奪う者と取り返す者
《ギルド本部 会議室》
「状況を教えなさい」
ななゑはギルドの下っ端にそう言う
「現在テレスクレアは正面城門を失い、街は魔物達によって壊滅的打撃を受けました」
「今の兵力は?」
「元々の30%以下まで落ちています…」
「そっか…私以外のガーディアンの状態は?」
「セルフィ様は未だ剣陣の修復期間の為眠っておられます。ルプス様は現在フォレストンで療養中。タキリ様は先程目を覚ましたとの事です。ティグス様は………」
「わかった、ありがとう…下がりなさい」
ななゑは下っ端にそう言う
あの事件から1週間が経っていた
「なんて有様よ…師匠が聞いたら怒るだろうなぁ……というか私と当たる敵強過ぎじゃない?」
愚痴を零しながらななゑは周囲を見る
「この部屋こんなに静かだったけ…?」
いつもは私とタキリがバカやってそれを止めようとするティグス、傍観するルプス、実力行使で止めようとするセルフィ…
だけど止めようしてくれるティグスはもう居ない
「もっと強くならないと…」
この場所をもう傷つけさせはしない
「最強って思ってた罰かな…」
ななゑはお気に入りのキャスケット帽といつも羽織っているコートを脱ぎ、動きやすい格好になる
そのまま部屋を出て訓練場である広場に足を運んだ。あの事件の後のせいでここを利用している人は誰も居なかった
『あんたが第一級特異点の剣陣使いだったとしても、私はあんたには絶対に負けない自信がある。なんでそんなに自信があるのかって?それはあんた達が剣陣の本質を知らないからよ』
ななゑは前に姫らしき人物に言われた事が引っかかった
「剣陣の本質…か……」
強い剣を召喚してその力を振るう
それが剣陣の本質では無いのか?
「っていうか第一級特異点ってなんなのよ…」
わからない事が多過ぎる…
「とりあえず剣陣の本質を知る為にはそのルーツを辿る必要がありそうね…まぁ簡単には行かないでしょうけど…」
ななゑは近くに多く立てかけてある木刀を取り軽く素振りを始める
「剣陣が現れたのは姫暗殺があった5年前…丁度師匠が消息を絶ってからちょっとした後に使える人間が増えた……だけどアルドは剣陣を使って姫を暗殺…というか転生?まぁそんなのはどうでも良いわ、問題はアルドが剣陣をそれより前から使えたという事実…」
ななゑは考察しながら木刀で素振りを続ける
「何をゴチャゴチャ言ってるの?」
ななゑの後ろから話しかけてきたのはアスハだった
「怪我はもう良いの?」
「斬り傷なんて1週間もあれば治るわ、そう言うあなたは大丈夫なの?」
「私はティグスが居たから…」
「そう……それでさっきのは?」
「剣陣のルーツを考えてたのよ」
「ふーん…私には関係無い話ね」
「…………そういえば気になったんだけど…」
「何?」
「なんでアスハや師匠、ティグスは剣陣持ってないんだろう?」
「知らないわよ…運じゃないの?」
「そうかな…?」
「それ以外に何か有るの?」
「私も最初は運だと思ってただけど以前話した出来事を結びつけると本当に運なのかなって思うのよね」
「あぁ、姫が剣陣持ってたって話ね?まさかシェルンって子が姫だとは思わなかったけど…それで何で運じゃないって思うの?」
「剣陣の力を持っている人と持ってない人には共通点が有るの」
「……そんなのあるかしら?」
「有る」
ななゑはそう断言する
「それは剣を扱う潜在能力よ」
「潜在能力?剣の扱いが上手いとかそういうこと?」
「まぁだいたいそんな感じ、剣を扱う適正が高い人は剣陣が無く、逆に適正が無い人間が剣陣を使える」
「なんか変な話ね、だって普通なら強い人が強い力を得るものじゃない?」
「普通ならね…でも実際に召喚士になる前の人達はあまり良い結果を得た実績が無いわ」
「タキリは昔からそこそこ強かったわよ?」
「そのかわり剣陣もあまり評価の高くないパワオン系統」
「…あぁ…なるほど、そういうことね」
アスハは納得したように腕を組む
「捕捉で説明をせてもらうと剣陣はその人にあった力で与えられるということ」
「なるほどね、確かにあなたの理論は頷けるけど…なぜアルドは持っているの?あいつの強さはホーロット並みよ?それに姫だって強いのにあんなに強い剣陣を持ってるの?」
