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ソードサモナー  作者: 猫の手
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襲撃

彼女は1人だった


大地を自由に走る事を許されず


友達を作ることもできなかった


両親に与えられたのは使命


愛情の欠片も無い


そんな彼女を


彼は救う


ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


「お嬢!おはようございます!」

「お、おはようグラン君…」

180度キャラが変わってしまった自称不良は自分の席に座る


「キモいぞグラン」

「テメェには関係ねぇだろうがアホメガネぇ!」

「ちょっ!?喧嘩は止めて下さいよ!?」

「お嬢が言うなら…」

「しょうがないな…」

一言言っただけでおとなしくなる二人組

「完璧に手懐けてますねシェルン、恐ろしい子…!」

「そんなんじゃ無いよフラム…!」

「ぶっちゃけシェルンはこのクラスで1位2位を争うほどの実力者ですぞ?」

「う、嘘だー…」

「ちなみにラギ君を倒せば実質上の1位ですぞ」

「この座は不動ッ…!新顔に遅れは取らん」

「バカ言え、この僕が負けたんだぞ?君も多分負けるさ」

テイルがそう言ったところで先生が入り授業が始まる。ちなみにHRはタキリ先生がまだ出張なのでカットらしい

そして次始まる授業は歴史だった

「『歴史』か…」




ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》


魔法国家フォレストンに到着したななゑ一行は進むペースを落とした

「長いわよッ…!?まさか1日かけて来るとは思わなかった!」

ななゑはそう愚痴を言い前に馬から降りる

「短気だなぁ、うちのギルドマスターは」

「タキリ仕事増やすわよ?」

「すまん!マジですまんかった!だからそれだけは止めてくれ!?」

「そんな茶番してる暇があったら速く行きましょ?場所は聞いてるんでしょギルマス?」

セルフィがそう言ってななゑに尋ねる

「魔法科学研究所って言われたわ」

「多分あれだろうね…」

ルプスが指差した先は四角い形状の白く大きい建物、周囲が森に囲まれているのが普通のこの国には明らかに目立った

「この国門とか無いから分かりずらいよなー」

「千年樹しか目印無いからね…」

「とりあえず、目的地が分かったし早速…」



ドォォォンッ!!!

ななゑが進もうとした瞬間爆発音が鳴り響く

音の方向は今さっき行こうとした魔法科学研究所だった

「な、なに!?」

「ルプス先導して!」

「言われなくてもわかる…」

ななゑの指示を受けルプスは走り出す

「行くわよ!ディグスはゆっくりでも良いから追いかけて来て」

「お言葉に甘えてそうさせてもらおうかの」

三人に指示を飛ばしたななゑはルプスに引き続き走り出す


「まったく…!急過ぎるでしょ!?」

「物事はいつだって急なもんだろ」

「少しは休ませて欲しいってことよ!」

ななゑとタキリが話しているのを横で聞いていたセルフィが違和感に気づく

「ななゑちゃんの言ってる通り、急過ぎる…いやタイミングが良過ぎる気がする」

「どういうことだセルフィ?」

「ただの女の勘よ」



「っ!?皆止まって…!!」

前を走っていたルプスが後ろの全員に指示する


「ほーう?良い勘だなぁ」

横の茂みから現れたのはフードを深く被った男

「あなた誰…?」

「ぷっはー!言うわけねぇだろバカか?♪」

「邪魔するなら容赦はしない…」

「おー怖い怖い、だけど上の命令でお前らを足止めしないといけないんだよねー♪」


「獲物を狩れ剣陣 《餓狼》」

ルプスの前に現れたのは一振りの刀を掴む

更にルプスの頭から狼の耳、臀部からは狼の尻尾が生える

「おぉ!?これはこれは!剣陣の中でも珍しいフェイス系統の剣陣ですかぁ!しかも刀!ステタスとの混合種とはまた珍しいねぇ!羨ましいですなぁ♪そんじゃあ次は俺の剣陣をー」

「知りたく無い…」

ズバァッ!

