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もうひとつの個性世界  作者: 氷花
第1章 最終決戦
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第57話

俺は何がしたかったのだろう。こんな世界に入り込み、様々なことを行い、事件に巻き込まれる。

これが俺の望んだ結末なのか?そもそもこの世界自体何なんだ?


思い返せば、桜姫と出会ってから何かと変わったような気がする。

今となっては桜姫の意思が俺の意思となりつつもある。

いつからこうなっていたのだろうか。何故だろう。



そういえば桜姫は魔剣を後付けのものといっていた。

考えてみたら、何故後付けをする必要があったのか。この世界は現実ではなく、ゲームの中だ。

ただ普通に楽しみを与えようと製作者が追加したのか。いや、それならあんな最初から出会うはずがない。もっと高レベルの場所に鎮座していてもおかしくないはずだ。


いや、そもそも後付けということが可能なのか?


あのゲームは元はパッケージゲーム。フルダイブシステムとはいえ、ゲームを買うのだ。後付けなんてできるはずが無い。


そういえばアップロードだかアップグレードだかをしたような気がする。


いや、それも今となってはおかしくないか?


グローバル接続をしているとしても、ネット接続をしていたとしても、先ほども述べたようにパッケージゲーム。さらにはカセットやカートリッチでも無い。

つまり、更新や変更といったようなことはありえないはず。


ならば、今まで俺がやってきたことは何だったのだろうか。


そうなれば考えられるのはそう多くないはずだ。


その中でも一番可能性が高いのは---夢。



ここまでが全て俺の夢だとすればどうだ?


夢ならば自分の思うようにことを進めることもできる。

だから、付き合うこともできた。ゲーム内でも楽しい仲間に出会えた。

まあ、何らかのハプニングはつき物だろう。


これなら合点も行く。

そうか。今まで全部夢だったのか。

何だ・・・。結局全部、嘘じゃないか・・・。


俺は真っ暗な世界に完全に飲み込まれた。


そのとき、真っ暗な世界に小さな。本当に小さな隙間が突如現れた。

ごくまずかな隙間でも、暗闇のような世界にはとても明るく見えた。


誰だ。


そこにいるのは誰だ。


なあ、答えてくれよ。


もう、わからないのはいやなんだ。


おい。教えてくれよ。


なあ。聞こえてるんだろ?


無視しないでくれよ。


なあ、【桜姫】!



