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15 魔塔

遅くなりました!全てはモンハンライズのせいです。面白すぎます

魔界は中央に近づくほど魔素が濃くなっていく。

木々や岩は歪んだ形をした物が多くなり、野良のモンスターはより強い者が出現する。

魔素によって陽の光が遮られ昼にも関わらず薄暗い。


道中、木の実を食べてみると体力が急激に回復した。どうやら人間は空気から魔素は取り込めないが、魔素を含んだ食物を口にすれば取り込むことができるようだ。


「門をくぐる前は人界とあまり変わらないなと思ったけど、こんなに違うんだな」

「城まで行くと、ほとんど真っ暗だぜ。城の中は魔道具で明るいが」


魔界には電気、水道といった魔道具は無いが、魔道具が存在する。魔族にもベンターのような鍛治士がいるようだ。


「そうだグレン。どうせなら、魔界の鍛治士に頼んで盾を作ってもらわねえか?」


フェンは俺の左腕にくくりつけていたゴブリンの盾を見て言った。


「フェンリル様、盾より先に剣は作らなくていいんですか?」


後ろを歩くニールが聞いてくる。


「ああ?・・・確かに、剣ももう一本あった方がいいな」


「なら、魔塔に寄っていくのはどうですか?フェンリル様」


「いい案じゃねえか。上手くいけば両方手に入るな」


「ニール、なんだ?その魔塔って」


「我は行ったことはないが、人間界で言うダンジョンのようなものと聞いておる。魔界にはダンジョンのようなものは、魔塔しか存在せん」


魔塔ではダンジョンのモンスターからドロップで武具が手に入るらしい。ほとんどの魔族は武具を必要としないため、立ち入る者はほとんどいないようだが。


「フェンリル様も行ったことは無いんですか?」


「ああ、ねえよ。ただ昔レックがよくボスを倒して剣とか盾を獲ってきてたな・・・って、おい」


フェンはニールへ振り返った。


「いちいち俺にだけ敬語で話すんじゃねえよ!俺にもタメ口でしゃべれ!おいてくぞ⁉︎」


「っ!す、すみません‼︎しかし・・・」


フェンがニールを睨みつける。


「・・・わ、わかった。そうじゃな。夫婦は対等であるべきか。もう敬語はやめるぞ、フェン様」


「っ!だから夫婦じゃねえって!しかもフェン様だと⁉︎」


「まあ呼び方なんてなんでもいいじゃないか、フェン。それより、レックってフェンの友達か?」


「・・・友達とは言えねえよ。魔族とは思えねえほど真面目な奴だった。全然喋らねえし」


「四魔天レックか。噂じゃ山をも動かす馬鹿力で、身体能力が異常だときいておるが」


「強えぞ、あいつは。俺やヨルムならなんとかなるとは思うが、グレンとは相性最悪だな。まあ戦うことにはならないだろうが」


「・・・そういえばフェン様は、最近の城のことはどれだけ知っておるんじゃ?」


急にニールは真剣な顔になった。


「ああ?いや、俺は十年前までのことしか知らねえが」


「そうか・・・。我も噂でしか聞いておらんから、下手な事は言えんのじゃが・・・」


ニールは言葉に詰まっていた。


「なんだ?城でなにかあったのか?」


「・・・いや、すまぬ。くだらん噂じゃ。実際に行って確かめんとわからんからの」


「・・・だったら最初から言うんじゃねえよ。じゃあ行こうぜ、グレン。まずは魔塔だな」


フェンは聞きたくなさそうに話を切り替えた。


俺達は魔塔へと向かう。

道中魔族からは奇異な目で見られた。

周囲からは、人間が犬と狐を連れて歩いているように見えるらしい。


「なんかちょっかいを出してくる魔族が多いけど、すぐいなくなっちゃうんだよな。もっと話をしたいんだが」


「グレン・・・お主、まさか今までされたことが単なるちょっかいだと思ってるのか?」


「えっ?違うのか?」


「ニール、無駄だ。グレンにとっては殴られようが蹴られようが炎を吐かれようがちょっかいにしかならねえ。気にすんな」


魔界のことはあまり知らないが、俺はフェン達が間違っていると思う。ニールのような弱い魔族もいるが、大多数は俺よりも強いはずだ。


「思ってたよりも魔族ってみんな優しいんだな。みんな俺を傷つけようとはしてこない」


「・・・グレン、お主・・・」


何故かニールの目から憐れみを感じる。

フェンは聞いてもいないようだった。


俺達はその日の内に魔塔へ着いた。


「高いな。てっぺんが見えないぞ」


「確かこの塔は50階まであるはずじゃ。1階から上がると時間がかかるからの。嵐尾」


ニールの尾が嵐に変化した。


「我の尾を使ってできるだけ高く跳ぶんじゃ。途中で塔の壁を壊して入るんじゃ。ショートカットってやつじゃ」


「助かるよ!ありがとう‼︎」


「気にするでない。早く行ってくるがよい。・・いや、でも早く戻ってくる必要はないぞ?ゆっくり攻略してくるんじゃ」


「え?・・・じゃ、じゃあ行ってくる」


俺はニールの出現させた嵐に跳び乗り、風を使って全力で跳躍した。


高く高く空を突き破る。


嵐を利用した跳躍はそのまま塔の頂上を越えた。