ルプスはフードを被った男に急接近し右腕を切り落とした


「うぐぁぁ!?…なんちゃって♪」

切り落とした腕は灰になり掻き消え、切り落とされた方の男の腕の付け根から火が吹き出し右腕が再生する

「っ!!?」

ルプスは瞬時に距離取る

「そう驚かないでよ狼ちゃん♪」

「なんで再生したの………?」

「ただのフライングだよ♪」

フードの男は茂みに向かい、茂みの中から先に召喚していたであろう剣陣を取り出す


「剣陣《火の鳥》どう?カッコイイでしょ?♪」

男の背中からは炎の翼が生え、周囲の温度を上昇させた



ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


「歴史の授業ほどつまらない授業は無いですな」

フラムが私にそう愚痴る

「そう?私は好きだけどなー…」

「授業が好き!?ありえないですな…」

「お前が勉強嫌いなだけだ」

テイルがそう口を挟む

「別にいいじゃないですかー!」

「まぁまぁ二人共、そんなことよりお昼どうしますか?私子犬の様子を見たいので子犬が居る所に行きたいのですけど皆さんも来ませんか?」

「当然ですお嬢!俺もあいつの事が気になってました!」

「シェルンが行きたいなら別に構いませんぞー」

「馬鹿か君達は!?あんな所で喰うのか!?」

「テメェ!お嬢になんで口聞きやがる!」

「いや君も冷静になれよ!?ラギ!君からも何か言ってやってくれ!…ラギ?」

何故かラギは行く気満々で準備をしていた

「早く子犬の所にいくぞ…!」

「なんでそんなに必死なんだ…!?」

「テイル知らないのですか?ラギは動物好きなのです」

「初耳なんだが!?」

「テメェそんなに行きたくないなら来るなよ」

「くっ…!」

「そうですね…しょうがないのでテイル君無しで食べに行きましょうか」

「待ちたまえ!君達だけだと不安だから僕もついていこう!」

そういってテイル君は颯爽と準備を済ませる


手元に犬図鑑、犬の飼い方の本を持って


「えっと…」

「ツッコミ待ちなのですかな?」

「な、なんのことだ!?」

「とぼけんな、その分厚い本だよ」

「最近読んでる本だから持っていくだけだ!」

「読むって…それ図鑑ですよ…?」

「ふっ…!相変わらずきみは馬鹿だなぁ!本を読んで分からない時に辞書(図鑑)を見るに決まってるじゃないか!」

「グラン君…」

「わかってますお嬢…おいメガネ」

「なんだ?」

「飯食う時に本読むんじゃねぇ!」

「違うよ!?ツッコミ入れて欲しい所はそこじゃないよグラン君!?」

「なん…だと…?」

「なんでラギ君まで戦慄してるの!?」

「ほら早く行かないと昼休み終わってしまいますぞ?」

「そ、そうだよ!もう何でも良いから早く行こ!」

そう言いシェルン達は子犬が居る所まで移動した


「到着ー!」

「おいチビ助元気かー?」

「ワンッ!」

箱の中に居る左目を怪我した子犬は元気良く返事を返す


「おい名前がチビ助だとちょっとかわいそうだろ」

「あぁ?別に良いだろチビなんだから」

「大きくなったらチビじゃなくなりますぞ?」

「じゃあ太郎」

「何故安直にするのだ…!?もっと良いのが有るであろう…!」

「じゃあラギ、お前良い名前考えてみろよ」

「ベッフォン・フルール アフェンと言う名前にするのはどうだ…?」

「君はバカか!?長過ぎるぞ!?」

「うーむ…我々のネーミングセンスではどうしようもありませんな」

「テグラシフ…」

「「「え?」」」

シェルンの言葉に全員が止まる

「あ!いやゴメンなさい、皆の頭文字だけ取って名前付けようかなーって思ったんですけど上手くいきませんね…語呂も悪いですし」

「テグラシフ…いっその事テグで良いのでは?」

「おぉ!それ良いな!流石お嬢だぜ!」

「考えたのは私なのですが?」

「元々はお嬢だっつーの!」

「まぁ良いじゃないか、それじゃあ名前はテグって事で良いか?」

「ふむ…良い名だ…」

「じゃあ今後もよろしくねテグ」

「ワンッ!」

「そういえば次の授業って剣陣学でしたかな?」

「あぁそうだ、それが終わったら実技だ、まぁタキリ先生が出張だから今日も自習だが」

「じゃあサボっちまおうぜぇー」

「貴様…いい度胸だ、俺が生徒会長と知っての発言か?」

「グラン君授業出なきゃダメだよ?」

「お嬢が言うならしょうがないな」

「手懐け過ぎだろ君!?」

そんなやり取りをしながらご飯を食べて私達は昼休みを終えた



ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》



「大丈夫ルプス!?」

後ろから追いかけて来たななゑはルプスを呼びかける

「大丈夫…」

「おぉ?お仲間さん来るの遅いんじゃなーい?」

「あいつ召喚士だから気をつけて…不死鳥の剣陣って言ってた…」

「俺ほぼ無敵なんですんませーん♪」



「失せろ…」

ななゑの低く怒りの篭った声は男を度肝を抜いた


「だ、誰がその程度で失せるかよ!お前らこそ黙って足止めされときな…!」


「この世の理よ…我に従え…!剣陣 《森羅》っ!!」

セルフィは召喚した剣陣を掴み、刃を謎の男に突きつける


「先に行ってななゑちゃん、こいつは私が潰すわ」

「ありがと」「サンキュー」「気をつけてね…?」