「…………それはわからない…でも憶測の域での話なら出来る」
「聞かせてもらうわ」
「アルドの問題は……あなたの弟ルインの存在で解決出来るのかもしれない」
「ルイン……」
「アスハの耳にももう届いてるでしょ?フォレストンで起きた事件について」
アスハ一瞬目をそらすがすぐにななゑの目を見る
「あの子が決めた事よ…気にせず話して」
「アルドや姫は剣を使いこなしているのに剣陣を使える。あなたの弟は剣の腕は良かったけど剣陣は持って居なかった…だけどフォレストンで起きた事件であなたの弟は剣陣を使えるようになった。5年前に剣陣召喚士が大量に増えたけどそれ以降に剣陣を新たに使えるようになった人物は居ない…あなたの弟が後天的に剣陣が使えるようになった初めての例」
「でもなんで…?」
「問題はそこよ、ここから完全に予測の範囲で話すわ」
ななゑはそう言いその場に座る
「剣陣は自然に手に入るんじゃなくて誰かから与えられて手に入る力なんじゃないかしら?」
ななゑは木刀で地面に図を書く
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《レジスタンス アジト》
そのアジトは山の中に隠されていた
「意外とテレスクレアに近い山にアジトが有るんだね」
アルドはそう言い木に似せたアジトに入る
中に入るとそこにはアルドにとって見慣れた連中が居た
「ジャックにメスト久しぶり、マルクスとアロイは?」
「アルドさん!?どうしてここが!?」
「勘かな」
「相変わらずですね…!?」
ジャックが呆れた顔で言う
「アルドさん…おかえりなさい…マルクスとアロイは多分敵に捕まっちゃった…」
「そっか、ていうか何でテレスクレアとドンパチやってるの?そもそもレジスタンスって何よ?僕無しで楽しそうな事しちゃってさ…」
アルドは口を尖らせながら言う
「いやアルドさんを助ける為にレジスタンスが出来たんですよ?」
「あ、そうなの?」
「テレスクレアが大量に指名手配の貼り紙、超高額な賞金首とかやってるからアルドさん帰れなくなっちゃったのかと…5年前アルドさんが起こしたあの事件後コトハと一緒に居なくなって超心配したんですよ俺達?」
「ごめんごめん、ところでコトハとルインは?」
「コトハは屋上でずっとテレスクレアの方向を見てるよ…ルインはそれの付き添い」
メストはそう言いハーブティーの準備を始める
「だよねー…」
「アルドさん何か知ってるんですか?」
「コトハの目的の人物がテレスクレアに居るんだよね、僕とコトハがずっと旅してたのはそれが理由」
「何で言ってくれなかったんですか!?」
「まぁ事情が事情だしね…説明して欲しい?」
「そりゃあ…」
「出来れば教えて欲しい…」
ジャックとメストはそう頷く
「まぁ、本人の口からお願いしようかな」
アルドは丁度降りてきたコトハに言った
「どうしたの…?」
「例の件を話してもらっても良いかな?」
「あまり気は進まないよ…」
「だけど君の友達を取り返すには必要な事だと思うよ?協力者が必要なのは事実だし」
「……わかった…でもその前にこんな昔話知ってる…?」
コトハは近くの椅子に座り語り始める
「昔々あるところに神様が居ました
神様は人々に力を与えました
神様はみんなに愛されてました
人々は神様の力を讃えたと同時に
恐れました、怖かったのです、神様の圧倒的な力に人々は恐怖していたのです
人々は与えられた力で神様を殺そうとしました
神様は怒りました。そして悲しみました
神様は敵対する全ての人間を返り討ちにし、力を奪いました……そして長い長い眠りについたのです……………お終い」
「なんか悲しい話ですね」
メストはそう言った
「でも聞いた事ねぇな」
「俺も初めて聞いた」
ジャックとルインは口を揃えてそう言う
「これは剣陣のルーツに関する話……5年前よりも昔の時代…剣陣が当たり前にあった時の話だよ…」
「「「!?」」」
アルド以外の全員が驚愕する
「剣陣ってのは昔からあったのか!?」
ジャックはコトハに問う
「うん…でも昔の剣陣は滅びた…いや滅ぼしたが正しいかな…」
「滅ぼした…?」
「単刀直入に言うとさっきの物語に出ていた神様は…私のこと」
「じょ、冗談だろ?」
