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ソードサモナー  作者: 猫の手
10/12

覚醒率50%



少女は橋で準備体操している男を見つける

『何をしてるんです…?』

『え…?飛び降りる準備』

『なんでっ!?』

『大丈夫、自分死神に好かれてるみたいで今までに何回もこんな事あったけどなんとかなったから』

『いやだからなんで飛び降りようとしてるんですか!?』

『旅人ってのはいろんなことに挑戦したい生き物なんですよ…』

『いや危ないよ!?死んじゃうって!』

『なんで止めてくれるんですか?』

『い、生きてれば良いこと有ると思うから……………………ゴメン嘘…』

『ん?嘘とは?』

『私死にたいの…』

少女はそう男に言い、語り始めた


ーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア 城壁》


「暴食の悪魔よ、顕現せよ……」

シェルンの周囲から現れたのは異形の化物達


「目を覚ませシェルン!!」

「…………」

タキリが呼びかけてもシェルンの返事は無い

次々と現れる化物達はタキリ達に襲いかかる

「チッ!?」

タキリは気絶したままのセルフィを抱え回避行動に移る

ティグスは拘束されているレジスタンス2人に付いている化物を光剣で斬りとばす

「お二人とも早くお逃げなさい」

「……チェッ…」

ジャックはボーっとしているメストを抱え城壁の外に飛び降りた


「逃がして良かったのか…?」

「それどころでは無いでしょう?」

「それもそうか……」

ティグスとタキリは目の前に居るシェルンに目を向ける


「…………」

シェルンは一冊の本を両手で持っている


「あれは何だ?」

「分かりませんな…ですが仮説は立てれますな……先ほどシェルンが持っていた剣陣が無くなったのを見る限り、剣陣の力の一つでは?」

「本が剣陣ってか?そりゃ面白いな」

「シェルンが言っていた『二重召喚デュアルサモン』というのも気になります」

「重ね掛けの剣陣召喚…聞く限り厄介そうな名前だな…つーか俺もやってみてぇ…」

「おっと、無駄話もここまでのようです」

眼前に迫ってくるのは化物の群れ

「こりゃ骨が折れるな」


「喰らえ」

シェルンがそう命令した直後化物は食らいつこうとする

タキリはそれの首を的確に落とそうと剣陣を振るう…が


ガチィンッ!

「なっ!?硬すぎだろ!?」

タキリは相手の噛みつきをギリギリ避ける

「タキリさん、私が道を切り開きます。そのうちにシェルンを頼みます」

ティグスはそう言うと最大出力で光剣を前方に打ち出す


極度の光に弱いのか化物達は灰と化していき

ティグスの攻撃によって出来た道をタキリは駆ける


「シェルン!!」

「………」

シェルンはボーっと立っている

(何考えてんだあいつは…)

タキリは剣の腹でシェルンを気絶させようとする


「『我が右手に宿れ魔剣レーヴァテイン』『我が左手に宿れアブディエルの剣』」

シェルンはそう言うと、本が宙に浮きシェルンの両手に突如現れた剣が握られる


「ッ!?嘘だろ!?」

剣陣は一振りしか所持する事が出来ない、と言うよりも二振り持っている人は存在しないとされているはず


シェルンは容赦無く二振りの剣をタキリに振り下ろす

「舐めんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」

予想外の攻撃に対しタキリは受け流す事が出来ずに、二振りの剣を剣陣で受け止める











ピシッ…




「なッ……んだ…と……?」

タキリの剣陣《見切》にひびが入る

「シェ…ル………ン」

「…………」


パリィンッッ……!