謎の男の横をすり抜けるようにななゑとタキリ、ルプスは走る


「だから通さねぇよ……!」

「邪魔しないで【土壁】グランドウォール」


ななゑ達と謎の男の間に土の壁が瞬時に出来上がる


「クリエイター系統の剣陣とは…本当にレアばっかですねぇ!」

「幻獣をベースにしたフェイス系統の剣陣の方がよっぽどレアでしょうが…!」



ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


剣陣学の授業

「剣陣は大きく分けて6つの系統の存在が確認されています。それではテイル君これらの系統の種類を言ってみてください」

「はい、パワオン、ステタス、フェイス、クリエイター、エフェクト、シクレットです」

「流石ですね、ではそれぞれの種類の能力について説明していきます」

先生は褒めた後に黒板に6つの種類の剣陣の名前を書き始める

「す、凄いですねテイル君…」

先生に聞こえないぐらいの小声でテイル君に後ろから話しかけた

「これぐらい出来て当然だ…そういえば思ったんだが、君の剣陣はパワオンか?」

パワオンって何ですかそれ状態だから答えられないのですが…

「うーん…ゴメン、まだその種類自体がよく分からないから答えられないかも…」

「そうか、じゃあ授業が終わった後に聞くとしよう」

黒板に字を書き終えた先生は話を続ける


「簡単に説明すると、パワオンは召喚者の身体能力を向上させる系統の剣陣です。一般的な剣陣ではありますが極めれば上を目指す事が出来ます、この学校で言うと脳筋…いや、タキリ先生がそれにあたりますね。次にステタス系統の剣陣について説明します。この系統の剣陣は質や形を変化させる事が出来ます、このクラスで言うとグラン君がそうですね。この剣陣の特徴をフラムさん、答えて下さい」

「覚えてません!」

「自信満々に答えるじゃありません、ならグラン君答えなさい」

「むにゃむにゃ…うっせーぞメガネぇ…むにゃむにゃ…」

「夢の中でもテイル君とは仲が悪いようですね、それではシェルンさんに…」

えっ!?ちょっと待って!?答えられるわけないですよ!?私ここに来てからまだ数日なんですけど!?


「先生、俺が答えます」

私の右前に座っている生徒が手を挙げる

「ルイン君ですか、良いでしょう」

「ステタス系統の剣陣は剣の形や質に大きく変化が起こり、パワオンの次に使用人口は多いです。」

「良く出来ましたステタスは単純かつ複雑な剣陣ですが、基本的に使用者が一番使い使いやすいように出来ていると言われています、他にも他の系統が同時に現れる混合種など…」

先生の授業は淡々と進んでいく


「あ、ありがとうございます」

私は小声で右前に座っているルイン君に言った

「ん?あぁ気にすんなって、あの先生所々抜けてる部分が有るからな、転入生とか気にしないだろうし」

「おかげさまで助かりました」

「おう、良いってことよ」



ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》



セルフィは剣陣を指揮棒の様に振るい魔法を連続で唱え続ける

「【炎弾】ファイアバレット!

【水槍】アクアスピア!」

剣陣の剣先から炎の弾が飛びフードの男の足元からは水の槍が飛び出る

男は宙に飛びそれらを回避した


「詠唱破棄を連続でやるとは…!ぶっ飛んでるねぇ、流石序列2位とでも言っておきましょうか」

「私達が《ガーディアン》って知ってて襲って来たみたいね」


「もちろん♪でも凄いな、クリエイター系統の剣陣の力をここまで使いこなすとは…素晴らしい自然操作だ♪」

「褒めてくれるのは嬉しいけど、足元がちょっとお留守じゃない?

【草結】グラストラップ!」


地面から草が急成長しフードの男の足首を掴み地面に引きずり込む

「【水檻】アクアゲージ!」

瞬時に形成された水によりフードの男は水の中に閉じ込められた

「ゴボボッ!!」

「なんて言ってるか聞こえないわよー?そういえばあなた不死身だったわね?なら死ねずに永遠に苦しむ体験が出来るわよ」

そう軽口を叩いた直後


ジュワァッ!!


水の檻は蒸発し大気中に霧散

「この程度で調子乗るんじゃねーよ!」

「調子に乗る?乗ったつもりは無いわよ?まだこの程度ですもの」

「俺は不死身だぞ!どんな攻撃が来たとしても死なねぇ!」

「あー…ダメね全然ダメ…どう考えても愛しのあの人の方が強いわ、あなたのそれは強さじゃない、唯の慢心よ」

「ふざけんじゃ…!」

反論しようとする口は横に引き裂け、次に胴も二つに分解、右手に持っていた剣陣も三分割でバラバラになった


「遅いじゃないですか」

セルフィはそう言って後ろに居る杖を持った老人に言う


「いやぁ、すいませんね…歳を取るとどうも足が言うことを聞いてくれなくてね…」


剣帝ディグス、彼が昔呼ばれていた名

剣陣がまだこの世に存在して居なかった時の序列1位

剣陣を持ってない現在でも序列5位の座に居続ける実力者



「私も疲れたので一緒に歩きませんか?」

「そうして貰えるとありがたいですの…剣陣を破壊したのでこのヤンチャ坊主もしばらくは再生出来ないでしょう、フェイス系統の剣陣の特徴として剣陣を破壊してもしばらくは剣陣の効果が残り続けますからの…こやつの能力の性質上、実質とどめを刺すのは不可能でしょうな」

