3話
昼だった。
強い光が石畳を照らしている。
広場は静かだった。
中央には剣が刺さっている。
何十本もの剣が、錆びた鎖で束ねられていた。
風が吹く。
カチャ……
鎖が揺れる。
その近くに、一人の女が立っていた。
黒いローブ。
腰には短剣。
女は広場を見回す。
「……なんだここ」
ついさっきまで、城の屋根にいた。
宝石を盗んだばかりだった。
逃げている途中だった。
しかし今は、見知らぬ広場に立っている。
女は舌打ちした。
「追跡魔法か?」
中央の剣へ歩く。
柄に触れる。
「……抜けない」
その時。
足音がした。
振り向く。
甲冑の男が立っていた。
槍を持っている。
騎士だ。
女はすぐに短剣を握る。
騎士は女を見て言った。
「安心しろ」
低い声だった。
「捕まえる気はない」
女は目を細める。
「騎士が盗賊に優しいな」
騎士は肩をすくめる。
「ここがどこか分からん」
女は少し笑う。
「それは同じ」
騎士は中央の剣を見る。
「妙な場所だ」
女
「だろ」
二人は剣を見上げた。
騎士
「戦場か?」
女
「骨がない」
騎士
「確かに」
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……
騎士が聞く。
「お前、どこから来た」
女
「王都」
騎士
「奇遇だな」
女は眉を上げる。
「お前も?」
騎士は頷く。
「城だ」
女は笑う。
「じゃあ会ってるかもな」
騎士
「可能性はある」
女は剣を見ながら言う。
「変な日だ」
騎士
「そうだな」
空を見る。
青空だった。
雲がゆっくり流れている。
女が言う。
「昼っていいよな」
騎士
「そうか?」
「夜は仕事だ」
騎士は少し笑った。
「なるほど」
しばらく沈黙。
風が吹く。
虫の音が聞こえる。
女が聞く。
「名前は?」
騎士
「ロイド」
「へぇ」
騎士
「お前は?」
女
「リナ」
騎士は頷く。
その時。
女が消えた。
騎士は周囲を見る。
「……」
少し考える。
中央の剣を見る。
「そういう場所か」
空を見る。
昼の光。
騎士は槍を担ぐ。
「まあいい」
その瞬間。
騎士も消えた。
広場には誰もいない。
風が吹く。
鎖が鳴る。
カチャ……