タキリの剣陣は砕け散った




ーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア中央病院》



「うぐっ……」

シケットはマルクスの攻撃を防いでいる内に傷が増えていった


「その程度か」

マルクスは自身の剣陣をうねらせる

「中々手強いニャ…」

「一つ聞きたい、何故剣陣を使わない?」

「……使える剣陣なら使ってるニャ」

「そうか、死ね」


マルクスがシケットに剣陣を振り下ろす


ふとシケットは昔を思い出す。

これが走馬灯というものなのだろう





ーーーーーーーーーーーー

《【シケットの走馬灯】山奥の村》


『おい!誰か村の入り口で倒れてるぞ!?』

村の住人が私を見つけたのが最初


私は記憶を失っていた


『ここは…?』

目を覚ましたのは村の病院のベットだった


『目を覚ましたか、ここは村の病院ですよ』

そう言いつつ医者らしき人はカルテに何かしらを書き留めている


『君はどこから来たんだい?』

『えっと……すいません、分かりません』

『記憶喪失…?名前は?』

『名前は…シ…ケット……シケットです』


名前は辛うじて覚えていた

『シケットちゃんか、体調はどうだい?』

『普通です…』ぐぅぅぅぅぅ…


腹は普通じゃないらしく、腹の虫が鳴く


『まぁ、丸一日眠っていたんだ無理もないさ』

そう言って医者はあらかじめ準備していたであろうパンと牛乳を私に差し出す


『あ、ありがとうございます…』

私はパンと牛乳を口を伝い胃に流し込む

私がパンを半分ぐらいまで食べていると


『ちょっ!?お前押すなよ!?うわぁ!?』

ドアから3人の子供が転げるように出てくる、歳は私より少し下ぐらいでそんなに大差は無さそうだった

『君達、少しは静かにしなさい』

『ご、ごめんなさい!所でその子は誰なのムーさん!?』

子供は医者に問う、今の話からして医者の愛称はムーさんらしい

『患者さんだよ』

『村の子じゃないよね!ねぇ!友達になろ!』

『名前は何て言うの?』

『え、えっと…』

質問攻めで結構辛いのですけど…

『ストップストップ!シケットちゃんが困ってるだろ?』

『シケットって言うのか…』

『よろしくねー!』

『遊ぼ遊ぼ!』


みんな人の話を聞いてないし…

とりあえずみんなを落ち着けないと…

『あ、あの…みんなの名前は何て言うの?』

『僕はミケ!』

短パン短髪の男の子がそう言い

『私はシィカ!』

白いワンピースの女の子が続けて言う

『俺はノラ』

最後におそらく最年長であろう男の子が私に自己紹介をした


『よろしくね、私はシケット』



その後、私はみんなと一緒に良く遊ぶようになった


そして月日は流れ過ぎ…


『シケットー!』

ミケが私に話しかけてくる

『どうしたのミケ?』

『シケットって喧嘩強い?』

『どうしたの急に?』

『いや、剣術でどうしてもノラに勝てなくて』

『ノラ剣術使えたんだ』

『うん、シィカにいつも審判を頼んで、木剣で試合をしてるんだよー!』

『それで何で私に?』

『いや、シケットが強かったら教えてもらおうと思って』

『うーん…記憶が無いから何とも言えないかな…』

『でもシケット駆けっこ速いじゃん!腕っ節も強いみたいだし!』

『女の子に対しての言葉じゃないよねー?』

私はミケの腕を回し関節技をかける

『ご、ごめんって!悪気は無かったんだ!いてて!』

『それでどうすれば良いの?』

私はミケの腕を解放した

『とりあえず、僕と練習試合してよ!』



5分後


『………』

『強過ぎるよ…』

ミケは私の攻撃を守った直後、受け止めた衝撃を耐えきれずに後方に吹き飛び、背後の木に衝突していた