「フェイス系統の剣陣はこれだから厄介ですね…」

「この坊主が起きる前に早く行きましょうかの…」

「そうですね…」


ディグスとセルフィは、ななゑ達三人の後を追いかけた



ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


授業終了のチャイムの音が鳴り響く時

「………オ前デ良イ」

深くフードを被った男は箱に入った子犬を見つけ、謎の液体の入った試験管の蓋を外し、箱の中に注ぎ込む


「きゃん!?」

「シッカリ働イテ貰ウゾ…」






ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》



「一体何があったのよ…」

嵐が吹き荒れたように研究所の中はボロボロになっていた

「こいつはひでぇな…よく見たら研究員だけじゃなくて魔導騎士の連中もやられてる…」

フォレストンではギルドや軍ではなく魔導騎士団が国を統括している、その魔導騎士団が倒れているということは…

「凄い厄介事に巻き込まれちゃったわね…」

ななゑは唇を噛み締め、内心舌打ちをする


「そこの三人組!動くな!」

通ってきた通路から腰に剣、背中に杖を装備している魔導騎士団の人達が近づいてくる

「お前らはどこのどいつ…ん?いや失礼しました!あなた方はテレスクレアのギルドの方々ですね?」

話しかけてきた隊長っぽい魔導騎士が敬礼をすると後ろの魔導騎士達も同様に敬礼をした

「良かった、疑われると思ったわ…で、何があったの?」

ななゑが前に居る隊長っぽい魔導騎士に問う

「簡潔に説明すると、管理下に置いていた魔物が暴走したとのことです。その魔物の捕獲又は討伐が今の我々の任務です」

「原因は不明なの?」

「第三者が関連しているかもしれないのですが今の所は不明です。今は魔物の処理が優先とのことで…」

「そりゃそうよね…それでどんな魔物なの?」

「それは…」「危ないっ…!!」

ルプスが叫び魔導騎士の隊長を押し倒す

危険を察知したななゑとタキリも伏せる


その瞬間、魔導騎士の隊員が何かに引き裂かれ、一瞬で床は血の池になった


「気をつけて…!まだ近くに居る…!」

ルプスがそう言い刀を構える

「そんなこと言ったってどこにも居ないじゃない!?」

ななゑは周囲を見渡すがどこにも魔物らしきものは見えない

「気をつけてください!この魔物は姿を自在に消す事が出来るんです!」

隊長がそう皆に言う

「だからルプスには分かったのか…」

先ほどの《火の鳥》を使う召喚者と同様にルプスもフェイス系統の剣陣召喚士である。

ルプスの剣陣《餓狼》は簡単に言ってしまえば召喚者ひ狼のような力を与えるというもの、五感が通常の人間よりも遥かに上回り異常な身体能力も得る事が出来る、そのかわり…


「お腹空いた…」

凄くお腹が減る


「我慢よルプス!これが終わったら美味しいご飯食べさせてあげるから!」

「うん…」

ルプスは今、耳で魔物の位置を知る事が出来る。この分だと多分タキリは役に立たないしルプスに頑張って欲しいわね…

私の剣陣でも良いのだけど、この通路だとちょっと狭いし皆に被害が出るかもしれない…使うなら最終手段ね…


「三人共下がってて…」

「俺も手伝うぞルプス!」

「あんたが行っても意味ないでしょうが!」

助太刀に入ろうとする脳筋…いやタキリを止める

「ちぇっ…」

「今ツマンネとか思ったでしょ?」

「思ってない!思ってないぞ!!?」

「静かにして…」


ルプスがそう言い場が一気に静まり返る



(捕獲は難しい…だったら…)

ルプスは刀の形状の剣陣を鞘に収め耳に音の収集を身に任せる


ゆっくり身をかがめて


次第に居合の構えに












「」


キィンッ!!



静寂を断ち切る音が鳴り響いた後、異形の生物が姿を現わす

カマキリに似たその生物は直立不動


ゴトッ…!


命令を下す機能を持つ魔物の頭部は地面に落ち、それに続くように身体が崩れ落ちる



「そこは私の間合いだから…」

地面に倒れ伏す魔物にそう言いルプスは、ななゑの元に戻った


「さ、流石ギルド序列3位ですね…!」

「そんなことはどうでも良いから早く隊員の人達に手当てをして…、後私にご飯ください…」

「わ、わかりました!」

魔導騎士の隊長は自分のポーチからプレートの様な物を取り出す

「こちら第二部隊!司令部応答願う!」

『こちら司令部』

「テレスクレアギルドの協力の元、魔物を討伐、負傷者多数、増援を頼む!」

『了解しました。現在のそちらの術式板の位置をマーク、増援を送ります』

隊長はプレートをしまおうとする

「今のは何?」

ななゑは気になり隊長に問う

「これは術式板です、司令部との通信で主に使ってます。最近フォレストンで普及し始めた通信手段です」

「それウチの国でも使える?」

「使用者にもよりますが基本使えると思います」

「よし!それをウチの国でも普及させよう!」

「ななゑ、そういうのは軍を通して議会にかけないと…」

「それ面倒くさいわよ、とりあえず後でいくつか買って帰りましょ」





「帰られるのは困るな…」

殺気


それぞれが反射による回避行動を取る



ズバァッ!

