フェアウェル
掲載日:2026/03/30
さようならを言うたびに
季節が変わって
置き去りにした言葉だけが
まだ行き場を探している
思い出はいつだって
優しさのフリして滲んで
触れたら壊れそうなほど
綺麗なまま残っている
誰かと歩いた日々が
未来を照らすなら
この涙の意味さえ
少しは誇れる気がした
さようなら
それは終わりじゃなくて
次の僕へ続くドアの音
振り返るたび痛むけれど
ちゃんと前を向ける
どんな夢を見ても
それでも今日を選ぶことが
僕の、私の小さな勇気
失うことでしか掴めない光があって
手放した瞬間にだけ
自由になれる想いもある
さようなら
それは悲しみじゃなくて
ひとつの生きた証
重ねた日々は消えない
そっと胸にしまい込んでいくもの
いつかまた笑えるように
あなたがくれた景色を連れて
歩き出すよ
向かう舳先へ
まだ見ぬ風が頬を撫でても
迷いながらでいいと
誰かの声が背中を押してくれる
たとえ昨日が遠ざかっても
心に残った出逢いは消えなくて
さようならを重ねた分だけ
人は優しくなれるのだと
ふと気づいた瞬間に
少しだけ世界は広がる
そしていつか
思えるんだ
あの日のさようならは
僕を前へ進ませる
いくつもの大きな手のひらだったと




