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SSランクの実力

久しぶりの投稿になります。。

 ユウリたちが入った扉が閉まると、ウルガーは気怠そうに伸びをした。


「いや~、アイツらにカッコイイ事言っちゃったけど、お姉さんタイプだし、あんまりやる気が起きないんだよね~」

「あら?それじゃあ、そこを通してくれるって事かしら?」

「ん~?それは無理」


 ウルガーはニコニコとおちゃらけていると、黒いローブを着た女性が姿を現し、ウルガーの首元目掛けて大鎌が向かってきた。


 しかし、ウルガーはいつの間にか腰にあった剣を向いて大鎌を止めた。


 攻撃を止められるとすぐさま後方へ跳び、大鎌を構え直した。


「あら、止められてしまったわ」

「積極的なのは嫌いじゃないよ、お姉さん」

「…邪神教、ジャネット」

「……冒険者、ウルガー」


ーーガキンッ‼


 互いに名乗り合い、数秒が経過すると、同時に飛び出し、武器がぶつかった。


 最初は互いに相手の出方を窺いながら、攻撃を捌いていた。


「ーー」


 ジャネットが何かを呟くと、大鎌を大きく振り、猛攻を仕掛けてきた。


 ウルガーは難無く捌いていると、突如身体を傾けた。


 すると、先程まで身体があったところに後方から炎の槍が通り過ぎた。


「ーーッ⁉」

(……後ろから魔法?アイツから魔力反応はしたが、何をしたかが分からんな。…もう少し様子を見るか)


ーーキンッ!キンッ!


 ウルガーはジャネットの攻撃をいなし続け、ジャネットの動きや癖、攻撃パターンを観察し続けた。


 最初は見てから反応をしていなしていたが、徐々に攻撃を合わせられるようになっていった。


「あら、ずっと受けているだけかしら?」

「まあまあ、そう急かすなーーよっとッ!」


ーーガキンッ‼


 ジャネットの攻撃のインパクトに合わせ、ウルガーが剣を振り抜くと、ジャネットは後ろへ勢いよく弾かれた。


 ジャネットは倒れないように足で地面を蹴り、勢いを殺していきながら態勢を整えた。


 そして、大鎌を構えたジャネットは走り出すと、ウルガーは再びジャネットの攻撃に合わせる為に剣を振り抜いた。


 しかし、ジャネットは攻撃をせず、大鎌を振った勢いで回転しながらジャンプをした。


「ーーッ⁉」

「これは予想外かしら?ーー《フレイム・カッター》三連ッ!」


 ジャネットはウルガーを飛び越すと、回転しながら、炎魔法により燃えた大鎌を振り回し、火炎車を三連で攻撃をしてきた。


「まだまだッ!ーー《サウンディング・ビート》ッ‼」


 ーードゴンッ‼


 ウルガー防御手段として、音魔法サウンディング・ビートの空間の強振動により、三つの火炎車が爆発した。


「……まだ。ーー上かッ⁉」


 ウルガーは魔力感知により、爆発の黒煙の上から、二方向による炎の槍の攻撃を察知し、斬り落とした。


 その最中、黒煙の中から突如大鎌が飛び出してきた。


「ーーうおッ⁉危ねぇッ⁉」


 しかし攻撃に気付き、咄嗟にしゃがんだ事で、大鎌はウルガーの頭の上の空を切り、通り過ぎた。


 そして、ウルガーは頭の上を通り過ぎたジャネットの足を掴み、身体を回転させて勢いよく投げ飛ばした。


 ジャネットは受け身を取りながら、投げられた勢いを殺しつつ、態勢を整えた。


「……貴方、本当に強いわね」

「そりゃどうも。こっちもなまじSSランクを名乗ってる訳じゃないんだ。…悪いけど、負けねぇよ」

「あら、怖い。…でも、そう言ってて良いのかしら?貴方まだ全然攻撃して来ないじゃない。そんなに避けてばかりじゃーー」

「ーー無属性の『空間魔法』だろ、お前の得意魔法は」

「ーーッ⁉」


 ジャネットの話を遮りウルガーそう言い放つと、ジャネットは目を見開いた。


 しかし、そんな事は気にせずにウルガーは淡々と話し続けた。


「俺もまさかとは思ったさ。なんたって空間魔法なんてものを使える奴はそういない。しかもお前は、そんな中でも相当使えるときた。ーーおっと、因みに今まで使っていた火属性魔法は空間魔法を隠すための単なるブラフだろ?」

「……何故、そう言い切れるのかしら?」

「簡単さ。お前が魔法を撃つ時に、攻撃が来た方向までの魔力の流れがあまりになかったんだよ。…じゃあ、どうやって魔法が飛んできたのか。それは、空間魔法で俺の死角にゲートを作り、そこに魔法を放てばいいだけだろ?」