「ガハッ…!?」


壁を突き破って出て来た剣に反応出来ず隊長の横腹に剣が突き刺さる


「蛇足を狩れ…剣陣《蛇剣》」


奥の部屋から現れたのは剣陣火の鳥使いと同様の黒いフードを被った男だった




ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


「次は実技ですね」

「そうッスよお嬢」

わたし達は準備をしてグラウンドに向かう

「で、結局君の剣陣は何の種類なんだ?」

テイルに授業中に聞かれた質問を問われる

「うーん…ゴメンよくわかなかった」

「寝てたのか」

「違うよ!?ずっと先生の話を聞いてたんだけど良くわからなかったの…」


召喚者の身体能力を向上させる【パワオン】

剣の質や形状に変化を起こす【ステタス】

動物や幻獣を召還者に憑依させる【フェイス】

火や水、風などの森羅万象を操作出来る【クリエイター】

時間など特殊な事象を操ると【エフェクト】

謎の多い剣陣【シクレット】


どれも当てはまらない気が…


「そもそも君が剣陣の力をまともに使ってる姿を見たこと無いのだが?」

「そ、それもそうだね…」

「まさか使い方がわからないって事は無いよな?」

「そのまさかです」

「君はバカか?だったら普通の剣振ってる方がマシだろう」

「バカって言わないでください!使い方わからないんだからしょうがないじゃないですか!」

「じゃあ今日の実技でいろいろ試してみると良い、コツはそれぞれが掴むものだから教える事は出来ないが相手ぐらいならしてやる」

「え!本当ですか!?」

「嘘を吐く理由が無いだろ」

「ありがとうございます!あっ!後気になったんですけど、テイル君は火を操るクリエイターですよね?でもなんで剣の形がレイピアなんですか?それだとステタスですよね?」

「授業であっただろ?混合種だ、俺はクリエイターとステタスの混合種なんだよ」

「えぇ!?じゃあ珍しいじゃないですか!」

「もっと珍しいのならそこにも居るぞ」

テイル君はそう言ってラギ君を指差す

「人を指差すでない…」

ラギは不服そうに呟く

「3種類の系統が混ざった混合種なんだから指さされてもおかしくは無いだろ」

「3種類!!?」

「偶然だ…先生達は珍しい剣陣だと褒めてくれるが、そんなに良いものではない…」

「そうなの?でも見てみたいなー!」

「だったら次の授業で…」



ドォォォン!!

「グワァァァァァア!!」


何かが落下した音が鳴り響く

同時に聞こえるのは獣の咆哮


「今のはグラウンドからか…!?」

私達は走りグラウンドに向かう


「ガァァァ!」

グラウンドに居たのは体長3m近く有る巨大な犬


「はぁっ!?なんだよこの動物!?おいメガネ説明しろ!」

「ぼ、僕が知るわけ無いだろ!?」

「と、とりあえず逃げた方が良いですぞ…!?」

「言われずとも…!」

そう言って皆が同時に走ろうとしていた時

シェルンは巨大な犬が既に外に居た別の生徒に襲おうとしているのを見つける

「危ないっ…!」

近くに落ちて居た石を投げつけ注意を反らす

「ガァァァ!!」

巨大な犬は目標を変えシェルンに敵意を向ける

「グワァァ!!」

巨大な犬はシェルンに飛び掛かろうとする

「ひっ…!?」


「全てを灰にしろ!剣陣 《イフリート》!」

乱雑に放たれた炎は巨大な犬とシェルンの間を通過し2人の接触を妨げる


「君はバカか!!?早く逃げろ!」

シェルンの前に躍り出たテイルは持っている剣陣イフリートでフェンシングの構えを取る

「テイル君置いては行けないよ!」

「君がそういう状況にしたんだろ!?いいから逃げろ!」

「い、嫌です!

契りを交わせ!剣陣《契り剣》!」

シェルンは召喚された剣陣を掴み目の前の敵に相対する

「それでこそお嬢だぜ!