『私、剣使えたんだ……』

自分の成り立ちに疑問を抱きながら私は剣を地面に置いた

『シケット!ノラと戦ってみてよ!!』

ミケは叩きつけられた木からゆっくり起き上がりシケットに駆け寄る

『えー…』

『お願い!見てみたいんだ!ノラとの試合!』

『しょうがないね…』


私とミケはノラの所に行き


『断る』

ノラに断られた

『何でだよノラ!?』

『相手は女の子だぞミケ?俺の倫理に反する』

『怖いのかよ!?男の癖に逃げんじゃねー!』

『分かったよ…まったく…だが俺は手抜きで行かせてもらう』

『全力で行けよ!変な手加減は相手に失礼だぞー!?』

『確かにそうだが……』

『全力でも良いよノラ?』

私はそうノラに伝える

『正気か?言っとくが俺は結構鍛錬してる方だぞ?』

『ノラの実力っていうか私の実力を知りたいなーって思って』

『記憶に関する事か…?』

『うん』

『そうか、なら程々に相手を……』


『負けた方が勝った方の言うことを聞くってのはどうかな?』

唐突に話に割り込んできたのはシィカだった

『それなら二人とも全力で戦えるでしょ?』

シィカがニンマリと笑って言う


『良いよ、それで行こう』

『俺もそれで良い』


私とノラはそう言って定位置に着き木剣を手に取る



『試合開始ッ……!』


……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………





『俺の…勝ち…だッ……!』

ノラは息を切らしながらそう言い私の喉ギリギリに木剣を突きつけていた


肝心の私の木剣は遥か後方に突き刺さっており、取りに行くのは不可能だった


『決着ぅ!』

シィカがそう言い試合が終了する


『負けたぁ……』

想像以上にノラは強かった

私の力を受け流しながらの戦い、ノラの言う通り相当訓練を積んでいるのが感じ取れた


『何か思い出せそうか?』

『いや全然』

『そうか、じゃあ俺は帰……』

『ちょっと待った!!罰ゲーム決めてよノラ!?』

シィカが帰ろうとするノラを急いで引き止める

『なんでも良いだろ…?しょうがないな…じゃあ一週間語尾にニャを付けるでいこう』

『ファッ!?』

『じゃあそれで〜』

『シケット!シケットー!好きな食べ物は〜?』

『魚……です…ニャ……』

『ブッフォッ!!面白過ぎd』

ペキペキッ

私は無言でミケの腕を取り関節を曲がる筈のない方向に曲げようとする


『ご、ごめ!ブフッ!別に笑ってるとかじゃ!ギャァァァ!!?』

『次茶化したら全ての関節が逆に曲がると考えるニャ』




自分の語尾は罰ゲームによって付けられた



その語尾を聞いてムーさんが猫耳のフードのパーカーを作ってくれた




照れ臭かったがなんだかんだで嬉しかった


身寄りの無い自分を助けてくれて凄い感謝をしていた








あの日が来るまでは









『薪はこれで十分か……』

『そう見たいですニャ』

『なんかその語尾にだいぶ慣れたな…』

『誰のせいだと思ってるのですかニャ?』

私とノラは薪を集めに山に居た


『まぁ、この語尾も今日で最後だし名残惜しってのも若干無くは無いですニャ』

例の罰ゲームから一週間、今日が最期の罰ゲームの日だった

『猫耳フード愛用してるみたいだしな』

『ムーさんは手先が器用ですニャ』

『そうだな…ん?なんか焦げ臭くないか?』


ノラは私にそう言うと村を一望出来る位置まで移動しピタリと動きを止めた


『どうしたのですかニャ?』

私もノラと同じ位置につく



村が燃えている



『えっ…!?』

『急ぐぞ!!』

私とノラは大急ぎで村に向かう


(みんな無事で居て…!)