しばらく経ってからようやく落下し始めた。


「っっと!」


身体を回転させ頭を下にする。

塔の頂上が近づき拳を握る。


「っくらえ!」


渾身の力で殴りつけると天井が砕け散った。

俺は最上階にそのまま着地した。


「よくぞここまできた、挑戦者よ!私がこの塔の王、キングである!さあかかってくるがいい!」


キングは身の丈約3m程度で、剣、盾を持ち人間と同じ風体をしていた。


俺はキングが喋ったことに驚愕した。


「ふっはっは!私が喋っていることが不思議か⁉︎普通モンスターは話せないからな」


今まで訪れたダンジョンでは、モンスターは一切喋ることができなかった。

そこが魔族とモンスターの違いだとも思っていた。


「普通モンスターとは、倒される、ポップアップする、を繰り返すものだ。だが、私はこのダンジョンで既に200年近く倒されずにいる。そのためモンスターでいながら、知識を得て話せるようになったのだ」


キングは剣先を俺に向ける。


「俺をそこらの単なるモンスターと一緒にするなよ⁉︎さあ、来い‼︎」


「くっ・・・50階ダンジョンのボスか!最初から本気でいく‼︎」


俺は背の巨大な深紅の剣を引き抜き、上段に構えた。


---------------


一方、塔のふもとでニールは尾の嵐を消し、空を見上げていた。


「なんちゅう脚力じゃ。もしかしたら50階まで行ってしまうんじゃないか?」


「・・・おい、俺も行くぞ?嵐をもう一回だせ」


「っ!・・・ぜえ、ぜえ・・・いや、我はもう魔力がなくなってしもうた。もう嵐は出せん。すまんの、フェン様。我とここで一緒に待とう」


フェンはすごく嫌そうな顔をした。


---------------


「ぐあああああーーー」


放った強撃はキングを切り裂き消滅させた。

さすがベンターの剣だ。

キングが消えた跡に、剣と盾がドロップしていた。


「よし!新しい盾と剣を手に入れたぞ‼︎」


フロアに光の渦が現れる。

渦に入ると入り口に転送された。


入り口では、フェンにニールが絡まっていた。


「・・・すまん。邪魔だったか」


俺は二人から目を逸らした。


「っ!邪魔じゃねえ、よく帰ってきた‼︎こいつを早くほどいてくれ‼︎」


「ちっ。早すぎじゃ。もう少し時間があれば既成事実を作れたというのに」


ニールは頰をフェンに擦り付けていた。


「ふざけんな‼︎絶対に既成事実なんて作らせやしねえよ‼︎」


渋々ニールはフェンから離れた。


「無事剣と盾を手に入れたようじゃの。どうする?もう夜じゃし、ここで野宿せんか?」


既に周囲は真っ暗になっていた。


「ああ、それなら近くにいいところがある。10年前と変わってなければ、そばにスキャットの家があるはずだ。泊めてもらおうぜ?」


スキャットのことは覚えている。ピエロの格好をした魔族だ。


フェンの提案に乗り、俺達はスキャットの家を訪ねた。


家の前で声をかけたが反応がない。

フェンは勝手に家の中に入っていく。


「おい、勝手に入っていいのか?」


「大丈夫だ。昔はよく勝手に入って寝てたからな」


「・・・まさか女か?まあフェン様を我一人で独占しようとは思ってはおらんが。・・・どうやら留守のようじゃの」


ニールは絨毯の上に丸くなった。


「いいのかな?」


「いいぜ。遠慮なく泊まってけよ」


まるでフェンの家かのような言い草だった。

ただ、俺も初めての魔界で結構疲れた。ありがたく寝させてもらおう。


俺達は眠りについた。


---------------


時はサガミの戦い直後に遡る。


スキャットは負傷したヨルムを支え、サガミから魔界へ向かって転移を繰り返していた。


「ヨルム様、もう少しで魔界へ着きますが、傷を癒すため魔素の濃い中央部へ向かいます」


「仕方・・ないですね・・・。あの城には・・近づきたくないのですが」


スキャットは繰り返し扉を出現させ、中央へと向かう。そして目的の丘へとたどり着いた。

スキャットはヨルムを横に寝かせる。

城は遠方に見える位置にあった。


「・・・私の魔力も限界です。一緒にしばらくここで休ませていただきます」


「・・・ええ。ご苦労でしたね、スキャット。まさか・・・人間にあれほど強い者がいるとは」


スキャットは、あの人間に怒りを覚えていた。

尊敬するフェンリル様を魔界から奪った男。

もしフェンリル様が大戦の後魔界へ戻ってきていれば、ヘル様は・・・


「っ!スキャット‼︎」


「えっ⁉︎」


振り向くと同時に一筋の光が放たれた。


スキャットの首は胴体と切り離された。


「・・・レック・・・」


巨人レックが剣を片手にヨルムを見下ろしていた。


ヨルムは片手を突き出し蟒蛇を出そうとしたが、魔力が足りず出現しなかった。


レックが剣を振りかぶる。


「・・・ふふ、まさか私のことも狙っていたとは・・・。強欲な姫ですね」


レックが振り下ろした剣は、ヨルムを真っ二つに両断した

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