「嘘じゃない…ルインに剣陣を渡したのが何よりの証拠…」
「なるほど…だから剣陣が使えるようになったのか…」
ルインは納得したように自分の掌を見た
「私は剣陣を与える神の一人…剣ノ神コトハ…ずっと隠しててゴメンね…」
少しの間軽い沈黙が続いた
「いや、謝る事じゃないって!そんな大事な事普通言えないし!」
「あなたは嘘つくような人じゃないのは良く知ってる…」
ジャックとメストはそう答えた
「ひとつ聞きたい」
ルインが口を開く
「何…?」
「テレスクレアに剣陣の力を与えたのはコトハなのか?」
「違うよ…あれは私じゃない…」
「じゃあ誰なんだ?」
「その人を私は今探している…そしてその人はテレスクレアに居る……
名前はシケット…私と同じ剣ノ神の一人だよ……」
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《ギルド本部 訓練場》
「剣陣は与えられる物、か…確かにそれなら理屈は通るわね…」
アスハは腕組みをしながら考える
「アルドも姫も剣の才能が有ったとしても誰かから与えられた物なら問題無く使える」
「でも誰かから与えられたって誰からよ?」
「それが分かれば苦労しないわよ、神様とかが渡すんじゃないの?私はいつの間にか使えたけど」
「それにまだ問題有るわよ?何でテレスクレアだけに剣陣召喚士が居るのかっていう問題が」
「そりゃあ他の国は剣をあまり使わないからでしょ?それにあまり知られてないけどフォレストンにも一応剣陣召喚士は居るのよ?凄い少ないけど」
「あら?そうなの?」
「ギークダイムは剣自体を嫌ってるから才能が有る人が居ても知らないまま生活してるって事も考えられるわ」
「なるほどねぇ……」
「そう言えばレジスタンスの二人を確保したんだっけ?」
「あー、あの二人ね…一人は剣陣を破壊されて意識が戻らず、もう一人はいくら尋問しても口を全く開かない…正直困ってるわ…」
「あいつらなら何か知ってるのかもね…」
「まぁ確かにね…」
しばらく流れる沈黙
「ところでさ」
話しを再開したのはアスハだった
「何?」
「いや…あなたが使ってる剣陣って強いじゃない?って事はさ…」
「アスハの想像通りだよ、昔の私は剣の適正は限りなくゼロに近いものだったわ…要は才能が無かったの」
「信じられないわね…」
「アスハは私がホーロットの弟子って知ってたっけ?」
「一応は知ってたよ、だけどどれだけの腕前かは知らなかった」
「私剣陣無いとかなり弱いよ、いつも剣陣頼みだし……私自身が強かったら負けなかったのかな…」
「もしもあなた自身が強かったらその剣陣が無いんだし…しょうがないんじゃない?」
「なら今からでも修行を…!」
「そういうことなら相手になるわよ?もちろんあなたは剣陣無しで」
「いきなりレベル高っ!?」
こうしてななゑはアスハと共に訓練を続けた
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《テレスクレア中央病院》
「体調はもう大丈夫か…?」
ホーロットはベッドに横になっているシケットに話しかける
「体調はバッチリですニャ」
「そうか……」
ホーロットは近くにある椅子に座る
「どうかしたかニャ?どことなく元気が無い気がしますニャ」
「気のせいだ…」
「嘘ですニャー、私が何年あなたと一緒に居ると思ってるのですかニャ?」
「お前はいつも察しが良いな…」
ホーロットは病室の窓から外の風景を眺める
「負けた……アルド・ゲートに…」
「……………」
「負けたくなかった…」
「……………」
「今までの俺の戦いは何だったんだろうな…」
「……………」
「俺が負けてテレスクレアに戻った後色々聞かされたよ…姫は本当は生きていてアルドがそれを隠したんだと…その姫はシェルンだって言うんだから驚いた…今は姫としてのあいつと今までのあいつで分かれているみたいだが…」
「……………」
「シェルンとしてのあいつは消息不明…姫もまた消息不明……なぁシケット…俺はどうしたら良い…?」
「ホーロットはどうしたいと思ってるのですかニャ…?」
「わかんねぇ…だけどアルドは言ってた…次はシケット…お前を狙うと…」
「私がですかニャ?」