「……フフフ、流石はSSランクの冒険者さんね、正解よ」


 互いが互いとの距離を測りつつ言葉を交わし、ジャネットはウルガーに攻撃の方法などを明かされたにも関わらず、まだ余裕のある表情をしていた。


「ーー《ゲート》」


 ジャネットがそう言うと、ウルガーの周囲に十つの黒い穴が出現した。


「これなら避けれるかしら?」

「…ん~、どうだろうね」


 それだけ言うと、ジャネットは指をパチンッ!と鳴らし、全部のゲートから炎の槍がウルガーを目掛けて発射された。


 しかし、動かず、そのまま轟音を上げて爆発した。


「…………ゲホゲホッ!…あ~、煙凄いな、対処ミスったわ~」

「ーーッ⁉」


 粉塵を上げ、揺れが少し収まり出すと、煙の中から咳き込みながらウルガーが飄々と出てきた。


 ウルガーは抜き身にした剣を振って感触を確かめると、一瞬でジャネットの目の前まで来ていた。


 すると、ウルガーは連撃を繰り出し、ジャネットは防戦一方になっていた。


 ウルガーはジャネットの攻撃を軽く受け流しながら連撃を行い、隙を見つつ強い一撃を入れると、ジャネットはよろめきながら後方へ押された。


「ーーハアハアッ!…ただの攻撃でこれほどなの?」

「よしよし、身体が温まってきたし、そろそろやりますか」

「…あら、まだ本気ではないのね」

「安心しろ、今から本気でやってやるからさ」


 ウルガーそう言うと、剣を身体の前で横にし、手を添えた。


「『愚者は奏でる、己の弱さを糧にして。何も持たぬ者は憧れ、嫉妬し、欲した。振るえ、振るえ、奏者よ振るえ。全てを重ね、その力を示せ』――《フール・シンフォニウム》」

「ーーこれは、帝級魔法ッ⁉」


 詠唱が終わり、《フール・シンフォニウム》を発動したウルガーの周りには、虹色の音符や五線譜が浮いていた。


「ーーセット『独奏(ソロ)』『音魔法』。…『二重奏(デュエット)』『水魔法』」


 ウルガーがそう呟くと、周りに浮いていた音符や五線譜に水が纏い始めた。


 そして、ウルガーが物を投げる構えをすると、右手の上に水飛沫を激しい水の槍が形成されていった。


 それを見て、ジャネットはすぐさま《フレイム・スピア》をウルガーに放った。


「…《ソニック・アクア・スピア》」


 ウルガーが地面を踏み込み、水の槍を投げると、ジャネットの放った炎の槍の倍以上の速度で飛んでいき、槍同士がぶつかった瞬間に爆発が起きた。


 しかし、その瞬間、爆発の中から加速した空気の槍が飛んできて、ジャネットの右頬を掠め、後ろの壁を破壊した。


「ーーッ⁉」

「あらら、外しちゃったか。じゃあ、どんどん行こうか!」


 ジャネットが自分を掠めた魔法の威力に驚愕していると、ウルガーはさらに追い打ちと言わんばかりに、先程の水の槍を出してきた。


 ジャネットはすぐさま回避行動に切り替え、出来る限りの全力でウルガーの攻撃を避けながら、とある機会を待ち続けた。


(……今ッ!)

「ーー《ゲート》ッ⁉」

「ーーくそっ⁉」


 ウルガーがジャネットを確実に捉え始め、水の槍がジャネットに当たる瞬間だった。


 水と槍とジャネットの間とウルガーの真後ろに空間の裂け目が現れた。


 そして、ジャネットに当たるはずの水の槍は裂け目に飲み込まれていった。


 これはウルガーも想定外だったため、少しばかり反応が遅れた。


 ウルガーは真後ろの裂け目に気付いたが、既に水の槍がそこから出始めていたので、すかさず回避行動をしながら、空間から出てきた水の槍に同じものをぶつけた。


 すると同じ威力の魔法同士でぶつかった事により大爆発が起きた。


 間近にいたウルガーは衝撃波をもろに受け吹き飛んだが、上手く体勢を整えた。


「あら、あれで死なないなんて流石ね」


 爆発で巻き上がった土埃の中から、ジャネットからの称賛の声が聞こえてきた。


 ウルガーは視界が悪い事から全神経を土埃の向こうに向けた。


「そろそろ、私は逃げさせてもらうわね」

「おいおい、つれないな。もっと話そうぜ」

「ごめんなさいね、私も勝てない相手とむやみに戦い続ける程、馬鹿ではないのよ。それではね」


 互いに軽口をたたき合ったが、ウルガーはジャネットの言葉がブラフである可能性も考慮しながら警戒を続けた。


 だが、土埃が晴れるとそこにはジャネットの姿はなかった。


「……流石に帰ったか」


 ウルガーはジャネットがいなくなった事を確認し、警戒を解いて剣を鞘に仕舞った。


 すると、後ろのユウリたちが入っていった扉が音を立てて、開き始めた。


「お!アイツらも終わったかなっと」


 ウルガーはジャネットに関して少し思う所があったが、今はユウリたちの所に向かう事にしたのだった。

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