鉄の意志よ集え!剣陣 《鉄塊》!」

グランも続いて剣陣を召喚する

「本当に君達はバカだな!?おいラギ!お前はギルドに連絡しに行ってくれ!フラムは先生を…!」

「テイル忘れたのですか!この学校で剣陣を持っているのはタキリ先生とセルフィ校長だけなのですぞ!?」

「ちっ…!そうだとしても先生に報告をしてくれ!戦力は多いに越したことはない!」

「わ、わかりましたぞ!」

そう言いラギとフラムはそれぞれの役目を果たすべく走り出す


「ここで時間を稼ぐ!シェルンとグランは僕の詠唱の援護をしてくれ!」

「わかった!」

「しゃあねぇな!」

私とグラン君は同時に突撃


「ワォォォォン!!」

突撃を確認した巨大な犬は遠吠えをする

「何吠えてんだ犬っころ!…ん?」

「……?」

足元に感じたかすかな違和感


私はホーロットさんに『違和感を感じたら直ぐその場を離れろ』と言われたのを思い出し、その場を離れるように後ろにジャンプ


ジャンプと同時に地面に現れたのは岩の塊

「なっ!?ぐはっ…!!」

隣で走っていたグラン君は回避が遅れ直撃

「大丈夫グラン君!?」

「大丈夫…頑丈が取り柄だからな…だが今のは…」

後ろで見ていたテイルは驚きを隠せない


「馬鹿な…!?魔法だと…!?」



ーーーーーーーーーーーー

《ギルド本部に移動中》


ラギは走っていた、距離はそう遠くない

自分の足が有れば十分だと思っていた



目の前にフードを深く被った少女と出会うまでは



「何者だ…?今俺は急いでいる、邪魔しないでもらいたい」

「あなたを邪魔しに来たのだからそれは無理なお願いだよ」

「遊んでる場合じゃないんだ、そこを退け」

「騙し偽り欺け剣陣 《トリックスター》」

少女は剣陣を取り出す


「召喚士…!?お前がこの事件の犯人か…?」

「教えな〜い」

「そうか…どちらにしろ邪魔をするのなら押し通すまで…!