村に到着し周囲を見ると多くの家のあちこちが燃えている


『ノラ!シケット!!』

私達の名前を呼んだのはムーさんだった


『早く避難するんだ!盗賊団が…うっ!?』

話しをしている途中でムーさんが倒れこむ

『ムーさん!?』

背中を見ると矢が刺さっているのが見えた


『命中ぅ〜♪』

ムーさんの背後の少し離れた位置に居たのは弓を持つターバンを頭に巻いた男、おそらく盗賊なのだろう

『あれで最後か?』

更にその後ろから数人の盗賊が着いて来ていた

『お前等ッ……!』

ノラはいつも背中に背負っていた木剣を取り出す、私のは今日に限って家に置いてきてしまっていた

『そんな玩具で戦えると?』

盗賊団の頭のような男は剣を抜く

『シケット!逃げろ!』

『えっ!?ノラも逃げようよ!?』

『ダメだ!ここは俺が食い止める…!』

『なんでそこまでして……!』

『お前が居るからだ!絶対に守ってやる…!』

『ノ、ノラ!?』

『感動的なシーンの所悪いが、死んでもらうぜ』

気がつくと後ろに盗賊団が回り込んで道を塞いでいた

『卑怯だぞ…!』

『そりゃあ最高の褒め言葉だ、なんせ盗賊団だからな!』

頭の合図で下っ端二人が同時に斬りかかって来る

『くっ!?』

ノラは下っ端の一人の攻撃を木剣で防ぐ事に成功したがもう一人の下っ端がノラに剣を振り下ろす

『喰らえ!』

私は薪割り用の薪を下っ端に全力で投げつける


薪は下っ端の頭に見事に命中

『いて!?テメェ!!』

標的を変えた下っ端はこちらに向かってくる

そして攻撃の範囲に入ると下っ端は剣を振り下ろす


動きがガバカバだ…これなら!

私は相手の剣の腹を叩き軌道をズラし、ガードが緩くなった腹に渾身の力を振り絞り殴りつけた


ドゴォ!!

『ガハッァァ!!?』


下っ端はスーパーボールの様にバウンドし吹き飛んだ


『テ、テメェ!よくもやりやがったな!?』

他の下っ端も剣を持って襲いかかってくる



全方位四人からの攻撃



だけど不思議と剣の太刀筋が全て分かった様な気がした



私は全ての剣の攻撃を軌道をズラし避けた



それを見ていた下っ端達は何が起きたか分からず動きが止まる

その隙を逃さず私は下っ端一人の剣を叩き落とし、それを手に取る



私は弧を描く様に身体を軸にして回転斬りを行い下っ端四人を斬りとばす



不思議だ…身体が勝手に動く……まるで自分の身体じゃないみたいだ…



『おっとそこまでだぜ嬢ちゃん!』

盗賊団の頭がそう言い連れてきた人間を人質にとる

その人質はシィカだった、その後ろには下っ端に人質にされているミケの姿があった

『シケットぉ…!』

『くっ!?離せよ!』


『みんな!!?』

『卑怯だぞ!うぐっ!!?』

ノラは戦闘中だったのか不意を突かれて腹に打撃を入れられ地面に膝をつく

そこに数人の下っ端がノラを拘束する

『ノラ!?』

『逃げろシケット!!』

『嫌だ!!絶対に嫌!!』

考えろ!考えるんだ!絶対に何かある!まだ終わりじゃない…!みんなを助けないと…!


頭をフルに回転させていたのが仇となり盗賊団が弓を構えているのに気づかなかった


気が付いたのは矢が放たれた後だった




ズシャッ!!

矢が肉に突き刺さる鈍い音が聞こえる

自分に目掛け真っ直ぐ飛んできた矢の威力は中々のものだろう

しかし思っていた程痛くなかった、いやむしろ全然痛くなかった

理由は明白、自分を正面から抱きかかえて居る人に全ての矢が刺さっていたのだから




『ムー……さん…?』

『逃げろって…言ったのになぁ…ゴフッ…』

『ムーさん…!ムーさんッ!!』

『君達は昔から…本当に人の話を聞かないんだから………』

『ねぇ嘘でしょ!?ムーさんッ!死んだら駄目だよ!?』

『アハハ…語尾取れてるよ?シケット…ちゃ……ん』

ムーさんはそう言って地面にうつ伏せで倒れ動かなくなった

『ムー…さん……?』

嘘だ…

嘘だ嘘だ嘘だッ…!!