「あぁ…理由はわからないがな……だから俺が時間を稼いでいる内にここから逃げてくれシケット…」
「らしくないですニャ…」
「すまない…正直自信が無いんだ…」
ホーロットは顔を伏せる
「死ぬほど修羅場を潜った…だけどアルドには勝てなかった…しかもアルドは姫を殺してなかった…俺の復讐は終わり何を糧に戦えば良いかわからない……もう一度あいつを前にして俺が勝てる要素が見つからない」
「だかららしくないって言ってるニャッ!!」
珍しくシケットが怒鳴る
「シケット…?」
「自信が無いって?戦う理由が無いって?何も糧が無いって!?そんなもの無くてもホーロットは戦えるよ!!今まで一緒に旅をしていたから言える!ホーロットは自信、理由、糧、そんなものが無くても戦っていた!」
語尾が取れシケットはホーロットに言い捨てる
「買い被り過ぎだ…!俺は…!!」
「なら私を見捨てるのですか!?アルドに奪われても良いんですか!?」
ホーロットの言葉を切りシケットは続けて言った
「………………」
「あなたは…!ホーロットは…!」
涙目になりながらもシケット続ける
「私の英雄なんです!!だから…英雄が諦めないで下さいよぉ…!私を……私を見捨てないで……」
「シケット…」
ホーロットは涙を流すシケットに背を向ける
「俺は…もう英雄じゃない………」
ホーロットにそう言い出口に向かって歩き始める
「そっか…わがまま言ってごめんね…」
シケットは涙を堪え俯く
「これから何の罪も無い男を斬り殺す奴に英雄なんて言葉釣り合わないからな」
「え…?」
「出来るだけやってみるさ…今度はお前の為に戦う」
ホーロットは振り返りシケットの方に歩いていく
「今度こそ守ってみせる…もう復讐の為に戦うのは疲れたしな…」
「ホーロット…!」
シケットの目から涙が溢れる
「と、とりあえず泣き止めって…」
「だってぇ…」
「それに守りきれるって決まったわけじゃない、俺はもっと強くなる必要が有る」
「また特訓…?」
「いや、多分それだと間に合わないな…剣陣が手に入れば手っ取り早いがそれも無理そうだし…だから俺が取る選択肢は……
本格的な防衛戦だ」
ホーロットは選択した
復讐の戦いでは無く
守る為の戦いに
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《レジスタンス アジト》
「シケット奪還作戦は一ヶ月後かな」
「えぇっ!?」
アルドの発言に驚きを隠せないジャック
「結構長いね?」
メストは疑問を口にする
「……………理由有るの?」
コトハが心配そうに問う
「心配しないでよ、ちゃんと理由は有るから」
そう言ってアルドは後ろに有る黒板にチョークで書き込んでいく
「理由一、まず僕の魔力回復が追いつかないってこと」
「アルドさんってそんなに魔力量低かったでしたっけ?」
「いや低くは無いよ?だけど前の戦闘でだいぶ消耗してね」
「ホーロット……」
メストは苦虫を噛んだような顔をする
「彼は強いよ、正直ね二重召喚無しだと結構キツイかも」
「それは人間じゃない気が…」
「いやいや人間だよ、多分執念があの強さを手に入れたキッカケになったんだろうね」
「それにしても執念だけであそこまで強くなれるわけがありません…!」
メストはムキになりつつ問う
「そうだね、あれは執念だけでいける境地じゃない」
あっさりと肯定するアルド
「え?じゃあ何かインチキでも…」
「インチキじゃないよ、あれは紛れもなく彼の実力、だけどその力自体は執念だけで手に入るものじゃないんだよ、そうだよねコトハ?」
「うん……説明するね」
コトハはアルドからチョークを借り黒板に書き込んでいく
コトハが黒板に描いたのは棒人間だった。頭の部分にはアルドと書かれている
「唐突に聞くけどアルドの魔力量インチキレベルで多いと思わない……?」
「開口一番で悪口言われるとは思わなかったよ!?」
「「「思う」」」
「そしてまさかの満場一致!?」
「そりゃ思うよ、アルドさんの魔力量と俺達の魔力量じゃあ天と地の差があるんだぜ?」
「それにもちゃんと理由が有る…今のルインなら分かるんじゃないかな…?」
「昔なら分からなかっただろうけど今なら確かに分かるな……
《コトハから剣陣を貰う》ってのが答えじゃないか?」