その身は脱兎の如く…舞え《兎神》ッ!」


ラギの頭部からは垂れた兎の耳が生える

が…それだけだった


「あっれぇ?お兄さん剣陣は?」

「教えるつもりは無い」

そう言い終わる頃にはラギはフードを被った少女に近づき剣陣を蹴り飛ばそうとしていた


「偽れトリックスター」

瞬時に少女の分身が現れ標的を撹乱される

「ちぃっ!?」

ラギが放った蹴りは1人の偽物をかき消せただけで終わる

あれはエフェクト系統の剣陣か…


エフェクト系統の剣陣は珍しくまた、変わった能力が多い

あのトリックスターとかいう剣陣は恐らく相手を撹乱する系の剣陣だろう…

うちのクラスでは確かフラムもエフェクト系統の剣陣だった


「まさか体術だけで戦うつもりなのお兄さん?」

「俺の剣はとっくに出している…」

ラギの手元には何も持っていない

「お兄さん、嘘つくならもうちょっとマシな嘘を…」

直後、刃物が少女の頬を掠める

「っ!?」

後ろに下がりながら掠めた物を確認するのは結構容易だった

「なるほど…どうりでわからなかったわけだ…お兄さんの剣陣は手刀なんだね?」


「ご明察…!」



ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》


「隊長さん…!」

ルプスは斬られた隊長に近づき怪我の程度を確認する

「大丈夫…そこまで深くない…」

「あんた何者よ!」

ななゑがフードの男に向かって問う

「俺達は【レジスタンス】…」

「レジスタンス…?」

てっきりギークダイムの国の連中が何かしら仕掛けに来たと思っていたが、どうやら違うらしい

「目的は何かしら?」

「目的は言わない…と考えていたがあえて言ってやる…」

「どうぞ」


「俺の戦友アルド・ゲートの指名手配の撤廃並びに無実の確立だ…」


アルド・ゲート

誰もが耳にする大罪人


5年前女王を殺害し行方をくらました人物


そして恐らく一番最初に剣陣を使いこなした人間


「お断りよ」

当然だ、そんな要求飲めるわけが無い


「だろうな…」

「なんでテメェはあの大罪人庇おうとしてんだよ!!」

タキリがフードの男に向かって叫ぶ

「どうしたのタキリ?らしくないわよ?」

「あの大罪人のせいでホーロットは…!」

そういえばそんなこともあったわね…


私は思考を切り替え、目の前のフード野郎に問いかける


「でも何故此処フォレストンを狙ったの?」

「お前達だけだからな、都合が良かった」

「それだけじゃないはずよ」

「察しの良いガキだな」

「ガキって言うな!」

「当然取引だ、さっきの目的のな」

そう言いフードの男はよくわからない機械のような物を取り出し、壁に映像を映し出す


そこには剣術学校で暴れている巨大な犬が居た


「なっ!?」

タキリが驚いているのを気にもとめず

フードの男は続ける

「このまま学校が魔物によって壊されるのを傍観するか、それともさっきの条件を飲むか…どちらかだ」



ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


地面から突き出る岩を何度も避け態勢を立て直す


「炎よ!理に反し歯向かう物を射れ!ファイヤアロー!」

テイル君が詠唱した魔法により火の矢が対象に向かうが

「グガァァ!」

地面から現れた土壁により遮られる


「どうすんだよあれ!?」

グランがテイルにそう言う

「僕達だけで倒すのは無理だ!時間を稼ぐんだ!」

「それに賛成です!…ん?」

テイル君の提案に賛成したところである事に気づく

あの巨大な犬…左目に怪我してる…

よく見ると毛の色とかあの子にそっくり…


「テグ……?」

「あぁ?どうしたお嬢?」

「ねぇ、あれテグに似てない…?」

「言われてみりゃあ…だけどテグはあんなに大きく無いぞお嬢?」

「いやそうなんだけど…」

「突然変異とでも言いたいのか君は」

テイルが先程の話しが聞こえたらしくシェルンに言う

「で、でも似過ぎじゃない…?」

左目の傷の入り方とかそのままテグと同じだった

「そんなわけ…」

テイルが否定しようとするがその否定は、少し離れた所に落ちていた物により掻き消される

「あれは…毛布?」

テグの為に敷いてあった毛布が何故かそこに落ちていた

それにグランとシェルンも気づく

「嘘だろ…」

「グラン君前!」

テグと思わしき巨大な犬はグランに向け爪を振り下ろす

「あっぶね!?」

剣陣、鉄塊を盾にするが、力負けし後方に吹き飛ぶ


「グラン君!?」

「大丈夫だお嬢…まだ立てる…」

グランにシェルンが駆け寄る

「どうすれば…」

「馬鹿!逃げろ!」

テイル君の叫び声が耳に響く

後ろを振り向くとそこには巨大な口、大きな牙が私を襲おうと迫っていた











「油断するなって」

ズゴォッ!


横から現れた人間によりテグは蹴り飛ばされる


「久しぶりだなシェルン」

目の前に立って居たのは私に剣を教えてくれた人物だった


「ホ、ホーロットさん!?」

「いやぁ、偶然歩いてたらでっかい犬が暴れててビックリした」

突然の登場でこっちが驚いているのですが…

「で、あれなんだ?」

「多分私達が世話をしていた犬です…」

「え?あんなデカイ犬飼ってたのかお前ら…?」

「違いますよ!?昼ご飯食べてた時はもっとちいさかったんです!」

「ほんとかよ…もしそうだとしたら突然変異だぞ…?」

確かに…だけどなんとかしないと…!


「ガァァァァァ!!」

テグは態勢を立て直すとホーロットさん目掛けて突進

「斬るぞ?」

「ま、待ってくださいホーロットさん!」

「ん?」

ホーロットは振り下ろされた爪を剣で受け止める

「先に言っとくがこいつを元に戻すとか言うなよ?」

「な、なんで…!?」

「どうやって戻すってんだ?それにずっとこの姿のままだとこの犬も辛いだろう、ならせめて…」

「『殺すのが救いだ』とか言うつもりですか!!?」

「…………」

「そんなの間違ってる!絶対に違う!死が救いなわけがない!その子は私が助けます!」

「出来るのか?お前に」

「出来る出来ないじゃない!やるんです!」

「そうか…なら少し横で見学してる」

ホーロットはテグを払い飛ばし距離を取る


「お嬢…大丈夫なんッスか?」

グランが心配そうに私の顔を見る

「勝算はあるんだろうな?」

後ろに居たテイル君が近づいてくる


「絶対に助けます…」

「感情論ではどうにもならないぞ?」

「わかってます…二人は下がっててください…私がなんとかします」

「お嬢…!」

二人に肩を掴まれそうになるがそれを振り払い私は前に進む


無謀だって事はわかってる…


死ぬかもしれない…


だけど…!


かつて私を助けて剣陣を教えてくれたあの人のように…!

強く生きたいと…そう私は誓った!


だからお願い…

「力を貸して…契り剣…!」

持っていた自分の剣陣に念じるように言う




直後、周りの時間がゆっくり動いているような感覚に囚われる




『呼んだか…?』

(え!?)

頭の中に声が響く

『呼んだのはお前か?』

(は、はい…)

『サモナーよ…力を欲するのなら契約するのだ…』

(け、契約…?)


『我が名はソロモン、我が司るは悪魔の契約…さぁ、唱えるのだ…』


私は頭に直接響く声を復唱するように唱える




「ソロモン72柱……従えラウム…!」



私の目の前に現れたのは一羽のカラスだった


ーーーーーーーーーーーー

《ギルド本部道中》


「ちっ…」

ラギは目の前のフードの少女を睨む

「兎さんは私みたいなタイプ嫌いでしょ?」

「あぁ、嫌いだ…」

「そっかー!良かった!それなら邪魔もしやすいよ!」

「………」

「やっちゃえトリックスター」

フードの少女の分身が無数に現れ、ラギに襲いかかる


「勘違いしているみたいだからおしえてやる…」

ラギは振り向き


パシッ…!


背後から攻撃をしようとした少女の剣陣を白刃取りの容量で挟む


「え?」

「その小細工は効かん…嫌いだからこそな…」


白刃取りで挟んだ手をずらし


バギィッ!!