『嘘でしょ…?嘘だよね……?だって…私まだありがとうも…言えて…ないのに………』


涙が止まらない目の前がぐしゃぐしゃで何も見えない、まるで現実を受け止められない様に



一体なんでこんな事に…?



何が原因だ?



私の日常を奪った奴らは誰だ?




涙は枯れ目元を真っ赤にして私は盗賊団を睨みつけた



絶対に…許さない……!


ゼッタイニッ……!ユルサナイッ……!!



私の中で何かが砕ける音がした



『シケット…?』

ノラが疑問を浮かべる


明らかに様子がおかしい



『ケン………ジン………!■■■ッ……!!』


シケットがそう言うと魔力の奔流が渦を巻きシケットの周囲を包む


何も無いシケットの手に剣が構成されていく


『な、なんだありゃあ!?』

ざわめく盗賊団員


壊してやる…全部ッ……!!



私は盗賊から奪った剣を投げ捨て、構成された剣を横に振るう

誰がどう見ても距離が足らないように見えるが、凄まじい空気圧が盗賊団員を襲う


私は相手がひるんでいる隙に接近し剣を振るう


目の前に広がるのは鮮血


私は全てを斬り払う



時々盗賊団員が斬りかかって来たが、反撃により盗賊団員の剣が砕ける


血が宙を舞い


血の香りが充満する


地面には血溜りが点々と出来ていた


肉片が飛ぶ





気が付いたら私は一人で立っていた




















一人で?

















ふと周囲を見渡した




シィカ…?



ミケ…?



ノラ…?








三人は地面に倒れていた



深く、深く斬り付けられた痕があった






『う…そだ…嘘だ………』

怒りは絶望に変わる



なんで…?誰がこんな…?



思い当たる節は一つだけ







『私…?』



自分の持っていた剣を見る


血がべっとり付いていた



『………………………………あぁ…』


私が…私がみんなを斬り殺したんだ…


私が………



剣先を自分の腹に向ける

そのまま勢い良く私は腹を突き刺そうとした


『シケ…ット…………』

剣先が腹にギリギリ当たる手前で止まる


『ノ…ラ…?』

私は倒れているノラに近づく

『無事か?シケット』

ノラはそう言うが、言っている本人の方が重症なのは火を見るよりも明らかだった

『ごめんノラ…私…私……』

『少ししか一緒じゃなかったけど…まぁ楽しかったぜ…』

『最期みたいな言い方しないでよ…!』

『ははっ…語尾無くなってんぞ…?まぁそうだな……俺等の分まで生きてくれよ……』







それきりノラは動かなくなった



『…………………………………………………………………………………………』



無心


何も考えられなかった



次第に雨が降り始めた






背後から歩いてくる人の気配を感じた


振り返り確認すると知らない男だった

『あぁ…残党ですかニャ…?』

私は語尾を付けた、今日はまだ終わってない…最初で最期の罰ゲームだ、やり通そう



『何があった?』

男は私に問う


お前らがやったくせに


『とぼけんなですニャ』


『それは俺の台詞だ』



私は持っていた剣を握り直し立ち上がる


『………………』

『言葉は不要か…』


男も剣を取り出す……かと思ったが地面に落ちていた木剣を拾った


あの木剣は……


『丁度良い所に…』

『触るな』




私は男の首を斬り落とす軌道で剣を振るう

男は身体を仰け反らせつつギリギリで回避を行った


『あぶね』

男はそのままバク転で距離をとる


ノラの木剣は持ったままだった


追い討ちをかけるように剣を振るう

『ほい』


ガィンッ!

私の剣は男の弾く様な剣捌きによって防がれる、防いだ剣はノラの木剣


木剣で…!?


私は続けざまに剣を振るう

結果はどれも同じで弾かれるか避けられるかのどちらかだった


次第に腕が痺れてきた


肉体の限界が近かった


だけど私は手を止めるつもりはなかった


こんな…!こんな奴に……!!