ルインは机に頬杖をつきながら答えた
「正解」
コトハはそう言い黒板に更に書き込みながら喋る
「私は魔力を司る剣ノ神…私から加護を受けた人はその身に大量の魔力を授かる…そして練度を重ねる事で二重召喚を使用する事が出来る」
「なるほど…だがそれがホーロットと何の関係あるんだ?」
「これだからジャックは馬鹿なんです…」
ジャックの疑問をメストが馬鹿にする
「じゃあお前分かんのかよ」
「コトハにその力があるという事は同じようにもう一人の剣ノ神、シケットにも同じような芸当が出来るということでしょ…?」
「なるほどー(棒」
「自分が不利になったからってその反応は無いでしょう…」
メストが呆れているところでコトハが話を再開する
「大体メストが言ってくれた事で合ってるよ…シケットは技術を司る剣ノ神…シケットの加護を受けた人は剣の技術を習得する事が出来る………筈なんだけど…」
「何か問題でも有るのか?」
「うん……ジャック、メスト…貴方達が剣陣を使えるようになったのってテレスクレアで私達が居なくなった後の数日後に使えるようになったんだよね…?」
「あぁ」
「うん」
「剣陣を使えるようになってから自身の剣の技術向上した?」
「「……………まったく」」
「つまりちゃんとした加護を受けて無いんだと思う……」
「ちゃんとした加護?」
「普通剣陣は剣ノ神が直接加護を与えないと使えないの……でもジャック達が使えるという事は正規の剣陣付与じゃないってこと…なんでシケットがそんな事をしたのかは分からないけど、会えばわかる筈……」
「なぁ凄く思ったんだけどさ」
ジャックは疑問をコトハに言う
「あいつ…ホーロットって剣陣持って無いよな?何であんなに技量が有るんだ?」
「ジャックにしては良い質問…」
「なんかここにきて俺ネタキャラ化してね?」
「気のせい…まぁとりあえずジャックの言いたい気持ちも分かる。ホーロットって人は剣陣を持たずにシケットの加護を受けているという事はシケット本人が剣陣を与えようとは思ってないけど、その人に好意を持っているって事じゃないかな……」
「なるほど、つまりコトハはルインに好意が有ると」
そう言ったのはアルドだった
「なっ…!?」コトハは急に顔を赤くし
「ん…………?」ルインは疑問を浮かべ
「詳しく……」メストが食いつき
「なんでそうなるんだ?」ジャックは話についていけてなかった
「だってルインの魔力量俺を遥かに超えてるんだぜ?なんでだろーって思ってたが、シケットがホーロットに好意が有って技量を授かってるって話を聞いて納得した。コトハがルインに好意があれば必然的に魔力量は増」
「わー!わー!わーッ!!何デタラメ言ってんですか!そんな訳ないでしょう!剣陣を継承した時はなりふり構ってられなかったから力を多く授けたんです!べ、別に好意が有るから魔力量が多いとかそういう問題じゃなくてですね!違うのですよ!断固としてそういう思いが有って魔力量が多いわけじゃないですから!!」
「分かりやす…」
メストはニヤニヤしながらそう言う
「流石になー」
ジャックもニヤニヤした顔で笑う
「というわけだルイン」
超笑顔でアルドがルインに言う
「なるほど、話をまとめるとあの時は時間が無くなりふり構ってられなかったから多く魔力を継承してくれたんだな」
「「「え?」」」
ルインの出した回答に戸惑うメスト、ジャック、アルド
「違うのかコトハ?」
「あ、いや…あってるよ…?」
コトハは気まずい顔をしながら答える
「鈍感属性だと…!?」
ジャックは机に突っ伏しながら戦慄していた
「ルイン!考え直すんだ!お前の剣陣の名前は!?」
「なんだよアルド藪から棒に…《言刃》がどうしたんだ?」
「ほ、ほら!コトハと名前似てるよね!?」
「あぁ、ほんと奇遇だよな」
「ぐはっ…」
コトハがその場に崩れ落ちる
「大丈夫かコトハ!?」
「や、休めば大丈夫……」
そう言いコトハは隣の部屋のベッドに横になる
「は、話を戻そうか…」
「「うん…」」
アルドとジャック、メストは明らかにテンションが下がっていたがルインには何故かはわからなかった
「とりあえず理由一は魔力回復に時間がかかるということ、理由二は作戦を練る必要が有るということかな」
「作戦?」