ラギは剣陣を二つに折った


「そ、んな…」

「悪いな…」

倒れた少女にそう言いラギはギルドに向かって走る


「間に合え…!」



ーーーーーーーーーーーー

《剣術学校》


「え、えっと…」

「俺を呼んだのはお前か?」

カラスが私に向かって話し出す

「カラスが喋った!!?」

「悪魔なんだから喋るに決まってんだろ!」

「あ、悪魔?」

「なんだソロモンから何も聞いて無いのか?」

そういえば悪魔の契約がうんたらかんたらって言ってた気が…


「おっと、気をつけな犬っころが右前足の爪を使って攻撃してくるぜ?」

咄嗟にテグの方を見る

テグはこちらに向かって来たと同時に

右前足の爪を使い攻撃してくる

まるで予知していたかの如くカラスが言っていたことと一致した


「うわっ!」

横に飛び、攻撃を避けたと同時にテグと距離を取る


「カラスさん未来予知出来るの!?」

「カラスさんじゃねぇ!俺の名はラウムだ!つーかお前がそう呼んだんだろ!それに未来予知なんざ他の悪魔でも出来る奴は出来るつーの!」

テグが追ってくるのを逃げながらラウムに問う

「じゃ、じゃあ他にどんな事出来ますか!?」

「お前、分かってて俺を呼んだんじゃないのかよ!?」

「ソロモンさんの言う通り言ったらあなただったんですからしょうがないじゃないですか!」

「ったくしょうがねぇな…俺の出来るのは盗み、都市破壊、尊厳剥奪、過去現在未来の情報提供…」

流石悪魔、すごく悪魔っぽい能力だ…

「もっと他に…」

「あぁ、そういえば和解も出来ねぇことはないな」

「和解!?それです!それをテグに…!」

「タダでやるわけねぇだろ」

「はい…?」

「さっきの未来の情報提供は俺が勝手にやったことだからサービスだが、普通に俺を使うんなら代償よこしな」

「そんなもの持ってるわけないじゃないですか!それに何を渡せば良いんですか!?」

「眼でも脚でも腕でもなんでも良いんだが…まぁセオリー通りいくなら魔力寄越しな」

なんか不吉な物を要求された気がするが今は聞きたい事を聞こう…

「魔力…?」

「もちろん、お前の元々の魔力だ」

確か前にフラムが説明してくれた事があった気が…

確か人って魔法を使うには魔力が少な過ぎるって言ってたような…

「大丈夫なんですか…?」

「安心しろや、和解なんて簡単な仕事そんなに魔力取りやしねぇよ精々全体魔力の5分の1程度だ」

それって結構持ってかれるような気が…

でもそんなこと言ってられない!


「ラウムさん!お願いします!」

「契約の履行を確認…!行くぜ!」

突如ラウムさんに淡い青色の光が纏うと同時に自分の中の何かが吸い取られる感覚に囚われる、一瞬目眩がするが直ぐに収まる



[殺して…]

「え!?」

「落ち着きな嬢ちゃん、俺が今この犬っころが考えてることを直接嬢ちゃんに送ってるだけだ」


[傷つけたくない…身体が言うことを聞かない…]

「テグ…」

「これじゃあ和解どころじゃねぇな」

「なんとか出来ないんですか!?」

「あくまでも俺がやってるのは和解だ、身体が言うことを聞かないってのは専門外だ」

「そんな…!?」


テグは何かを抑えるかのように暴れ始める

[シェルンさん…]

「テグ!大丈夫!?」

[お願いです…僕を…]

「絶対に殺しませんからね!生きて帰るんです!だから絶対に諦めないで!」

[優しいんだね…でもごめなさい…]

「え?」

ワオォォォォン!!


魔法を唱える時の咆哮



私は回避行動を取ろうとした、だけど目標は私じゃなくて…





ズシャァァ!!


岩の槍が貫いたのはテグの身体だった



[短かったけど…今まで…ありが…と…]



「………………………そん…な……」




ーーーーーーーーーーーー

《魔法国家フォレストン》



「ちっ…!」

学校で起こった事に対しフードの男は舌打ちをする

「残念だったわねぇ!交渉は白紙よ!」

「ななゑ…なんか凄く悪役っぽい…」

「いつものことだ気にすんなよルプス」

「タキリ、今回の報告書はあんたが書きなさい」

「ゴメンって!?」

「さて茶番はこれぐらいにしてと…どうすんのあんた?」

ななゑはフードの男に問う

「交渉が出来ないのであれば帰らせてもらう」

「逃すとでも思ってんの?あんたはギルドで身柄を拘束させてもらうわ」

「断る」

そう言いフードの男は煙り玉を地面に投げつけ、煙りを充満させる


「なんつー原始的な!?そんなので逃すかよ!」

「タキリ!気をつけなさい!」

煙りの中からななゑの声が響く

「何に気をつければ…」

言っている最中に敵の攻撃がタキリを襲う


キィンッ!

横からの刺突に対してタキリは払うように元から持っていた剣で弾く

「あぶねぇ!?」


キィンッ!キィンッ!

周囲からも剣を弾く音が聞こえる


次第に煙りが晴れるとそこにフードの男は居なかった


「ちくしょう!逃げられた!」

「相当剣陣を使い慣れしてるわね…」

「どうするななゑ…?」

「とりあえず、今こっちに来てるフォレストンの援軍を待ちましょう」



ーーーーーーーーーーーー

《ギルドに繋がる道》


「負ケタノカ?メスト…」

片言で喋るフードを被った大男は少女に問う

気絶している為少女が返事を返すことはない


「仕方ノナイ奴ダ…」


大男は少女を担ぎその場を去った






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#5《クラスマッチ》


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