表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
臨界(仮)  作者: vastum
3/6

3話

昼だった。


強い光が石畳を照らしている。


広場は静かだった。


中央には剣が刺さっている。


何十本もの剣が、錆びた鎖で束ねられていた。


風が吹く。


カチャ……


鎖が揺れる。


その近くに、一人の女が立っていた。


黒いローブ。

腰には短剣。


女は広場を見回す。


「……なんだここ」


ついさっきまで、城の屋根にいた。


宝石を盗んだばかりだった。


逃げている途中だった。


しかし今は、見知らぬ広場に立っている。


女は舌打ちした。


「追跡魔法か?」


中央の剣へ歩く。


柄に触れる。


「……抜けない」


その時。


足音がした。


振り向く。


甲冑の男が立っていた。


槍を持っている。


騎士だ。


女はすぐに短剣を握る。


騎士は女を見て言った。


「安心しろ」


低い声だった。


「捕まえる気はない」


女は目を細める。


「騎士が盗賊に優しいな」


騎士は肩をすくめる。


「ここがどこか分からん」


女は少し笑う。


「それは同じ」


騎士は中央の剣を見る。


「妙な場所だ」


「だろ」


二人は剣を見上げた。


騎士

「戦場か?」


「骨がない」


騎士

「確かに」


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……


騎士が聞く。


「お前、どこから来た」


「王都」


騎士

「奇遇だな」


女は眉を上げる。


「お前も?」


騎士は頷く。


「城だ」


女は笑う。


「じゃあ会ってるかもな」


騎士

「可能性はある」


女は剣を見ながら言う。


「変な日だ」


騎士

「そうだな」


空を見る。


青空だった。


雲がゆっくり流れている。


女が言う。


「昼っていいよな」


騎士

「そうか?」


「夜は仕事だ」


騎士は少し笑った。


「なるほど」


しばらく沈黙。


風が吹く。


虫の音が聞こえる。


女が聞く。


「名前は?」


騎士

「ロイド」


「へぇ」


騎士

「お前は?」


「リナ」


騎士は頷く。


その時。


女が消えた。


騎士は周囲を見る。


「……」


少し考える。


中央の剣を見る。


「そういう場所か」


空を見る。


昼の光。


騎士は槍を担ぐ。


「まあいい」


その瞬間。


騎士も消えた。


広場には誰もいない。


風が吹く。


鎖が鳴る。


カチャ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