感覚が無くなっていくと同時に私の攻撃はどんどん鋭さを増していく


怒りが再び頭を埋める



『っ!?』

男は木剣を手放し、腰に付けていた剣帯から剣を引き抜く



ガァンッ!!


男はシケットの攻撃を剣で防ぐがそのままの勢いで吹き飛び地面に転がる


『くっ!?』

男の剣は砕けていた


シケットは追い討ちを仕掛けようと駆ける


『その剣…ただの剣じゃねぇな……』

『………………』


『悪いが全力で行かせてもらう』

男は足元に落ちていた盗賊の剣を拾い応戦






一言で言わせてもらうと



激戦







戦いは丸々一晩かかった



気付いた時には私は寝ていた


目が覚め周りを見ると村の焼き跡が残っていた



シィカ、ミケ、ノラが倒れていた所には小さな墓石が立っていた


『起きたか』

墓の前で手を合わせていたのは最後の最後まで戦っていた男だった

『なんで殺さないのですかニャ?』

さっきまでの私は無防備、殺そうと思えば殺せたはずだ

『なんでだろうな』

『変な盗賊ですニャ』

『盗賊?なんのことだ?俺は盗賊じゃねぇぞ?』

『え?』

『その分だと村が盗賊にやられたみたいだな…』

『盗賊じゃないのですかニャ…?』

『さっきも言ったが俺は盗賊じゃねぇ』

どうやら私の勘違いだったらしい

『お前はこれからどうするんだ?』

『どうでもいいことですニャ…』

私はそう言ってお墓の前で手を合わせる

『友達だったのか?』

『そうですニャ…私の初めての友達でしたニャ…私が斬り殺したみたいだけどニャ…』

『そうか…なぁ、一つ提案なんだが』

『?』

『俺と一緒に来ないか?』




これがホーロットとの初めての出会いだった








あぁ、思い出した





私は生きなきゃいけないんだ


皆の分まで





ーーーーーーーーーーーー

《テレスクレア中央病院》



眼前に迫ってくるのは相手の剣陣

「ニャ」

私は剣の腹を殴り軌道をズラす


「貴様…まだ足掻くのか?」

「足掻かないといけない理由があるのですニャ、だから……」




私はこの力を使う



「さぁ、言うことを聞いて貰うニャ…!」

下手な詠唱は要らない

目の前の敵だけを打ち砕くんだ



「剣陣ッ…!!


つるぎかみッ!!!」




シケットを中心として魔力が周囲を充満していく



「な、なんだと!?」

「………」

私は高速で相手の懐に入り込み剣陣を振るう

それを防ごうと相手も剣陣で受け止めようとする




「無駄だよ」


バギィンッ!!


シケットの剣陣《剣ノ神》は相手の剣陣の抵抗を許さず破壊した




「ば……馬鹿…な…!?」


「私の剣陣は対立する者の剣を破壊する」


シケットはそう言う


剣陣が破壊されたことでマルクスは力無く倒れる


マルクスを倒してもなおシケットの剣陣《剣ノ神》は魔力を流し続ける


「くぅっ……」

必死に止めようとするも止まる気配はまるで無い


今まで行っていた《猫技》などの技はこの有り余った魔力を使って繰り出していた

リミッターをかけた状態でさえ魔力が多いというのにリミッターがかかってない今の状態は非常にマズイ、過度な魔力は身体に毒なのだ、今の出力は大体50%というところか…


「収まるのにはもうちょっとかかりそうですニャ…」




ーーーーーーーー

《フォレストン近くの森》





「!!?」

コトハは急に振り返る


それに気づいたルインが声をかける

「どうしたコトハ?」

「見つけた……」

「何を?」

コトハは返事を返さずに向いた方向に歩き始める


「コトハ」

異変に気づいたアルドはコトハを引き止める

「見つけた……」

「君の友達かい?」

「うん……」

コトハは構わず歩き始めた


「やっと見つけた……







待っててシケット………」



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#9《戦う理由》

作者「大学の授業とか行事が多過ぎてワロタだぜ!」


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