「うん、相手も準備して待ってるだろうからね」
「え?何でだよ?シケットを奪還するのを向こうは知らないでしょ?」
「俺が言っちゃった♪テヘペロ♪」
「アルドさんってほんとバカだよな」
「中々に直球な罵倒だねジャック…とりあえず作戦を立てる必要がある、期限は僕の魔力量が回復しきる一ヶ月後まで」
「まぁ、ゆっくり考えましょう…」
メストはそう言ってお茶を飲む
シケット奪還作戦まで残り一ヶ月
ーーーーーーーーーーーー
《フォレストン 病棟》
ギークダイムがテレスクレアを攻めて一週間が経っていた。ななゑが無事と聞いて安心したがまだ油断は出来ない
私は生徒の傷が癒え次第テレスクレアに戻る予定を考えていた
「皆傷は大丈夫?」
医務室に入りながらルプスは言う
「俺は大丈夫です」
テイルは読んでいた本をしまいそう言う
「他の皆は?」
ルプスは本来居るはずのグラン、ラギ、フラムの居場所を聞く
「あのバカ達なら中庭で特訓中ですよ…直すのが先決って何度も言ったんですが全然聞いてくれなくてですね…」
「そう…あまり無理はしないように伝えておいてくれる?」
「わかりました」
そうテイルとやり取りをした後ルプスは部屋を出る
「強くなりたいんだろうな……」
ーーーーーーーーーーーー
《フォレストン 病棟 中庭》
「どりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
グランは自身の剣陣《鉄塊》をラギに向けて縦に振り下ろす
「大振りすぎだバカ」
ラギはグランの振り下ろした鉄塊を簡単に避ける
「ちぃ…!じゃあどうしろってんだよ!」
「縦に振るんじゃなくて横に振れ、そしたら逃げ道が限定される、後もう少し速く振れ…止まって見える……」
「ボロクソ言いやがってぇ…!」
「そこまでなのですぞ」
フラムが二人を止めに入る
「1時間ぶっ通しですぞ?少し休む事をオススメしますぞ」
「うるせぇ!俺はまだやれる!」
「水分補給ぐらいしろ」
「俺は強くならなきゃいけないんだよ!お嬢が行方不明なんだぞ!?お前らは何とも思わねぇのか!?」
「だからこそ落ち着けと言っている…ここで倒れたらまた強くなるのが遅れるぞ?」
「ぐっ……」
「それにシェルンは死んだわけじゃ無いのですぞ?きっとまた会えますぞ」
「じゃあ…なんでお嬢はどっか行っちまったんだよ…どっか行くって事はそれなりの理由が有るって事だろうが!」
「それは…」
「それなりの理由というのは…やはり女王という事だろうな…シェルンは皆に迷惑をかけたく無いからテレスクレアを去ったのでは…?」
「お嬢はお嬢だ!姫なんざ関係ねぇ!」
そう言いグランは中庭から出て行った
「ちょ!?グラン!」
「ほっとけ……どうせあいつ一人では何も出来ぬ」
「でも……」
「勝手に帰ってくるはずだ…」
ーーーーーーーーーーーー
《病棟 廊下》
「ちっ…!」
グランは苛立ちを隠せずに廊下を歩いていた
「どこ行っちまったんだよお嬢……それにルインの奴もどういうつもりなんだよ…!」
「知りたい?」
唐突にグラン背後から声が聞こえ問われる
背後を振り向き話しかけてきたのはマスクにサングラスをかけた小柄な女だった、背は丁度シェルンと同じぐらいで声はワザと低く喋っているようだった
「あ?誰だお前?」
「あなたのお友達の場所を知りたい?」
「…………お前は誰だ?と聞いてんだよ」
「…残念、あなたじゃないみたいね…」
「あ?」
「それじゃ…」
女に突然黒い靄がかかり忽然と姿を消す。
「何だったんだあいつ…?」
グランは気になりつつも昼寝が出来そうな場所を探しに出た
ーーーーーーーーーーーー
《???》
ぐぎゅぅぅぅぅぅ…
「おなか減った…」
私シェルンは空腹で道端に倒れていた
「無計画で外に出るんじゃなかった…」
辺りは森、食べ物は見た感じどこにも無い
「だ、誰かぁ…」
ダメ元で助けを求める
「ん?今人の声がしたような…?」
遠くで小さく聞こえた声に希望を抱く
「だ、誰か助けてください…!」
「んー?こっちか」
茂みから現れたのは
「「あ」」
昔私が捕まった事のある盗賊の一人だった
「………お前はあの時のバカ召喚士!?」
「バカは余計です!」
希望は一瞬で絶望に変わる