そのとき、何かがはじけ、音を立てて崩れていった。






≪別視点≫


「あなたはこれからもとの世界へと戻るわ」


桜姫は光の粒子となり、消えていった。

同じくその場にあった武器たちも消えていった。


「どうして・・・?」


誰かがそうつぶやいたとき、夜の体は光を帯び始めた。

ただし、それは優しく輝く光の色とは反対といえるほど、血のようにドロッとしたような赤黒い色のものだった。


それは夜の体に纏わりつくように広がっていく。そして全身を覆った。


次の瞬間、実体を見せることは無いはずのステルスバードが全身を見せながら“落ちてくる”のを見た。


「えっ!?」


その場にいた“夜”以外はその状態に驚いた。


いつの間にか彼の手には片手で持てるような大鎌が握られていた。

全身に纏わりついているものと同じ色をした片手大鎌。


きっとあれで刈ったのだろう。いや正確には狩ったのだろう。


しかし、彼は動きを止めなかった。

そのまま歩みを進め、夜と呼ばれるものの前に立った。

そして、鎌を振り下ろした。その場にいた数名は息をのんだ。


だが、ガキッという何かがぶつかった音を響かせた。


目を向けると、先ほどの鎌といつの間にか手にした一本の剣がぶつかり合っていた。


「それはルールに反するだろ?」

落ち着いた様子で語る夜(B)。

だが、その問いに返答はなかった。


「それにあせりすぎだ」

強気な台詞とは裏腹に、顔には苦痛の表情と脂汗が見える。

いつの間にか夜(B)の腹から血が流れ出していた。

それはいつ傷つけられたのかは誰にも分からなかった。


今までの状態ならば、確実にAが本物だったように感じるが、今となってはBが本物にも見えるような有様である。

だが、その考えもすぐに壊れる。


「もういいさ。最初からこの力を使うことは分かっていた。もうどっちが“夜”とかいうくだらないことはやめて、単純に殺り合おうぜ」

口元をにやりとさせる。


彼は剣を上に掲げ、“自分に”突き刺した。

剣を引き抜き、その傷からは大量の流血が見られる。

しかし、その血が徐々に形となっているのが見て取れる。


「どうせ俺の声なんて聞こえはしないだろうが、特別に教えてやるよ。俺の能力は【血】を使う。それは別に俺のでなくてもいい。他人のだろうが、動物だろうが関係ない。

俺はこいつを【血の晩餐】と呼ぶ。なかなか楽しげな名だろう?血祭りの始まりだぜ」


目の色はすでに光を失っていて、口元には不気味な笑みが見える。ゆらゆらと歩くその姿はまるで、生きるリビングデッドのようだった。


「付け加えておくが、この【血の晩餐】に必要な血は、別に俺のものじゃなくてもいいんだぜ?たとえば、こうだ」

体の向きを変え、剣を一振りする。


その直線状にいたのは、


蒼焔と妙乱だった。


二人は体を二つに切り裂かれ、ゲームから退場した。


その様子を間近に見ていたルナとライトの表情は、驚きに満ちていた。


「クハハ。最高の気分だぜ」

その顔には歪な微笑があった。


ルナとライトは未だ何があったのか理解できない様子だった。

または思考がとまってしまったのかもしれない。

前に聞いていたが、ルナとライトもある意味後付けの存在だった。必要が無くなれば捨てられる。

もしかすると、もう既にプログラムから消されたのかもしれない。

あれから一歩たりとも動いていない。両目は閉じられていて、手はだらんとたれている。


そうなると、この場に存在しているのは


理性の無い本物の夜


狂った偽物の夜


この二人となる。(私は関係ないですよ。数に含みません)



もうこの二人は狂ってしまってまともではないことは分かる。

だが、このあとどうなるのかはわからない。


片方が死ぬのか。両方が死ぬのか。和解という形になるのか。はたまた誰も予測しないようなことになるのか。


理性を失った夜に纏わりつく赤黒い色のものは、次第に色をより深めていく。

今まで赤に黒を混ぜたような色をしていたが、逆転し、今度は黒に赤を混ぜたような色となった。

つまりより深く飲み込まれたということだろう。

それは何を意味するのかはわからない。


何故こうなったのか。その理由がわからない。

こうなる前に交わされていた会話の最後の言葉。


「あなたはこれからもとの世界へと戻るわ」


この台詞がどうも引っかかる。


この世界はゲームである。

つまり、元の世界に戻るというのは、ログアウトするという解釈になる。

ただし、今の状態を見るとそうではないことが分かる。


では考え方を変えよう。

例えば、どんなときに“もとの世界”という言葉を使うのか。

もとの世界というのは現実世界と捉えるのが普通だろう。それがログアウトにしろ、別次元からの移動だったにしろ。


別次元?


その言葉に何かが引っかかった。

そもそも今まで起こったことを考えてみよう。


ダブルジョブ。

一度死に掛けていた。そこで力を得た。

魔剣との出会い。

ギルドの作成。

ゲーム内では異様な力を持った仲間たち。

後付けされたプログラムたち。

夜を中心に引き起こされる事件の数々。

魔剣たちからの支援。

心技システムを用いた【世界創造ワールドクリエイト】。

etc...


ここから推測される結論は。



まさか・・・。


考え付いた結論は2つ。この世界というよりも、現実世界も含め、すべてが夜によって作られた世界。または、全てが夜の夢なのか。


つまり、この二つから求められる一つの結論は


これは夜の・・・。

徐々に話がそれていっている気がします……。

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