガネ!ジャッジしろ!後フラムお前は俺にかけた魔法を解け」
「シェルンが言うなら仕方ないですな」
「クソメガネではない!僕の名前はテイルだ!やるんだったらさっさと始めたまえ!」
テイル君が大きくそう宣言をすると周りのクラスメイトの視線がこちらに向く
「お、召喚士同士の試合か?」
「転入生がんばれー」
「前はラギとテイルだったが今回はグランか」
「やれやれーブッ飛ばせー」
などそれぞれが思い思いの言葉を言う
「一つ良いこと教えてやる」
グラン君は剣陣 《鉄塊》を肩に担ぎながら言った
「俺は手加減しねぇ男だ」
「そ、そうですか…なら私も出来る限り頑張ります…
契りを交わせ、剣陣 《契り剣》」
私は剣陣を召喚しその剣を前を左手に持って構え、隠し持っていた短剣を抜き右手に持つ
「へっ…!二刀流ってか?」
「テイル君との戦いで気付いたことなんですけどやっぱりこっちの方が戦いやすいなって思って」
「へぇ…変わってんなお前」
「二人共、ルールは相手の戦闘不能状態に持ち込むってことでいいですかな?後始めるタイミングは二人に任せますぞ」
そうフラムが言った直後にグランが仕掛ける
「先手必勝っ……!」
「は大事ですよね」
グランは剣陣 《鉄塊》を振り上げた状態で行動を停止
首元に突きつけられたシェルンの剣陣 《契り剣》を凝視した
「なっ!?な、舐めんじゃねぇ…!」
慌てながらもグランは後方に下がりながら剣陣を振り下ろす
シェルンはそれを右に避けつつ短剣をグランの顔に突き出す
「ちぃっ!?」
ギリギリでグランは避け、空いてる手でシェルンの右手首を掴む
「吹っ飛べ!」
そのまま空中に投げ飛ばす
「おぉっ…!流石の怪力ですな」
フラムはそう言う
「流石あの剣を使うだけは有るな…これはシェルン殿の負けであろう…」
「いや…まだだ」
ラギの言った言葉を否定するテイル
「これで終わ……ぐっ!?」
吹き飛ばされたシェルンの方を見ようとしたがその位置は丁度太陽が有る方向、グランは逆光でシェルンを直視出来なかった
「短剣投げますよ」
そうシェルンは言い、宣言通り短剣を投げつけた
「ちぃっ!?ふざけんじゃねぇっ!」
その短剣をグランは剣陣の腹で防ぐ
「行きます…!」
シェルンはグランの剣陣に向かって急降下し《契り剣》を振るう
「剣陣の破壊が目的か?残念だが俺の剣陣は超硬いからそれは無理だぜ?」
シェルンの動きを知っていたかの如く《鉄塊》で受け止め、カウンターの要領で吹き飛ばす
吹き飛ばされたのはシェルンの剣陣 《契り剣》だけだった。等の本人の姿は何処にも見当たらない
「なっ!?どうなってやがる!?」
「こうなってるんです」
後ろから聞こえる声、振り返るにはあまりにも遅すぎた
先ほど投げられたはずの短剣が喉元にほぼ零距離で突きつけられている
「そこまでだ」
テイルが試合の終了を宣言する
「おぉぉっ!!?転入生が勝ったぞ!?」
「しかもほとんど剣陣使ってないし!凄くない!?」
「マジかよ!?」
「てっきりグランが勝ったかと思ったぜ!」
驚愕と歓声が周囲を埋める
「えっと…ごめんね?」
シェルンは突きつけた短剣をしまいながら言った
「……………」
「グ、グラン君?」
「……………」
返事は無く、グランはずっとボーっとその場に立って居た
「え、えっと……」
「恐れ入りましたお嬢っ!!俺を弟子にして下さい!!」
「へっ……?」
土下座でお願いして来た自称不良の意外なお願いに間の抜けた声が出てしまった
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#4《襲撃》
作者「大変長らくお待たせしました3話目です」
シケット「今回は登場キャラが多いですニャ」
作者「実はまだ出したかったキャラも居るのですがそれは次回ですね」
シケット「今回は主要メンバーの紹介回みたいな感じですかニャ?」
作者「後一人居るのですよねぇ…とりあえず今はシェルン、フラム、テイル、グラン、ラギの五人です」
シケット「ガーディアンのメンバーは全員出てきたっぽいですかニャ?」
作者「全員ですね、それぞれの能力は追い追い書いて行きます」
シケット「それぞれのキャラの詳細が知りたい方はコメントして貰えると後書きに書くかもしれないニャ」
作者「ちなみにこんな感じになります」
名前:シケット
歳:17
詳細:猫耳フードを被った少女、下はミニスカとスパッツ、銀髪
武器:素手?
作者「以上がシケットさんのプロフィールですね」
シケット「もっと知りたい事が有ったらコメントして貰えると助かるニャ」
作者「Twitterもやっていますのでそちらでも問題無いです」→ @mumeino_neko
シケット「元々は絵を描くアカウントのはずだったけど、気にしたら負けニャ」
作者「それでは今回はここまで」
シケット「次回も見て貰えると嬉しいニャン♪」