「くっ…まさかあの時の盗賊に会うなんて…なんでこんなに私は運が悪いのですか…」
「おい誰も助けねぇなんて言ってねぇだろ」
盗賊は袋から取り出したパンをシェルンに渡す
「なっ!?毒入りですか!?その手には乗りませんよ!こんなあからさまな嘘すぐにわかります!」
「既に動けない奴に毒盛る必要あると思うか?」
「必要無いです………でもあなたが私を助ける理由は無いはずです!」
「あぁ、まったくもってその通りだ、つーかお前らのせいで盗賊団解散しちまったんだし…確かにパンを上げなくても良いかもしれねぇな」
「ぐぬぬ……」
「そう睨むなよ、ほれ」
そう言い盗賊にパンを渡される
「頂きます!」
「つーかなんで行き倒れてんだよ、連れはどうした?」
「今は私一人です。一人で旅をしようと思って」
私は座ってパンを食べながら喋る
「ふーん」
「あなたは今何をしてるんですか?まだ盗賊なんですか?」
「盗賊は止めた、今はただの旅人だ」
「それは良いことです」
「だが行き場所を決めてなくてな…このままじゃ永遠に放浪しなきゃならん…というわけでどこか良い場所知らねぇか?」
「それが私を助けた理由ですか?」
「おいおい勘違いするなよ半分は善意だぜ?まぁそのもう半分は正解だがな」
「んー…、私が知ってるのはテレスクレアぐらいですよ?そもそもの出発地点ですけど」
「じゃあお前どこを目的に旅してるんだよ」
「私は行き先なんて考えてませんよ?適当に旅してます」
「お前死にたいのか?」
「死ぬつもりはありません、だけど1つの村や町に居続けるつもりもありません」
「なんだそりゃ、矛盾だらけだろ」
「そういう生き方を目指してるので、とりあえずパンをくれてありがとうございます。じゃあ私は旅を続けます」
そう言ってシェルンは立ち上がり先に進もうとする
「ちょっと待て」
元盗賊に引き止められる
「まだ何か?」
「お前まさか整備された道を通りながら旅する気?」
「そりゃ道が有るなら……」
「お前なぁ…やっぱり馬鹿だろ?」
「何故罵倒!?」
「いやそういう旅人って盗賊とか山賊とかの格好の的だろ…大人数で旅をするんじゃないのなら整備された道で旅をするのをオススメしないぜ?」
「な、なるほど…以外と詳しいんですね」
「元盗賊だって言ってんだろ」
「じゃあ早速…」
「ヒャッハー!!カモがネギ背負ってるぜ!」
道から外れようとした直後柄の悪い山賊っぽい男達に周囲を囲まれる。数は10人
「あー…ほらな?俺の言った通り…」
「そうみたいですね…ってどうするんですかこの状況!?」
「バーロー!お前召喚士だろうが!恐る事ねぇだろ!」
「そ、それは……」
「やっちまえ野郎共!!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」
シェルンが答える前に山賊達は持っていた鉈で襲いかかる
「くっ…!」
シェルンは剣を抜き、隣に居た元盗賊は手早くナイフを取り出して戦う体制に入ろうとする
「おい…2人相手に大人数で相手をするなんて恥ずかしくないのか…?」
襲おうとしている山賊に少し離れた位置に居たシェルンと同じ位の年の男は言う
「なんだテメェは!?お前も持ってるもん置いてきな!」
2人の山賊は男に向かい鉈を振り下ろそうとする
「山賊風情が…剣を使うまでもねぇ」
男は鉈を受け流し、鉈を振り下ろそうとした腕を逆の関節に曲げへし折る
「ぐぎゃぁぁぁぁ!!?」
「このクソガキ!?やりやがったな!」
「お前等盗賊やら山賊の類は大嫌いなんだよ」
男は屈み山賊の足を払い転ばす
「なっ!?」
転けた所を見計らい男は山賊の顔面に踵落としを繰り出す
「ゴフッ…!?」
「失せろ」
「ちっ!野郎共!まとめてあの小僧を潰せ!」
残り8人の山賊達は標的をシェルン達から少年に変更する
「そこは撤退だろ…?ほんと無能だな……手を貸せホルス」
「んー?8人程度で僕の力を求めるのー?」
草陰に隠れていたであろう少年が出て男と話す
「なら要らん」
「冗談冗談ー!ゴメンゴメンからかっただけだよー!」
「良いからさっさと貸せ」
「もー、そう焦らないでよー
『竜を討ち滅ぼす刃となれ 剣陣 《バルムンク》』」
少年は剣陣を召喚しその剣陣を男に渡す
「嫌がらせか?」
「なんでも良いでしょー?」
「ふん…」
男が剣陣を振るうと周囲に突風が吹き荒れる
「うおぉ…!」
突風は次第に強くなり山賊達を囲む竜巻になる
「吹き飛べ」
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」」
竜巻が更に強くなり山賊達をどこかに吹き飛ばした
「凄い……」
そうシェルンは呟く
「大丈夫か?」
男はそう言いシェルン達に近づく
「いやー助かったぜ!お前召喚士なんだな!」
元盗賊の彼は近づいてきた男に感謝の言葉を述べシェルンの前に立つ
「………手馴れてるな…だが俺は何もするつもりは無い…出来れば左袖に隠しているナイフをしまって欲しい」
そう言われ元盗賊の彼は左袖に隠していたナイフを取り出す
「いやいや怪し過ぎんよ、ただの人助けには思えねぇって」
「ちょっ!?失礼ですよ!せっかく助けて貰ったのに!」
「馬鹿、人を簡単に信じ過ぎだっつうの、そのうち痛い目見るぞ?」
そう元盗賊がシェルンに言いナイフを構え直す
「誤解だ、お前達を助けたのにはちゃんと理由が有る」
男はそう言い一枚の紙を取り出す
「こいつを知らないか?」
描かれていたのは人の顔だった……のだが下手過ぎて全くわからない絵だった
「す、すいません…ちょっと知らないですね…」
「いや下手くそ過ぎて分からん」
シェルンが白を切ろうとするが元盗賊は問答無用に言い切った
「くっ…やはり難しいか……」
自覚はあったらしい
「もうちょっと特徴的なのねぇのかよ?絵以外にもやりようはあるだろ?例えば名前とかな」
「すまない…そいつの顔しか覚えてないんだ…やはり地道に探していくしか無いか…」
男はその場を去ろうとするが少年がそれを止める
「なんだホルス?」
「ちょっと待っててー、ねぇそこのお姉ちゃん、少し聞きたい事が有るんだけど」
少年はシェルンにそう聞きに来る
「どうしたの?」
「お姉ちゃん召喚士なのにどうして剣陣持ってないの?」
「…ッ!!?」
この子とは初対面のはず…それなのに…
「な、何で分かったの…?」
「んー?何となくー」
「ホルス、説明しろ、どういうことだ?」
男はホルスと呼ばれている少年に問う
「召喚士としての適正が有るはずなのに剣陣が無い、というか盗られた可能性が高いかなー、ちゃんとした剣陣の継承を受けてるのにねー、凄い珍しいタイプだよー」
「え?お前剣陣使えねぇの?」
元盗賊も意外そうな顔をする
「あ、あの!!」
「「「?」」」
シェルンが全員に呼びかける
「と、とりあえず立ったままってのもあれなので、どこか座れる場所で話しませんか…?」
「それもそうだな」
そう言い男は手に持ってた剣陣で近くにあった4本の木を切り倒す
「座って話そうか」
男は切り株に座りそう言った
「いやいや怖えよお前…」
そう言いつつ元盗賊、男の子、シェルンの順番で座って行く
「じゃあ自己紹介からしますね、私の名前はシェルンです。訳ありで旅をしてます」
シェルンがそう言うと続いて元盗賊が話し出す
「俺の名前はルズだ、誰かさんの所為で旅をしてる」
ルズはそう言いシェルンの方をチラッと見る
「あれは私じゃなくてホーロットさんが…!」
「以上だ」
シェルンが何か言おうとする所でルズは話しを切る
「ぐぬぬ…」
「じゃあ僕の番だねー、僕の名前はホルスって言うんだー!今は協力者としていろんな所を周ってるかなー」
「ひとつ聞きたいんだが…お前召喚士か?」
ルズはホルスに問う
「厳密には違うけどまぁそんな所かなー、まぁ僕は戦うの嫌だから全部相方に任せてるけどねー」
「へー…それじゃあ最後にお前の自己紹介を頼むぜ」
ルズはそう言いまだ名前の知らない男に話を振った
「俺の名はノラ…人を探しをしている…」
ノラの自己紹介はただそれだけだった
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#11《借り物の力》
作者「いやマジで忙しい」
カエン「いや頑張れよ」
作者「学業が追いつかねぇんだよ!」
カレン「でも書くんでしょ?」
作者「そりゃ書くさ!畜生!」
カエン「ま、作者がこんな感じだから次回も遅れそうだけど…」
カレン「次回もよろしくね〜」




